ハダシの少年時代(前編)

長男が保育園の年少さんの時。

たてわり活動で、いつも長男とペアを組んでくれている年長のお兄さんがいた。

そのころの長男は、親のわたしや、保育園の先生たちが言って聞かせても、絶対にクツやクツシタをはきたくない人だった。
おむかえに行くと、全開の笑顔、無言、そしてハダシで、園庭をつっきってわたしの腰あたりに突進してくる。
ああ、かわいい。

でも、ハダシなのが他の親ごさんの手前恥ずかしい。
先生方は「ハダシはあぶないから、おクツをはこう」って言ってくださるのに、親のわたしは「恥ずかしい」「ハダシのままだっていいから一刻も早くここを撤収したい」っと思っていた。

わたしのあせりや不安を感じとるのか、ハダシのまま、さらに園庭を走りまわり始める長男。
他の子にぶつかるからヤメテクレ〜
追いかけていってつかまえようとするけど、6月に生まれたばかりの、胸にくくりつけている次男も心配で、思い通りには動けない。

マルチタスクが苦手な自分は、すでにそこでいっぱいいっぱい。
長男をどなって呼び止めようとしたこともあったけど、お迎え時間の保育園のなごやかな時間をピリつかせてしまっただけで、かんじんのハダシの少年はなかなかわたしのところに戻ってこない。
当たり前か。
今なら冷静に考えられることばかりなのに、とにかく長男の保育園の送迎は、毎日気が重かった。

でもそんな時、時々長男をよびとめ、しゃがませ、そっとクツをはかせられる人たちがいた。
ふだん長男とたてわり活動をしてくれている、ペアのお兄さん。それか、そのお兄さんのお友だち。

ミラクルやん、、うちのハダシが、お兄さんの横に静かにならんですわって、されるがままにクツをはかせられている。

いやがって叫んでない。
人の手を避けようとのけぞってない。
つねに走り回ってるノンストップボーイのはずなのに、止まって座って、待っている。

そしてお兄さんたちは決まって、長男にクツをはかせた後は、はにかんだような優しい顔でわたしの方を見る。

ありがとう。
おばちゃんには、どうしたら自分の子をそんなに静かに言い聞かせられるのか分からんのよ。

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