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初老なお洋服日記❸ 1.15 〜1.21


1.15

月曜日パートの日。

頭頂部の白髪がはや、
ぴんぴんと伸びてきたので、

(前回染めてから20日経過)

マスカラを塗って、誤魔化す。

白髪用のヘアーマスカラも
以前は買っていたが、

次に染める日までの10日間くらい
睫毛のと併用でも、
なんら問題はなかろう、と

使っている。


パート先の従業員の
平均年齢は高く、

それ故に、《若さ》が尊ばれる。
(ような気がする)

仕事うんぬんはもちろんだが、
そこで働いているひとが、

*若さを保っている
*若く見える
*健康である(持病などが無い)

そんなことが、大切だったり、
(のような気がする)

そこを踏み外すと、
蔑まれるような、(気がする)

パートのおばさん、ならば
より、そんな気がして、

より念入りに
マスカラを塗る、のである。


この日の夜、新年会を兼ねた
パート先の歓送迎会があった。

一度、家に戻り、
洗濯物をたたんだり
家事をしてから、

カラダの線が出ない
ざっくりとした、焦茶いろの
首もとの詰まったセーターと

ぴたりとし過ぎていない
ブルージーンズに
着替えて、参加した。

(黒いショートブーツで
メンズライクなコートを着た)


会場は、居酒屋さんの座敷で
掘り炬燵でも無いと聞き、

そんな格好が最適と判断した。

どんな姿勢になっても
これなら、大丈夫であり、

(座敷はスカートだと、
丈があっても意外に
足が、露出する)

そう思うと、安心で、
居心地が良いのである。

*私は若いころ、
会社の飲み会で
男性上司の隣に配置され、
お酌をしたり、が苦手で

(でも、時代でやらざるを得なかった)

初老になった今も、
仕事絡みの飲む場所へ行くのは、

すこしだけ、居心地が悪い。

緊張する*

途中、70才過ぎの方が、
パートのおんなのひとたちを労うため、と
スピーチをしてくださった。

『みなさん、お綺麗なので
仕事して、戻ってくると助かります。
疲れて戻ってきて、いわゆるおばさんが
でん、といたら、がっかりしますから』

と、それが、締めのコトバで、

(その方は、優しく、冷静な
細やかなお仕事をされる
素晴らしい技術者なので、
わたしは尊敬している)

わたしは、やっぱり
今朝、伸びてきた白髪を
マスカラで塗って
ゴマカシテ良かったのだ、と

思いつつ、

同じ場所で働く
初老おんなたちに
綺麗、ということが
いちばんの労いだと思うのか

と、すこしだけ、絶望した。

ビールを三杯飲んで、
カラオケのお誘いは断り、
酔うことなく、夜22時前には帰宅。

夫が、笑顔で
お仕事おつかれさま、と労ってくれた。

ピンクと赤や焦茶の組み合わせも好き。
乙女ちっくなこころになる。


1.16

パート先の冬休み。

年が明けてから、
庭に行っていなかったので

(郵便物などの確認も兼ねて)

電車とバスを乗り継ぎ、
昼頃、実家へと到着。

(強風の日で、電車は
速度を落として運行していた。

庭の、枯れたアナベルの花が
風にちぎれて、そこここに舞っていた)


ひとが住んでいない家というのは
真冬は、しん、と冷え切っていて

エアコンをつけても、
なかなか、部屋は暖まらず、

日が落ちてからは、
室温は微妙に下がるばかり。

セーターを2枚重ね、
それから、亡き母が若い頃着ていた
ウールの着物を羽織り、
ようやく、ひとごこちつき、

コンビニで買ってきた
きつねそばを温めて、食べた。


両親が去ってしまった実家に
独り、来て、過ごす夜は、
よるべなく、

つい、人生とは?

などと考えてしまう。

なので、youtubeで
遥か遠い、
アメリカの田舎の、
孔雀が、放し飼いされている
夏の庭の映像などを観て、

そこへこころを飛ばし、
眠りに落ちた。

強風は、夜中、去っていった。

お洋服日記は、Instagramの
ストーリーズでこんな風に毎日、
更新している。



1.17

朝は、➖3℃と冷え込んだが、
朝日が差すと、霜柱もだんだんと溶け

昼前には、ぐん、と暖かくなった。

庭に出て、薔薇の剪定や、
伸び過ぎてお隣にご迷惑になりそうな
木の枝などを剪って、働く。

今年は暖冬のせいか、

いつもは葉を枯らす
ローズゼラニウムが
まだ、葉をつけていて、

越冬できそうだ、と思いつつ
株元をたっぷりの藁で包む。

昨年花を咲かせた
ヒヤシンスの花芽もあがり、

(同じく)アネモネも
元気いっぱいに葉と茎を
空へと伸ばしている。

庭へ来ると、知り合いも無く
庭からほとんど出ないので

お洋服も、

着て来たものを着るだけ

なので、それはそれで
シンプルで、楽しい。


他者がいない数日を過ごすこと
鏡を見ない数日を過ごすこと

も、なかなかに、良いものだ。


日暮れ前に、アパートへ帰るべく
バスに乗った。

切って、紙に包んで
bagの底から立てた庭の水仙が、

座席に、仄かに匂って、
夕焼けが美しかった。

庭を歩く。着古したセーターとジーンズ。
この日のお洋服日記は、
庭のキロクと兼ねて、動画にした。⇩
しお(はちゃめちゃ編集部 はちゃめちゃブックス) on Instagram: "2024から、 #荒れ果てた庭のキロク二年目 は #るすばんガーデン と タグをつけることにしました。 留守番ばかりさせている庭 だから、です☺️ きょうはいちにち 庭にいたので、 #初老なお洋服日記 も こちらで! 🧺るすばんガーデンも お洋服日記も、まいにちを ジブンらしく暮らすなかで 楽しんでpostしようと 思っています。 どちらも よろしくお願いします☺️ 追伸 かかっている唄 predawnの紫陽花の庭は 庭でもよくかけています。 ぜひ、聴いてみてください。 夢のなか、歩く さらわれたこころの橋 というハジマリの歌詞が とてもとても好きです。 なので、 今年は、紫陽花を 庭に、みっつよっつ 植えようと思っています。 紫陽花の庭、にします。 🕯️空想家しお" 39 likes, 4 comments - siohacha2016 on January 17, 2024: "202 www.instagram.com




1.18

まだ、パート先の冬休み。

去年の6月頃から始めた
3kmから4kmのウォーキングに

RUN を加えること、にした。

2km走り、残りはウォーキング。

パーカーに、トレーニングパンツの
地味な格好で、たったか走れば、

心拍数があがり、
カラダが温まり、
汗も出て

爽やかなjanuaryの休日となった。

週に2度くらいのペースで続けていく。

白いキャップを娘が貸してくれたので
それをかぶって走った。



1.19

八王子のcaferinさんへ
朗読会などのうちあわせ、をしに行った。

アクセサリーや手仕事、
絵や陶芸、などの作家さんが
多く集う、このちいさなカフェは、

何歳でも、どんなひとでも
好きな格好をしてOK!の

そんな、密やかな自由さに
満ちている。

刺繍作家のモリカネさんと
たのしく、綿密な打ち合わせをし、

リンさんのハンドドリップの
コーヒーに温まりながら、

絵本の《パン屋のくまさん》への愛を
ふたりで、惜しみなく語る。

ジブンらしくいられる場所があって
良かった、と思う日。

すべて着古したお洋服だけど、
カラダも、古くなってきているので
バランス的には丁度良い。



1.20

冷たい寒の雨の日。

家に篭り、文字を紡いだり
印刷などを、半日、こつこつと。

図書館へ本を返しに行き、
夫に、灯油を買ってきてもらう。

夕方から、すこしお腹が痛くなり
早々に、布団に入り暖まる。

さむいさむいころの初老は
体調を崩しやすい。

休むこと、大切。

おじさんなコーデ。
茶色なグラデーションは着ていて落ちつく。



1.21

昨日からの雨は、13時過ぎにあがった。

体調も良くなり、元気なので
懸案の用事を済ませるため、

電車に乗り、東横線の
学芸大学駅へ。

さくさくと用事を済ませ、

麦ばたけ、という名のパン屋さんで
パンを買って、また、電車に乗った。


夜は、パンと、
ハンバーグをつくって食べた。

パート先の冬休みは、

ジブンがどう過ごしたら
安らかに、弾んで過ごせるか、

が、よく分かる数日だった。

母が、わたしの年齢のころ着ていた
ジャケットを。


来週へ続く。


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