シェア
店を出た。 見送る女性店員の笑顔が胸に刺さる。 先刻、座敷で政調会長は言った。 …常識を利…
政調会長は腕組みをしていた。 国会では舌鋒鋭く、政権与党を追い詰めていた。 獲った大臣の首…
都内、高級焼肉店。 その座敷、三人の男が黄金を囲み沈黙していた。 大皿に載せたそれは、牢名…
幹事長は、穴と対面した。 コスモスに見えた。放射状の皺が花弁なのだ。 丁寧に拭った。 触れ…
党首は朦朧としていた。 遠ざかる総理の椅子…。 唇を噛んだその時であった。 幹事長がその肩…
…なあ、二人とも。 政調会長が言った。 彼らは、互いに三十年ほどの付き合い、当選同期である…
都内、高級焼肉店。 その座敷、三人の男が鉄板を囲み談笑していた。 彼らは野党の幹部であった。 それぞれ党首、幹事長、政調会長の要職にある。 …いつもすまんな。 党首は労った。 …なに。尻拭いは俺の仕事さ。 幹事長は言った。 ここ数日、党員による失言の後始末に追われていた。 霜月の夜更け、午後八時。