児童福祉と個人情報保護法の整合性：不登校対策を事例に
児童の福祉に関する重要な問題、特に不登校対策や児童虐待防止などのケースでは、複数の機関間で個人情報を共有する必要性が生じることがあります。このような情報共有は法的に可能なのでしょうか？また、可能である場合、どのような法的根拠に基づいて行われるのでしょうか？
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１．不登校対策における個人情報の共有について
不登校児童生徒への支援を行う際、学校、教育委員会、関係機関等で個人情報を共有することは可能です。ただし、その際は個人情報保護法や学校教育法施行規則に基づき、適切に対応する必要があります。
個人情報保護法における取り扱い
個人情報を複数の機関で共有する際の法的基準は、主に日本の「個人情報保護法」に基づいています。
一方、不登校児童生徒への支援については、学校関係者や家庭、必要に応じて関係機関が情報共有し、組織的・継続的な支援を行うことが重要とされています。
学校教育法施行規則における取り扱い
指導要録は学校が保有する個人情報であり、本人から開示の要求があった場合の具体的な取り扱いについては、各市町村教育委員会の条例や規則等に基づき判断されます。
【参考】reiwa2-6-qa.pdf (tochigi.lg.jp)
また、指導要録は児童生徒の関係する学校以外には部外秘のものですが、外部に対する証明等に当たっては、その使途や本人に対する利益、不利益等を十分に考慮して慎重に取り扱う必要があります。
２．個人情報を複数の機関で共有する際の法的な基準は何ですか
個人情報を複数の機関で共有する際の法的基準は、先に述べた通り「個人情報保護法」に基づいています。この法律では、個人情報の取り扱いに関する基本的なルールが定められており、特に第三者提供に関しては以下のような原則があります。
法的基準
１．本人の同意: 原則として、個人情報を第三者に提供する場合、本人の同意を得る必要があります。この同意は、具体的な利用目的を明示した上で取得することが求められます。
【参考】今さら聞けない個人情報保護法のＱ＆Ａ① (dir.co.jp)（大和総研）
２．利用目的の通知: 個人情報を収集する際には、その利用目的を本人に通知または公表する義務があります。これにより、個人情報がどのように使用されるかを本人が理解できるようにする必要があります。
３．特定の例外: 児童虐待の防止や緊急時の対応など、特定の状況下では本人の同意なしに情報を共有することが認められています。この場合でも、情報提供の必要性やその影響を慎重に考慮する必要があります。
４．必要最小限の情報提供: 他の機関からの照会に対して情報を提供する場合、その目的に応じて必要最小限の情報のみを提供することが求められます。
これらの基準に従って、教育機関や福祉機関などが協力して不登校対策を行う際には、個人情報の取り扱いに細心の注意を払う必要があります。
３．不登校児童生徒への支援の在り方について
不登校児童生徒への支援については、児童生徒が不登校となった要因を的確に把握し、学校関係者や家庭、必要に応じて関係機関が情報共有し、組織的・継続的な支援を行うことが重要とされています。
また、不登校児童生徒の一人一人の状況に応じて、教育支援センター、不登校特例校、フリースクールなどの民間施設、ICTを活用した学習支援など、多様な教育機会を確保する必要があります。
【参考】不登校児童生徒を支援する民間施設に関するガイドライン（兵庫県教育委員会）
以上のように、不登校対策においては個人情報保護法や学校教育法施行規則を踏まえつつ、関係機関が連携して児童生徒の状況に応じた適切な支援を行うことが重要です。
関係機関が連携して児童生徒の状況に応じた適切な支援を行うことが重要
教育・IT関係の情報、時々一人旅の記録や日々の出来事など発信。最近は生成ＡＩにハマっているのでそっち系多め。地方在住。読書好き。犬と猫を飼っています。