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9月と音楽

 1週間が早く過ぎていった9月の第1週、土曜日。子供達は部活やらオープンスクールの手伝いやらで登校していた。相変わらずの真夏の暑さで、学校からは登校時の冷感グッズの制限緩和についてのお知らせが来ていた。

 ポケモンスリープでイベントがあって、睡眠時に経験値などがいつもより多く手に入るというものだった。おこうやキャンプセットを使用して金曜日になんとかマスターまで来ていたが、ポケモンが育っていない現状、無課金の限界が見えてきた。しかしポケモンGOの時ほどレベル上げに熱中するわけではないのでまだ気が楽に続けられそうだ。Discordで進捗を他の人と共有し合えるのも楽しい。

 9月といえば思い浮かぶのがEarth, Wind&FireのSeptemberだ。勿論リリース当時の世代ではないのだが、学校や街中でよく聞く曲なので、何となく好きになってCDも買っていた。中学〜高校の頃は大体誰かに影響されたりして洋楽に嵌るものだが、御多分に洩れずCDショップで少ないお小遣いと相談しながら色々と買って聞いていた。

 始めは多分映画からだった。映画好き、サブカル好きの友人がいて諸に影響を受けた。映画館はそうしょっちゅうは行けなかったが、金曜ロードショーを始めとしてテレビによく映画がかかっていたので、入りやすかった。ロードショーとかスクリーンなどの雑誌を買うようになって、ハリウッドの俳優や女優に憧れて、ウィノナ・ライダーの髪型にしてくださいと雑誌を持って美容院に行ったりもした。ベタなところで、マイケル・j・フォックスとかリバー・フェニックスが格好いいと憧れ、切り抜きでスクラップブックを使った。好きな俳優の映画が特集される月は複数の映画雑誌を買い込んで、お気に入りの切り抜きを友人と見せ合って喜んでいた。

 当時の若手女優の1人、アリッサ・ミラノはアイドル扱いで、有名な映画の出演がそれほどないにも関わらず、日本の雑誌の誌面で特集されていた。日本のアイドルとは違った大人っぽい可愛らしさで、女優として好きというよりは見た目でファンになっていた。彼女は曲も出していて、ツタヤでアリッサ・ミラノのCDを2枚見つけた。ジャケットのあまりの可愛さについ2枚とも買い、早速友人と聞いて、……あんまりうまくないね?と言われて、外国の人の歌だからそう聞こえるんじゃない?なんて馬鹿な返しをしていた。とにかくジャケットと中のリーフレットが可愛かったので、飾ったり自分で絵に描いたりした事だけ覚えている。

 実際、それほど洋楽を聞いてこなかったので、その後に出てきたマライア・キャリーのEmotionsを聞いて衝撃を受けてすぐにアルバムを買った。アリッサ・ミラノは確かに上手くはなかった。マライアのお陰で洋楽の良さに気づき、マイケルやジャネットの曲を改めて聞いてみようとアルバムを買い、すっかり嵌ってしまった。買う本が映画雑誌から音楽雑誌に変わった。試験勉強をしながら深夜ラジオをよく聞いていたので、洋楽のヒットチャートの番組を流して、気になったものを片っ端からメモしておいて、CD屋で探して聞いていた。アースやエア・サプライ、ブライアン・アダムス、シェリル・クロウ、ブラー、バックストリートボーイズ、スパイスガールズ、TLCなど、メジャーどころばかりだが時代もジャンルもごちゃ混ぜにしてめちゃくちゃな聞き方をしていた。

 ここ数年は洋楽よりも国内のヒットソングを聴いている。というかofficial髭男dismがとにかく好き過ぎて一時期髭男しか聴いていなかった。Spotifyでヒットチャートを垂れ流して、髭男以外は気になった曲だけ買っている。新しいものを好きになれると、少しほっとする自分がいる。まだ受け入れる余地があるということだろう。歳を重ねると新しいものへ割く自分の中のスペースがあまりないことに気づく。最近のものにいいものがないのではなくて、自分の世界が固く門を閉ざしているようだ。なので髭男にこれほど嵌まれるとは思わなかったし、VaundyとかMrs.に好きな曲を見つけると嬉しい。それでも9月に高くて青い空を見上げると、何となくSeptemberを聞きたくなるのだ。

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