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【主日礼拝ノート】「幼子に宿る知恵と光」

  これは2023.12.31の主日礼拝で、T.M引退教師がお話されたものを書き留めて、話の流れに沿ってまとめたものです。
  本文では、『聖書協会 新共同訳』を引用しています。

【 聖書箇所 】
(旧約)イザヤ書 11章1-10節
(新約)マタイによる福音書 2章11-12節

【 説教まとめ 】

  インマヌエル(主は私たちと共におられます)。

  このことを体全体で味わうことが礼拝です。そして、祈りとは教会で育てられると言われますが、それが礼拝です。私たちは、この礼拝で育てられたものを日々の糧として生きていますね。

  今日は、大晦日ですが、教会は、正月でもクリスマスのお祝いをします。1月6日を ” 公現日 ” 、学者たちがイエスさまを訪ねた日、イエスさまが公に姿を現された日、世界中の人々に福音(神の愛)が示された日として、教会の暦ではクリスマスをお祝いします。

  イエスさまを訪ねた東方の学者たちは、東方のどこから来たのかは定かではありませんが、ユダヤの外であることは間違いありません。

  この学者たちは、占星術の学者でありますが、ほかのいろいろな説では、東方の王さまであるとか、知識人であるとか言われています。それは、黄金など高価な品を献げたので、地位もあり、知識も持ち合わせた身分の人ではないかというイメージです。

  当時の社会では、天文学が発展していました。それは、王の権威と暦とはつながっていたからです。

  たとえば、日食や月食などで、全地が暗くなると人々は不安になり、その予測をしていなかった王の信用が損なわれるからです。

  また、学者の役割は、時代の変わり目、歴史的な転換を見定めることにもありました。たとえば、近代でいうと、軍国主義から民主主義への転換があげられるでしょう。

  時代の変わり目とは、当時は王政ですから、王朝が変わることを意味します。それは戦乱の世になるということで、これまでの当たり前がそうでなくなること、都が焼け野原になることを人々は不安を感じていますが、学者がこれらのことを進言するのです。

  ヘロデ王のもとを訪ねた学者は、伝統的に3人だと言われています。それは、黄金・乳香・没薬と3つの品から、3人と言われているのです。

  その学者たちから尋ねられたヘロデ王は、律法学者を問いただします。律法学者は、『ミカ書』の預言を告げ、ヘロデ王は内心の怒りを抑えながら、「私も拝みに行くから教えてくれ」と言います。

  ここでわかることは、聖書をただ読んでいるだけの人たちは、行動を起こさないということです。知識は知識、日常は日常と分けて、メシアの誕生を知ってはいても拝みには行きません。

  そして、東方の学者たちが帰って来ないのを見てヘロデは、ベツレヘム近郊の2歳以下の子どもを皆殺しにします。権力者は、自分の身を守るために権力を用いて、ひどいことをすることがわかります。

  一方、東方の学者たちは、東方からエルサレムへ、そしてメシアのもとへと星の導きに従って行きました。ここで、これまでの価値観とはまったくことなるものと出会うことになります。

  この世の価値観とは、貧しい者たちが王さまを拝むものですが、自分では話すことも、身動きを取ることもできない赤ん坊を、健康で、知識もあり、富みも得ている大人が拝むのです。

  大人が幼子にひれ伏す。これが福音のカタチです。

  たとえば、現代でいうと、お金をばらまく政策ではなく、重い障害や病を患った人たち、(このように例えるのが相応しいかはわかりませんが)小さくされている人を中心に世界を組み立て直そうとすること、それがクリスマスの伝えたいことであり、神の教えではないでしょうか。

  イエスさまは、十字架につけられてしまいますが、その身動きを取れなくなった姿は、赤ん坊のイエスさまの姿と重なります。

  赤ん坊の先に十字架のイエスさまを見ることができます。

  学者たちは、黄金・乳香・没薬を献げますが、黄金は価値あるもの、乳香は焼くことで清らかな香りを放ちます。清らかな雰囲気といいましょうか。没薬は、遺体にぬるもので、十字架の死を予兆するものです。

  この献げ物をした学者たちに、イエスさまは何を贈られたでしょうか。

  よく、言葉にならない言葉を聞くことが大事だと言われますね。これまでの常識とは異なる福音のカタチが示されました。イエスさまは、優しい心を学者たちに与えられました。

  その心に従って学者たちは、来た道とは別の道を通って帰りました。そのことでヘロデ王との約束を破り、嘘をついたとも言えるかもしれません。しかし、学者たちは命を守る選択をしたのです。

  私たちも約束を破ったり、嘘をついたりして心がとがめられることもあるかもしれません。しかし、命を守る選択、主に従う選択は、慰めと励ましを与えてくださいます。

  これまでの常識にとらわれないで、優しい心をもって歩むことができます。

  お祈りをしましょう。


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