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デリシャスパーティプリキュア33話に凝縮されている本編の問題点
今までデリシャスパーティプリキュア(以下本作)は大友から結構叩かれていました。私自身「つまらないな……」と思いながらも、叩かれるほどではないという意見でした。
しかし先週放送された33話が、本作の問題点が全て出てしまっている回で、はっきりと「ヤバい」と感じてしまいました。そのため、今のうちに問題点を挙げておきたいと思っています。
先に申し上げておくと、33話を担当した製作陣がすべて悪いという主張ではありません。今までのツケがこの回に集中しただけで、本問題は本作全体の問題です。その点を承知のうえでお読みください。
本作の大きな問題点を箇条書きで記します。
主人公の成長(ひいてはプリキュアの成長)
マリーちゃんという大人の存在
プリキュア同士の関係性
大きく挙げてこの三つです。他にもブラぺや、話のつまらなさ、唐突さ、食をテーマにしながら全く取り扱っていないなど挙げればキリがありませんが、とりあえずこの三つに絞ります。
主人公の成長しなさ
ナルシストルーが、偏食で食事そのものに嫌な思いでしかないということが明らかにされます。
それを聞いた主人公和実ゆいちゃんが「ご飯は笑顔じゃないんだ……」と落ち込みます。
いや待てよ。
それで終わらすなよ。と心の中でツッコミが出ました。
当たり前ですが、ごはんを食べることが好きではない人というのもたくさんいます。そういう人には事情があり、ナルシストルーみたいな偏食の人もいれば、貧乏でご飯を食べることができないという人もいます。
そういう人に出会ったときこそ人の本質が出ます。すなわち、自分の思想と異なる相手と出会ったとき、どのような対応をとるか。
そしてわれらが主人公は落ち込む。それでおしまい。
呆れて笑いが出ました。今までだったら明らかに説得できそうなパターンにも拘らずです。
プリキュアの場合、敵は三つのパターンに分かれました。
敵の存在がプリキュアの思想と相いれないから、倒すしかない
敵の行動原理が交渉の余地があるため、説得する
最初は相いれない存在だったが、交流することで価値観が変わる
そして、ナルシストルーはどう見ても2と3の枠でした。「どうしてごはんが嫌いなの?」という問答を通して、ナルシストルーの心に触れて改心させるor説得しようとした可能性があります。
しかし、本作は1の手法を選んでしまいました。ナルシストルーの心に全く触れることなく、「自分たちの食事を邪魔するから倒す」という極めて利己的な理由で倒してしまっています。これはあまりにもレベルが低いと言わざるを得ない。
序盤はそれでもよかったです。むしろそちらの方が根源的で、戦う理由に納得がいくからです。しかし、33話にもなってそこから全く動かないというのはいくら何でもひどい。
そのせいで敵にそういう過去を持っている場合にも、相手のことを全く考えない一方で、自分の信念が否定されて悲しい……という描写は、プリキュアとしてどうなんだと言う話です。
そしてこの点が他のキャラ描写にも大きく影響をしているのですが、それはマリーちゃんについて説明してからにしましょう。
マリーちゃんの存在
始めに言うと、筆者はマリーちゃんはいなかったほうが面白くなったと考えるスタンスです。キャラ面だけを切り取れば、とても有能で頼りがいのある大人なのですがそれが今作と致命的に相性が悪い。
というのも、プリキュアが何か悩みを持った時それに気づくのがマリーちゃんだけというパターンが多い。特に今回なんて本来ならばゆいちゃん……は無理にしても、他二人が気付いてもよかったはずです。
にも拘らず、結局マリーちゃんがあまねちゃん関連の話をすべて解決してしまった。これはちょっとおかしいですね。
以前本作の批判で「大人の存在によって、少女たちの成長が阻まれている」という意見を見たことがありますが、33話はその主張を裏付けてしまう話になっています。
他にもらんちゃんの回でも、マリーちゃんが心のケアをしてしまいました。従来なら、プリキュア同士が交流していくことで中を深めていくのですが、その役目を奪ってしまったわけです。
一応昔のプリキュアにも似たような立ち位置のキャラはいます。プリキュア5のココです。ですがココの立ち位置は絶妙で、主人公(とナッツ)のケアしか行っていなかった記憶があります。
また主人公のケアと言っても毎回行うわけではなく、自分自身でどうにかした回もあるため、飽くまで助けてくれる人の一人という位置づけです。ですが、本作ではマリーちゃんしかケアする人がいないため、結果大人に依存しているといわれても過言ではありません。
プリキュア同士の関係性
その結果、プリキュア同士の関係性が希薄になり、成長も阻まれてしまいました。すごく悪い言い方をすると、今作のプリキュアはゆいちゃんと「ご飯は笑顔」信者達になっています。
信者同士だから、個人の悩みを相談することもない。教祖であるゆいちゃんにも相談できない。じゃあ、だれに相談しよう……となった時、どうしても身近でプリキュアのこともよく知っているマリーちゃんとなってしまうのではないでしょうか。
総評
まーひどい。それ以外の感想が沸きません。
ぶっちゃけ言うと、今回の話も空虚でした。よく言われるあまねさんが洗脳された過程がないからではありません。筆者的には、突然さらわれて洗脳させられたからと適当に脳内補完しているので。
あと、あまねさんがナルシストルーをぶん殴りたいという気持ちを持っててもおかしいとは思っていません。上記の脳内補完によって納得できるので。
じゃあどこが空虚だったのかと言えば、自分の嫌なところに向き合う話だったにもかかわらず、なんかよくわからないまま話が終わったところです。
マリーちゃんいわく「誰かを恨む気持ちを持っていても仕方ない。だけど、大事なのはそれに流されないことだ(要約)」ということですが。
はっきり言えば綺麗事でしかないと思います。そも、恨んでいる描写がないマリーちゃんが言っても仕方ないという話でもありますが、もっと重要なのは「どうすれば流されないようになるか」という部分でしょう。
そこを曖昧にしたら、結局空虚に過ぎません。あまねさんの心に全部任せようなんてしたら、まったくもって進歩がない。つまり空虚です。
今までのプリキュアでしたら、そういう暗い気持ちを持った時点で仲間と相談することで解消していく……というのが無難な落としどころでしょう。ですが、そこをぼかしたらただの説教です。
他にもひどいところを述べたらきりがないので、本編全部終えたらまた言語化します。本作良いところがキャラデザと音楽と変身バンクぐらいしかないですが……その評価が変わることがあるのか……
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