2024/07/11CA「日本の学校教育における部活動の是非」

今回は「日本の学校教育における部活動の是非」について立論者は部活動は必要ないという立場、ゼミ生は部活動は必要であるという立場で議論を行いました。

【記事】

2019年9月6日 何のための部活動なのか?(学校教育で部活動をおこなう意味はどこに)

 現在、日本の中学校や高校では、部活動は「あって当たり前」、「やっていて当たり前」と考えられている。特に中学校では運動部が70.6%、文化部は19%、文化部と運動部の両方また複数の部活に所属している割合は2.3%で生徒の大半が何らかの部活動に所属していると考えられる。(スポーツ庁「平成29年度運動部活動等に関する実態調査」)
 そんな中、著者は現状の部活動運営についてこのままでよいのかという提言を行っている。大会やコンクールで勝つことを目的とする「競技の論理」と生徒の人間性や社会性を育む「教育の論理」など、部活は何のために運営をしているのか目的が入れ違っている事例が多くみられるという。
 中学校、高校の指導要領には、部活動について「生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化,科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等,学校教育が目指す資質・能力の育成に資するもの」と書かれている。つまり、学習指導要領では、生徒の自主性を尊重すること、スポーツ・文化等に親しませることを目的に記述されている。当たり前だが、「教育の論理」に立っているので、「大会等で顕著な成績をおさめることを目指す」などとは書いていない。

 そこで今回は「日本の学校教育における部活動の是非」というテーマで、立論者は「学校教育において部活動は必要ない」という反対の立場から立論を行うので皆様は「必要である」という賛成の立場で立論をお願いします。

〈前提条件〉
学校教育においての部活動の是非なので、学外の習い事は議論に含まない。

Q中学・高校など範囲の限定を行うか?
A両方の視点から議論していい。
Q外部コーチの視点は?
A学校で行われている部活動の事例はすべて用いていい。

【意見・論点】

1.自由な時間が少ない。
→部活動があることによって平日の放課後だけでなく土日などの休日も部活動の練習のために時間を奪われてしまう。全国の中学校の平均活動時間は、平日で2時間程度、休日で3時間前後とされており、中学校部活動の活動状況部に関する調査では、活動の休養日を設定している学校の割合は、週に1日と答えた学校が54.2%、週2日と答えたのが14.1%、設けていないと答えた学校が22.4%という結果が出た。
 このことから、日本に住む学生は多くの時間を部活動に費やしているといえる。

Q休日を儲けていない学校は強豪校とか、時間がないなら別のところで工夫したりしている
A確かにタイムマネジメント等を学ぶ上でも部活動は必要になる。しかし、上下関係により休みが欲しいなどと意見しずらい可能性がある。

2.教員の負担が大きい
→部活動によって生じる負担は生徒へのものだけではなく、監督引率している顧問の教員への負担も大きいといえる。教員が不足している現代で部活動による時間外労働の増加など労働環境が問題視されている。

Q部活動指導員が顧問となり、教員自体は補助的になるので負担にはならない
A外部コーチに委託することもありだが、学校運営に携わらない人を雇うのはコストがかかる
Q現状の議論から考えると教員側は自主的に休暇を取ろうとするのでは?
A学校の規定から試合には同行しなければならなかったりすることで休暇は取りづらいと考えられる。
Q毎週試合があるわけではない
A会社員に比べ土日出勤の数は多くなる。
Q夏休みに関しては試合が平日になるから会社員と変わらない
A活動が活発な部活動に配属される教員と、そうでない教員との差が問題
Q希望が出せるし、移動も可能。家庭によって配慮される。教員をすること自体部活動をすること前提になっている(公立高校での話、学校によっては違うかも)
A覚悟を持って教員担ったとしても現状、時間外労働が問題視されている。
Q教員の給料が高い。多少の時間外労働はその範囲内で収まる
A回答なし

3.学業への影響
→部活動は放課後や休日に行われるため、生徒の勉強時間を大きく制約する。部活動に多くの時間を割くことで学業成績が低下するリスクがある。学業が最優先されるべき学校教育において、部活動が学業の妨げとなることは問題であるといえる。

Q部活動に入るのは生徒の自主的なもの
A個人の自由と言えども90%の人が部活動に入っている。同調圧力の問題もある。
Q部活動からプロになることがある。その場合勉学関係なくなる
Aプロになったとしても勉強は必要である

4. 他の興味・関心の喪失
→部活動に多くの時間を割くことで、生徒が他の興味やスキルを追求する機会が減る。例えば、芸術や科学、ボランティア活動など、幅広い経験を通じて多様なスキルを身につけることが出来るが、部活動に多く時間をとられてしまうため、学校生活の大部分を勉強と部活に占められて、これらの機会を奪うことになる。このことは、生徒の将来にとって選択肢の幅を狭めてしまう可能性があるといえる。

Q学校が費用を負担してくれることで、興味あるスポーツに携われる
A経済的な問題で外部での習い事ができないので、その部分に関しては必要である

【反論・再反論】

1.部活動を通して先輩や顧問の先生との上下関係が学べる。
普段の学校生活では上級生と交流する機会がない。しかし、部活動の中なら、先輩と後輩が関わる機会が多いため、練習を通して礼儀などの上下関係を学ぶことができる。
→部活動という狭いコミュニティの中で長時間活動しているといじめやパワハラがおこる原因になったり、後輩の立場が低くなり意見や提案がしにくい状況を生み出してしまったりする。先輩(年上)の存在=怖いものというイメージがついてしまう可能性がある。

Qイジメ、パワハラはどんなコミュニティにもある。部活動のうちに学べる機会があるのは意義がある
A確かにその通りである。しかし、部活動以外の場所、授業などで先生は敬うものとして上下関係が学べる
Q上下関係は世界的に見ても日本特有の文化である。はじめから知らない状態を作るのは社会を知らない状態を作るのと同義である。
A回答なし
Q学校のクラスは先生が主体。部活動は生徒が主体として組織がなりたつ。それを学べる機会を奪ってはいけない
A先生が主体の授業は良くないものであり、生徒が主体の授業になるように体系を変えていけば部活動でなくても学べる。
Q生徒が主体の授業ってどんなもの?
Aグループワーク等によって役割分担を行うことができる
Qそれは中学校では難しい。学力の差がある。高校ならある程度学力が一定であるが、学力差があると逆にイジメにつながる。
A確かに学力レベルが均一な方が取り組みやすい。しかし、社会に出たら学歴関係なくチームワークが求められる。
Q会社と学校は分けるべき。会社はお金をもらってやっているが、学校はない。お金の対価として組織の秩序を保つ。
A子ども会などを例に上げると、地域の人のコミュニティではお金の対価なしに学歴差もある。
Qそういった組織観を残したければ部活動を残すべき
A小さなコミュニティに限定する必要性がない


2.部活動での時間が長いため部内でのコミュニティが作れる。長い間同じ空間で同じ練習をして、共に苦しい練習を耐えて同じ成功体験を経験することで団結力が高まり、特有のコミュニティができる。
→気の合う人、合わない人にかかわらず、半強制的に同じ時間を過ごさなければならない。仲違いしてしまった場合孤立してしまう。

Q孤立してしまうというのは違うのでは?社会人基礎能力の3つ(チームで働く力等)は部活動によって培われる。チームで学んでいくことの必要性がある。
Aその通りであるが、ここで言う孤立は、小さなコミュニティの中で孤独を覚えること。その結果部活をやめる人が出てしまう可能性も。スポーツが好きだから部活動に入ったのに、人と気が合わないからやめてしまうのは良くない。
Qスポーツが好きだから部活に入ったのに気が合わないからやめるは違う。その人の性格や団体の雰囲気など様々な要因があるから客観的に見る必要がある。
A回答なし

【引用文献】

1.スポーツ庁「平成29年度運動部活動等に関する実態調査」
1403173_2.pdf (mext.go.jp)

2.文化庁「文化部活動の現状について」平成30年7月
r1407482_03.pdf (bunka.go.jp)

3.スポーツ庁「運動部活動の現状について」平成29年5月
1386194_02.pdf

4.スポーツアカデミー2018 第3回 「運動部活動の現状と課題 ~中高生のスポーツ環境の維持・改善に向けて~」2018年
「運動部活動の現状と課題 ~中高生のスポーツ環境の維持・改善に向けて~」 - スポーツアカデミー2018 第3回 - 笹川スポーツ財団 (ssf.or.jp)

5.「部活上下関係のメリットは何?先輩後輩間でのタメ口についても検証!」
部活上下関係のメリットは何?先輩後輩間のタメ口についても検証! | 紆余曲折 (goichi-life.com)

【先生からのコメント】

主に先生の負担の論点が多いが、教育、健康増進、地域コミュニティなどなど様々な問題が整理されずに議論されている。問題を整理されていないことが何よりも問題。整理して、分ければ良い。
それを邪魔するのが、全員同じように身に着けるべきという日本社会の平等の風潮。平等を推し進めることで不平等が生じる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?