Is Rising Intonation the Default Pattern in Yes-NoQuestions? The Cases of British and American English

感想

  • Y/N questionsのtoneのvariatyに興味がある場合は必読。

  • 相当退屈で時間もかかる作業だろうによく頑張ってやるなあという感想が一番最初に湧いた。ありがたみを感じる。

  • 基本的知識があれば十分読める。引用されている本(論文でない文献)も基本的なもの。

    • 実際の音声を音声学的に観察して分析するタイプの研究では、SPE以降の韻律理論や自律分節理論をもとにした音韻論的な研究を理解して引いてこなくても、それらをもとにしない音声学の文献を使うのみで研究として成立するというのはなかなか嬉しい。

  • 核のtoneの音響的ラベリングの手法の巧みさ

    • 一つの発話内で最も高いところをH、最も低いところをLとする。これらの点2つが最後の内容語であらわれないとき、そのピッチをmとする。

      • このもとで、high fall とlow fallをH,mのどちらで始まるかだけで区別

      • riseは、m-H、L-m、L-Hで区別。

        • けどうまくいかないやつは、wide riseの基準を60Hz幅を超えるものとして定義して判断

        • 核が最後の内容語でない場合のラベリングだと、riseの分類の難度はさらに増しそう。そういうのは意図的に避けてそう

      • かしこい、、

      • H-mでてきてる。部分下降調としてWellsの分類に加えるのありなきがする。

      • 短い文で実験しているため、HLm判定のまえに、declinationを考慮して正規化することは行っていない模様。

        • おそらく長い文だと必要性が生じそう。こういった実験は短い文を使うのがよさげ。

    • ラベリングの確度を保証する方法が面白い。(こういった研究では普通の手法なのか?)

      • ピッチ曲線だけを見たラベリング、音声学者2人が聴覚的に行うラベリングの2つを用いる。

      • この二つの結果の間で、inter rater reliability (inter rabeler reliability )を、the kappa statisticを使って保証。

        • 調べたら、pubmedにこんなのがでてきた。

        • 臨床研究や診断の評価者間誤差を許容できるか判断するために良く用いられているみたい。

        • ところでこのページ被引用数: 13271。すごい。

  • さりげなく、wells(2006)のtoneの10分類のピッチ曲線が示されているのうれしい)

  • 年齢ごとにつかうtoneが異なることは予想できていたが、若い年齢はやっぱり英米でconvergenceが生じているとのこと。(high or low rise で)

  • Briの若い人のほうが、fall-riseを使わなくなっているというのは意外な結果。

    • 論文中で、これがLindsey(2019)の記述と異なると触れられているが、おそらくこの論文の著者は、Geoff lindseyさんが出版直後に「単なるfallが非常に頻繁に使われていることを見逃していた。改定するときは書き加えたい」と述べていることを知らない気がする。

      • この動画の中の22分あたりで言ってる。

        • https://www.youtube.com/watch?v=i4uyhnEMC9Y

        • 途中でwh-questionといってるけど、たぶん言い間違え。Y/N-questionのこと。

        • 余談だけどgenuine(plain) fall のことをfall fall と表現しているの面白い。いわゆるdouble words てやつ。coffee coffee といった。一回目ではhasitationがあるのか二個目のfall にも強勢があるが、二回目にサラっといったとき、1つ目のfall のみ強勢がある点にも注目。

        • あと、fallのあとにslight riseがあることがある気がするという質問に対して部分下降調になるという説明を出してるけど、自分の観察とはちょっと違って、Y/N-questionで下降上昇調で上昇がわずかな時は、上昇がわずかとはいえ、しっかりlow pitch(the bottom of ones voice range))まで下がっていることがほとんどであると思う。(あくまでもY/Nのfall riseの場合の話)

  • 文の談話機能のタイプでつかわれるtoneが異なるのも面白い。おなじY/N-questionの形でも、機能が勧誘のときは、Briでもhigh riseを使うことが顕著に多い。

  • あと、助動詞+主語の疑問文であることを示す部分が欠落しているとき、Briでも特に目立ってfallが使われなくなるというのも興味深い。intonation mattersて感じがしてよい。

  • tailがあるかないかがtoneの選択に影響を及ぼすの意外過ぎた。

    • Ameのほうで、tailがあるほうがwide riseの割合が増えるというのは直観に合う。low riseが少なくなっているのは、tailで上昇がある結果wideになったからだろう。

    • 意外なのは、briでtailがあるとき、fallが減ってriseの割合が増えること。これは全然理由わからん

  • そういえば、英語のハノンのBri音声は著者によると、fallで統一したとのことである。この論文を読むと、やはりそれが最良のように思う。fall-riseでもいいとは思うが。ちなみに漏れなのか意図的なのか、この音声には実際にはfall-riseの読みも含まれている。(完全にはfallで統一できていない)


reference

Noriko Nakanishi ,Masashi Haneo (2021)「Is Rising Intonation the Default Pattern in Yes-NoQuestions? The Cases of British and American English」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/selt/44/0/44_61/_article/-char/ja

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