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麻雀72:元気なレジェンド【麻雀最強戦2024#2】


伝説を継ぐ者

麻雀界のレジェンドたちに佐々木寿人、滝沢和典の2人が挑む構図でスタートした、今回の最強戦。
個人的には毎年のレジェンド決戦が一番楽しみ。レジェンドといえば、どっしりと落ち着いた印象を受けがちだが、古くからライバルとして鎬を削った関係が現代まで続いているためだろうか、どの方も負けず嫌いで、はっきりいって子供のまま大きくなったような麻雀がスリリングで面白い。

この日は企画の想定通り、決勝卓ではタキヒサvsレジェンドの卓組になった。

レジェンド・伊藤優孝

伊藤優孝といえば、「エンジン理論」。いわゆる「流れ」をエンジンと言い換えて表現し、いかに自身のエンジンを温めて爆発させるかに力点をおいた戦い方をする打ち手である。
その伊藤らしさ全開の麻雀が予選卓で発揮された。まさにホップ・ステップ・ジャンプという表現がぴったりで、一旦エンジンがかかった伊藤を誰も止められなかった。序盤にリードを確保していたトップ目の滝沢を一気にかわし、親番がおちてからも自力で局を回す独壇場。
決勝卓では見せ場なく敗れたものの、まだまだ現役との凄まじい気迫が感じられる闘牌だった。

レジェンド・沢崎誠

Mリーガーとして活躍していた姿がまだまだ鮮烈に印象が残る、沢崎誠。好好爺然とした風体ながら、一打一打の熱量はまだまだMリーガーに混じっても遜色ないように感じられた。
この日の沢崎は、予選卓での前原とのバチバチのぶつかり合いが見どころだった。対局後のインタビューでははぐらかしていたが、対局中の雰囲気は前原しか見ていないかのような戦い方であった。
そんな対局をみていると、レジェンドリーグがあってもいいなと思えてきた。Mリーグとは違った、コアなファン層に喜ばれそうなコンテンツになりそうである。

タキヒサの実力

最近のタキヒサはコンビとして受け止められるようになったが、Mリーグ以前は実力伯仲するライバルであった。

寿人が鳳凰位を連覇し、今季も鳳凰位に返り咲くなど、その実力を知らしめるようにタイトルを獲得する中、滝沢はその麻雀を「王道」と称えられながらもタイトルからは縁遠くなっている。
しかし、私は滝沢の麻雀が好きだ。滝沢の麻雀は日本柔道にかさねてしまうところがある。体格差で劣る日本選手が恵まれた体格とパワーで押し切ろうとする外国人選手に磨いた技で相手の隙を窺いながら一本を狙う姿勢に似ている。
そんな切れ味鋭い、滝沢の麻雀が好きだ。

この日は、先行する寿人を滝沢が追いかけるも、最終的には寿人が押し切って優勝をもぎ取った。
寿人の麻雀は滝沢と対照的に「剛」で表現しがちだが、さきほどの柔道で言えば、日本人的な技を身につけ、さらにパワーも兼ね備えた選手だと思う。
現役最強プロの一角といえるまでに成長した寿人はこれからも数あるタイトル戦線で競合することだろう。気力体力ともに充実した寿人が今季の最強位の最有力であることは間違いない。

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