神谷厚徳(2002)「音響分析による日本人英語学習者のイントネーション特徴」の備忘録。(日本英語音声学会学術論文集「英語音声学」第5号)

研究の概要

「実験①24名の学生に、O&A(1973)対話ドリルを用い、白文で読ませて、モデル音源と音響的に比較して分析。
実験②次にO&A(1973)の音調符号を習得した学生26人に、TSM付きの同文を読ませて、頭部をモデル音源と音響的に比較。
ただし、前者では録音の前に10分間の黙読でのプランニング、後者は10分間の朗読練習あり。」
・実験①、実験②で被験者となった学生が同一なのかは不明。
・同文のモデル音源を先立って訓練時に聞いていたのかは不明。
・実験①の学生はTSMを学んだうえで白文を読んでいるのか、それともそれも学んでいないのかは不明。

具体的内容

実験1

「分析結果は以下。

1、ピッチ幅が狭い。~単調~核の位置の特定が難しいといえる。~
2、核を最後の単語に持ってくる。~文脈に関係なく核を最後の単語の強勢音節におく~
3、すべての単語をしっかりと発話している。~文というよりも単語の集合体といった印象~
4、~単語の強弱が小さい。~語強勢を特定するのが難しい~モーラ特徴のため~
5、一定のピッチレベルを維持して発話~文脈に関係なく~

「~」は中略

・2について。音響すペクトグラムを見ると、上昇調も最後の音節だけにおいている。
・実験1に参加している学生も、TSMをある程度勉強したとすると、おそらく、音調符号をまなんだとはいえ、適切な3Tsの設計までできていないというのが大きそう。つまり、楽譜を楽譜道理に演奏できるのと、楽譜を自分で作れるかは別の能力。
1,2は3Tsのプランニングを身に着けることで解決できそう。3はリズムの問題。4は知識不足。5は頭部の設計を知らないか実践できていない。

実験2

上昇頭部~ピッチ上昇が少ない~上昇頭部にもかかわらず、下降で発話しgた学生が約19.2%に及んだ。~上昇が一定ではない。~
低頭部は日本人学習者が発話しやすい頭部であると言える。~
26人中7人が高頭部を低頭部で発話した。~日本人英語学習者は高頭部を発話する際、先行する前頭部、もしくは 後続する核とのピッチ変化が大きくなるように注意して発話すべきである。~
下降頭部~ピッチ下降が少ない。~下降頭部の開始時に一度、ピッチが上昇する。~下降が一定ではない。~

「~」は中略

・全体的にピッチ幅が狭いから、とにかくピッチ幅をちゃんととるようにしたいところ。上昇頭部や下降頭部の変化が一定ではないとあるが、私がVCSEPに参加した時、音声学的訓練を受けたネイティブの講師でさえ、長い頭部では苦労していた印象があるので、母語話者ではないわれわれが難しいのはさもありなんてかんじ。

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