能「今生巴」梗概
追討を受けた木曽義仲(ワキ)は今井兼平その他の郎等たち(ワキツレ)とともに敗走するうち、近江国粟津の原に陣を取る。もはや最期と覚悟を決めた義仲は、郎等の中に愛妾の巴(シテ)が交じっていることに気づき、最後まで女を連れたと言われるのはよろしくないと、彼女に落ちのびるよう勧める。巴は、長年従ってきたのだから、これ以上供が叶わないならここで殺してほしい、と涙ながらに訴えるが、義仲は彼女を死なせるに忍びず、供を許さないので、巴は泣く泣く退出する。
やがて合戦が始まり、御田八郎(ツレ)の手勢が迫ると、巴はただ一騎で奮戦し、御田をも討ち取ったのち、鎧を脱ぎ捨てて、行方も知れず立ち去る。
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