初級レベルの発音辞典

1、音節

母音の音があるごとに音節が1つ区切れる
1、母音 2、子音+母音 3、子音+母音+子音
→ 子音単体では音節をつくれない

例) bonjour → bon/jour
例) gâteau → gâ/teau
例) chef → 1音節

・日本語 → 母音のみか、子音と母音の組み合わせ → あ(a)、た(t+a)
・フランス語 → 母音のみか、子音と母音の組み合わせ、子音のみ

例: France[frɑ̃s]
→ FとCに関しては母音の音は入らない
→ 1回で発音する

したがって、4回で発音し、必ず母音とのセットになる日本語の"フランス"と
1回で発音し、子音単体でも発音するフランス語の"France"ではそもそも音が違う。

2、母音

フランス語: 12 → 7つの音は優先的にマスターする必要がある


[i] → 口を横に広げ、開きは狭く。口角をあげる。 例) ici, ville
[e] → [i]と同じで横に口を広げ、[i]よりも縦にほんの少しだけ開く。 例) éléphant, été
[ɛ] → [i]の口をベースにそれよりも縦に広く口を開く。例) mère, fête
[a] → 口を横に広げ、開きはやや広く。 例) travail, japon

[y] → 口を完全にすぼめ、舌先を下の歯の裏に軽く触れる。例) unique, université
[ø] → 口をややすぼめる。例) deux, jeu
[œ] → 口を半開きにする。例) acteur, seul

[u] → 口を完全にすぼめる。 例) douze, cours
[o] → 口をややすぼめる。例) mot, beau
[ɔ] → 口を半開きにする。 例) homme, gorille

★母音の音に対応する文字

① 単母音
A, I, U, E, O

・a [a]
・i [i]
・u [y]
・o [o] [ɔ]
・e: 基本的には発音しない
→ é [e] è [ɛ]


② 複合母音
・ai, ei [e][ɛ] 例) lait
・eu, oeu [ø][œ] 例) deux
・au, eau [o][ɔ]  例) eau
・ou [u] 例) douze


それぞれの音とそれに対応する文字をマッチさせてあげることで新しい単語に出会ってもしっかりと発音することができるようになります。
例) europe (ヨーロッパ) 母音の文字が3つ(eu, o, e)ありますが、それぞれ[OE]、[O] (本来は[ɔ]の音)、[発音しない]と音と文字を組み合わせてあげることができ、正確に発音することができます。

③ 半母音

ひとつの音節をつくれず後ろに違う音を伴って発音する

① i +母音、母音+il/ill [j] 例) piano, bien
② 子音+ill [ij] 例) famille, fille
③ ou +母音 [w] 例) oui, ouest
④ oi [wa] 例)moi, trois
⑤ u +母音 [ɥ] 例) nuit, huit

→ 半母音は母音と違い音節を作れないので、pianoはpi/a/noと3音節ではなく、pia/noと2音節になる。

④ 鼻母音

鼻母音の音の種類: 3

1, [ɑ̃]: [a]の発音の口で発音する
→ an, am, en, em
例) ensemble, exemple, soudan, sang


2, [ɛ̃]: [ɛ]の発音の口で発音する *[œ̃]は今日使われてるフランス語では区別せずに[ɛ̃]の音で発音される
→ in, im, un, um, yn, ym, ain, aim, ein, eim
例) demain, soudain

*音の違い
soudan-soudain (スーダン-突然に)


3, [ɔ̃]: [ɔ]の発音の口で発音する
→ on, om
例) nom, oncle


※カタカナ読みではなくフランス語の発音を意識する
ノンは2回で発音するが、nomは1回で発音する

3、子音

* 基本的に語末の子音は発音しないが、"c","f","l","r"が語末にくるときは基本的に発音する。

★子音の構成要素

① どこで発音するか
p (両唇), f (歯と唇), t (歯茎)

② どうやって発音するか
p (破裂音), t (破裂音), f (摩擦音)
摩擦音はその音を長く続けることができる。
破裂音は続けられない。


③ 有声(濁音)か無声(清音) → 声帯が震えるか震えないか

f (無声)-v (有声)


★①と②は同じだが③だけ違う音の組み合わせ

f-v, t-d, s-z, ʃ-ʒ, k-g, p-b

★これらの子音には対応するペアはなく、清音にも濁音にもなれる子音

r, l, m, n, ɲ

★ 同化現象


Je suis japonaise [ʒ sɥi] ●+〇
→ 濁音と清音が連続すると声帯にとって大変
→ 濁音と清音が連続すると後ろの音に合わせて前の音が変化する
→ [ʒ]の音のペアは[ʃ]
●+〇→ 〇+〇 [ʃ sɥi]
→ ʃとsの音は似ているので、後ろのsが飲み込まれて、最終的に[ʃɥi]という音になる



une tasse de thé [yn tas də te]
→ [tas+də]
→ 〇+●
→●+● [yn taz də te]


livre
→ [-vr]
→ ●+〇
→ 〇+〇 [-fr]

★ 子音の発音のコツ

d: 舌先を上の歯の裏に当てる (mon Dieu)
ʒ: 舌はどこにも触れない (mes yeux)
z: 舌先を下の歯の裏に当てる

+α)

日本語でも基本的には①と②が同じだが③が違う清音と濁音の組み合わせになっている。
例) カ行とガ行

ところが、ハ行とバ行は①、②が違うのでそもそもペアになっていない。
「は」は両唇を離して発音するが、「ば」両唇をつけて発音する。
バ行と本来ペアになる音はパ行である。パ行とバ行は①と②が同じで③が違う。

したがって、昔の日本ではハ行の音はパ行で発音されてたと言われている。

花→パナ

それが、だんだんと唇を使わない"ファナ" [ɸana](fの音とは異なる両唇を使うファの音)という音になり、最終的に全く唇を使わない"ハナ"という音になった。

また、もともと日本語にワ行の音はなく、パ行の音だったが、語中と語頭のパ行の音は最終的にワ行の音になった。(ハ行転呼)

川→ カパ [kapa]→ カファ [kaɸa]→カワ [kawa] 
* ɸは両唇摩擦音 fは唇歯摩擦音

恋 → こぴ [kopi]→ こふぃ [koɸi]→ こうぃ[kowi] → こい [koi]
* 室町時代に「うぃ」の音は「い」の音になった。


ハ行の音には3つの異なる子音の音が含まれている。

は、へ、ほ → 口を半開にして舌は使わない (h)
ひ → 舌を上の歯茎の近くに置く (çi) ヒャ行の音
ふ → 両唇を使って発音する (ɸu) ファ行の音

口を半開にして、舌を使わずに"hi","hu"と発音することはできない


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