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麻雀64:麻雀プロとしての桑田憲汰をみると【最強戦2023#13】

全日本プロ選抜

毎年、熾烈な予選を勝ち抜いた選ばれし8名によってファイナリストを決めるグループリーグ。
今年は日本プロ麻雀連盟・関西本部所属の桑田憲汰プロがファイナルへの切符を手にした。
結果的に、桑田プロはこの勢いのまま2023最強位を獲得することになるが、この時点での桑田プロの印象を書き留めておきたい。

ガードなしのインファイト

今期の全日本プロ選抜は、左から、酒井(麻将連合)、桑田(連盟)、横山(連盟)、神森(連盟)の4名による対戦となった。

試合は序盤から全員がアガリに向かってまっすぐ進めて、相手からリーチがかかっても自身の手に価値があればしっかりと押していくスタイルで進行。一発勝負の最強戦ならではのインファイトとなった。

道中の展開をみて、「桑田プロにとって、願ったり叶ったりの展開だろうな」と思っていた。そう思ったのは、予選卓での桑田プロの押しっぷりが危なっかしくも気持ちよくなる位に強烈だったからである。自身の雀風と展開がマッチしていれば、自然にいつもどおりの麻雀になって勝ちやすくなると考えられるからである。

しかし、道中に望外のアガリを得てトップ目にたった桑田プロは、私にとって意外に映った。ここまでの全ツッパ麻雀は影を潜め、一転守備寄りの選択が目立ってきたからである。
この点、「トップ目が守備的になることは当然」との見方が多数派であろうことは、百も承知。しかし、桑田プロは、自身のプロフィールにアピールするほどの攻撃型麻雀であり、実際それでここまで勝ち上がってきたのであろう。そんな彼が、この場面で守備よりにシフトすることが意外に見えたということである。
それだけ、最強戦という冠が自身の雀風を狂わすほどのプレッシャーを与えているということでもあるのだろう。ともかく、結果的にグループリーグを制することとなったわけだが、「自身の雀風を曲げての勝利」というものが今後の桑田プロにどう影響していくのかは大変に興味深い。

日吉の予言

対局中、序盤に桑田プロが攻撃的にアガリをもぎ取った後、実況・日吉が興味深いコメントをしている。

「桑田プロが最強戦獲るんじゃないか。麻雀が強いとか弱いとかが言いたいんじゃなくて、(桑田プロのような)こういう戦い方が最強戦に合っているように見えるな〜。」

大変な慧眼だと思った。私なりに日吉のコメントを解釈すると、
麻雀という競技において、対局者の心理にどういう影響を与えていくかは重要である。とくに、一発勝負の最強戦においては、なおさらだろう。その意味で、対局者の「心を折る」。そんな一局、アガリができる選手にみえたということだろう。

実際に、最強位を獲得したわけであるから、日吉の予言は的中したわけだ。

麻雀プロとして

さて、麻雀のプレーは素晴らしいものがある桑田プロだが、プレー以外はまだまだプロとして未熟といわざるをえない。優勝者インタビューでは、インタビュアーの小山が困惑するくらいの口ベタっぷり。経験の浅い麻雀プロにありがちな傾向であるが、この勝利をもって、桑田プロの名を全国の麻雀ファンが知る事となったわけである。その事実を受け止めて、「麻雀プロ・桑田」をどのようにセルフプロモーションしていくか、真剣に考える局面にきている。

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