カリスマ63話「気圧」を見た凡人医師が全力で伝えたいこと
はじめに
皆さん初めまして。二つの意味で凡人医師の、Dr.からし菜と申します。
最近飛ぶ鳥を落とす勢いのトンチキ・パワフル・コンテンツ、超人的シェアハウスストーリー「カリスマ」
友人に全員曲の動画を見せられ、もともとその存在は知っておりましたが、今年の4月ごろ──新生活のストレスが故なのか──僕は突然沼へと沈みました。
「突飛で面白いけど、ハマるほどではないかな。どちらかというと中高生向け?」
愚かにもそうほざきつつボイスドラマの1話目をクリックした僕は、1stシーズン全74話をノンストップで見ることになるのです。
それからはめくるめく凡人デイズ。日々の潤い、生きる糧。
毎晩の夕食のお供にボイスドラマを流し、木曜でもないのに公式YouTubeチャンネルの再読み込みをし続け、当直室のベッドの上でソロ曲のリリースに立ち会いました(お産に立ち会ったみたいに言うな)。
個性という言葉では形容しきれないパワーを秘めた七人の若年男性たち。彼らが織りなす人間模様は実に多様多彩でどれも楽しく美しい。
中でも僕の心を掴んで離さないのが、WSAこと天堂天彦氏です。
ことあるごとに鼠径部を見せつけ動脈採血のしやすさをアピールしてくる彼は、男子小学生のような純粋さと三十路にふさわしい大人のエロスを併せ持っています。
彼を眺めていると、僕がおそらく人生で最も幸福だった時
──小学校からの帰り道、幼なじみたちと「森のくまさん」の替え歌(察してください)を大声で歌って腹がちぎれるほど爆笑していた時
──図鑑の「人体のふしぎ」「生命の神秘」の項をすりきれるほど読み込み、感嘆していたあの時
を折に触れて思い出します。
性欲とはなにか。
恋とはなにか、愛とはなにか。
子孫を残すための本能?
ホルモンの為せる業?
それとも、もっともっと崇高なもの?
高尚? 低俗? 快楽? 苦痛?
おそらくみんなが気になっていて、でもタブー視されている、永遠に答えの出ない問い。
きっと天彦さんはそれを考えつづけているのでしょう、命をかけて。
性とは生、生きること。
彼から溢れ出る「生」のパワーをもらいつつ、今日も僕は、生と死のはざまを司る白い壁の中で微力ながら働いています。このnoteでは、僕が「カリスマ」を見ていて感じたことを、リビドーの赴くままに放出していこうと思っております。
では皆さん、ご唱和ください。エクスタシィーーーーーー!!!!!!
※この記事は、じつは数日前に投稿したのですがシャドウバンされていたためアカウントを変えて再投稿しています。こんなに真面目な内容なのに……
天彦さんの苦労を追体験しているようです……
あなどるなかれ、股間の痛み
記念すべき第1回目は、ずばり、ボイスドラマ63話「気圧」について。
BANを恐れてつい○を入れてしまう僕を嘲笑うかのように(というか実際されました)、ピー音もなにもない漢の勝負を仕掛ける公式。いつみても天晴れかな。
しかし僕は、この発言がどうしても見過ごせませんでした。
愚か者オォォォォォォ!!!!!
股間の痛みを真剣に診ない医者がどこにいるかァ!!!!!
天彦さん。その医者、とんでもねえヤブですぜ!!!!!!!
そう。「股間が痛い」と患者さんに言われたら、現在日本の良識ある医師は、真剣(マジ)な顔になるはずなのです。
僕がなぜ、こんなに口角から泡を飛ばして股間痛について熱弁しているのか。
読者のみなさまはきっと若年女性が大半でしょうから、野郎の病気なんか関係ないだろ! という声が聞こえてきそうです。
でも今からするお話は、男の子をもつお母さん及び、これから男の子をもつかもしれない女性にこそ、ぜひ知っていただきたい内容なのです。
※これから先さまざまな疾患の解説が続きますが、僕はそれらを天彦さんの病気だと断定するつもりは微塵もございません(病歴を鑑みると、むしろ違うと思います)。あくまで一般論としてのお話だということを、ご理解いただければ幸いです。
※また、解説では分かりやすさととっつきやすさを最重視しているので、学術的な正確さは諦めております。もっと正しく詳しく知りたい方は、日本泌尿器科学会HPの「こんな症状があったら」というコーナーをおすすめします。
まず、ビッグサンは大きくstick部分(陰茎)とball部分(陰嚢)に分類されますが、とくに怖いのはball部分の痛み(陰嚢痛)です。
陰嚢痛で想起される疾患は、主に次の5つです。
①精巣捻転
②鼠径ヘルニア
③精巣上体炎
④精巣炎
⑤精巣上体垂捻転
この中でいちばん多いのが③、激ヤバ(緊急手術が必要)なのが①②です。とくに①が重要で、これだけでも覚えていただけたら本望です。
①精巣捻転
「股間が痛い」と言われて、医師がまず思い浮かべ、恐怖に震えるのがこの病気です。
わかりやすく言うと「タマが袋の中でねじれてしまった状態」で、非常に緊急性が高いです。思春期前後の男の子に多く発症します。
なんの前触れもなく突然起こり、しかも夜中に多いのが激怖ポイントです。
ねじれるとタマに血流がいかないので、一刻も早く(発症から6-12時間以内!)緊急手術を行ってねじれを治してあげないといけません。
恥ずかしがったり、年齢の低い子だと腹痛との違いが分かりにくかったりして、発見が遅れてタマが壊死してしまうケースが多々あります。
周りの人がこの病気じゃないかと疑ってかかるのが大事です。僕は小児科・泌尿器科の先生に「下腹の痛みを訴える子がいたら、必ずパンツの中まで診ろ!」と口酸っぱく教わりました。
②鼠径ヘルニア
俗称は「脱腸」、大変ざっくりいうと「お腹の中にあるべきもの(腸とか)が、鼠径部(コマネチ!の部分)から外に出てる状態」のことです。小さな男の子と中年のおじさまに多く発症します。だいたいは見た目で「なんか出てるな」とわかります。
鼠径部には鼠径管という管があり、お腹の中とタマをつないでいます。つまり、お腹の中のものがその管を通って、タマ袋の中まで出てきてしまうことがあるのです。
出た腸が戻ってくれればいいんですが、出たまんま戻らない(陥頓)ことがあります。はまったまま放っておくと、出た部分の腸に血流がいかなくなって壊死します。こうなってしまうとガチで命にかかわりますので、夜中でも緊急手術です。
③精巣上体炎
精巣上体とはタマの外側にある組織で、精子を運ぶ管の一部です。そこが炎症を起こす原因のほとんどは尿路を経由した細菌感染なので、抗菌薬が効きます。男性不妊の原因となることがあるので要注意です。
④精巣炎
文字通り「タマの炎症」ですが、原因の多くはムンプスウイルス(おたふく風邪のウイルス)です。
とくに思春期以降におたふく風邪にかかった人に併発しやすいといわれており、頻度は高くないですが男性不妊の原因になりえます。
そもそもおたふく風邪は案外あなどれない病気です。
感染力がえげつなく(インフルの数倍)、根本治療(抗ウイルス薬) がありません。また、かかった人全体の約0.1%〜1%に難聴を発症します。
ムンプス難聴は片耳のことがほとんどですがかなりの重度で、なってしまうとほぼ治りません。
後遺症の対策は「おたふくにならないこと」しかなく、つまりワクチンのみです。
ムンプス(おたふく風邪)ワクチンは2023/9現在の日本では任意接種ですので、各自のご判断にお任せしている状況です。
ですが僕個人の意見としては、おたふくにかかったことのない1歳以上のお子さんはぜひ、ムンプスワクチンの接種をお勧めいたします。
最後にもう一つ。stick痛の中で大事な病気を忘れておりました。
天彦先生のお言葉の通り、日本人男性の半分以上は包茎であり、とくに仮性包茎の方が多いです。
ここで問題となるのがこれです。
嵌頓(かんとん)包茎
端的に言うと「剥いたまんま、皮を戻さない」状態です。このまま放置すると、先っちょが皮により締めつけられて血流が滞るので、最悪壊死することがあります。
この状態は意外と赤ちゃんや幼児に多いです。育児書にはよく「剥いて洗ってあげてください」と書いてありますが、思春期以下の子どもさんではその必要はありません。
剥いた皮は戻してあげましょう。秩序 is all green.
〜僕の魂の叫び まとめ〜
・股間の痛みをあなどってはいけません。恥ずかしがらずに受診を!
・緊急手術が必要な場合があります!
・おたふく風邪は意外と怖い。
・皮は戻しましょう。
ここまで読んでくださった方、どれだけいらっしゃるかわかりませんが、誠にありがとうございました。
なんだかカリスマの内容とはだいぶあさっての方向にズレたような気はしますが、これを読むことで、悲しい思いをする方が一人でも減ってくれたら──という一念で書かせていただきました。
僕、Dr.からし菜は、天堂天彦氏のEcstasy World 活動を心から応援しております。
それでは皆さんに愛を込めて。また、お会いしましょう。
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