会社売却は従業員の協力なしには行なえない。
最近は欧米に限らず日本でもいわゆる企業売却を前提とした起業が増えてきましたが、我々のように昭和に起業したものはそれで"EXIT”(上がり)のような考えは毛頭無く一般的に会社の限りない成長だけを目指し、例えば株式公開できることなどを現実的な目標としてきた企業が多いと思います。そして社員とそのような”夢”を共有して、将来があるぞ、会社が大きくなったらみんないいことがあるぞというインセンティブを支えにやってきたわけです。
そのようにして続いてきた会社を社長が売ってしまうということに若い社員は比較的冷静に受け止めるかもしれませんが、古参・中堅社員は裏切られたような思いを感じることが多いかもしれません。このために社員にはM&Aによる事業継承のメリットを理解してもらう必要があります。私の場合は我々が相手先と一緒になることでより強い企業に生まれ変われるチャンス、個々の社員にとってポジション機会が増加する、などの一般的なことを主に話しましたが、それぞれの企業固有の状況を絡めた話し方があると思います。
また経営者はどのように事業継承するのかを社員に話さなければいけません。売却した先の経営陣に託すのか、社員の中からリーダを選ぶのか、あるいは複数の社員で集団指導的な形をとるのか。もちろんこれはM&Aの形にも関連します。売却先の子会社として残る、合併して部門として残る、買収側企業の組織に融合される、はたまた売却側が主体となる等、形態はいろいろあるでしょう。
いずれにしてもこのように社員、特にコアメンバーには充分な話しをして理解してもらい、協力を仰がねばなりません。ここが固まっていないとデューデリジェンスで思わぬ困難にぶつかる可能性があります。一般的に正式な発表までは社員に話すことができませんのでこれをどうするかというのは難しいところではあります。
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