院政期の伊勢神宮式年遷宮と行事弁
はじめに 中右記は、白河院の院政期、堀河天皇の御代、寛治8年6月13日の除目により、正四位下侍従から同右中弁に遷任され、同23日に伊勢遷宮の行事弁に任じられた藤原宗忠の日記であり、伊勢神宮の式年遷宮に関する朝廷側の官人の記録として、第一級の史料である。また、同時に、伊勢神宮役夫工の草創期の重要な史料でもあり、当該論考に多く参照・引用されてきているが、その他、行事弁に関する考察は殆どされていないように思う。そこで本稿では主に中右記の記述から行事弁からみた伊勢神宮式年遷宮につい