ロサンゼルス生活87日目

先日は近所でヤードセールがあった。私は靴とパンツと本を4冊買った。本は日本語の本を2冊と英語の本を2冊ずつ。全部でおそらく5ドルぐらいか。安すぎるだろう。

英語の本については簡単そうなものを選んだ。おそらくこちらの小学生とかが読むレベルのものではないだろうか。これくらいならば私にも読めそうである。こういうものから始めて、いつか小難しい本を英語の原文で読んでやるのだ。

日本語の本も売っていた。西村京太郎氏や森村誠一氏などのミステリー系の作品が多かった。森村誠一の作品ははまって結構読んでいる時期もあった。代表作だけれど『人間の証明』とかはやはり面白い。映画もいいんだよな。ジョー山中の歌うテーマソングは最高にいいし。

私が購入したのは花村萬月氏の『皆月』と大山史朗の『山谷崖っぷち日記』。花村萬月氏の作品は読んだことがない。しかしそのうちに読みたいなと思っていた作家のひとりである。ここで出会ったならばそれは運命である。読んでみようではないか。

大山史朗という作家については私は知らなかった。2000年に開高健賞をこの作品で受賞したようである。しかし『山谷崖っぷち日記』とはタイトルからしてそそるものがあるではないか。こちらについては早速読み始めている。面白い。山谷での日雇い労働者としての生活がありありと描かれている。

そしてこの人、かなりのインテリである。文章がうまい。経歴を見ると国立大学の経済学部卒業と書いてある。会社員生活に馴染むことができずにいつしか山谷で生活するようになる。そしてその生活を楽しんでいる。いや楽しんでいるというか積極的に受け入れているというか。作品全体に諦観のようなものも漂うが、なんというか暗くない。

他の作品もぜひ読んでみたいと思い、調べてみたのだが、全然出てこない。この一作のみで終わってしまった作家なのかもしれない。この作品はジャンル分けすると、ルポルタージュが近いと思う。なんとなくだが、物語を書くタイプの人でもないようにも思える。ルポルタージュを書くには取材や体験がマスト。しかしそれを探しに自ら出かけていくようなバイタリティは一向に感じない人である。もっと読んでみたいと思うのだが、他に作品がないことは仕方がないのかもしれない。ひとつの作品を世に出して、それで作家としての人生を終えてしまう人もいるのかもしれない。だがこの大山史朗という人に関しては、そのスタンスがまた好ましく感じられる。

しかし久しぶりに日本語の本を物色できて楽しかった。ああ日本の図書館が恋しい。銭湯の次に恋しいのは図書館だ。そういえばガーデナという場所にブックオフがあると聞いた。そのうちに行ってみたいと思っている。行ったが最後、あれも読みたいこれも読みたいと、私は店から出て来られなくなるかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?