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幻の芋
「そふとくりぃむをひとつ」
およそ登山客にもバイカーにも見えない小柄な髭の老人だった。
「……治助さんかい!」
「落合さん、久しぶりじゃ」
禿頭赤ら顔の店主も高齢で、ふたりが陽だまりの椅子で渦巻を舐める姿はどこか微笑ましい。
「学生さんの地域おこしに一肌脱いだと聞いてな」
「猿のおしゃべりめ、山はつながっておるから」
「わしもカレーに入ってハイカラになったもんじゃが、あいすとは」
煮っころがしや味噌をつけて食卓に上ったこともある。
蘭学者が先読みしたとおり、食糧難の時代、斜面から掘り起こされた芋は山の民を救った。
「消えそうでなかなか消えないものじゃ」
「粘り強いからの、お互い」
やさしい甘さが秋の空に溶けていった。
幻のおいもをおいもとめて
じゃがいも擬人化SS
いただいた反応
引用RTでいただいたもののみ、見つけしだい増えます。
すごい、あちこちに芋の紹介が入っている(たぶん?)から、読んだだけで二種類の芋の特徴が分かったような気分になれる…! https://t.co/de05CEK5E6
— 鳥飼泰@「神火の君」公開BOOTH (@torikaitai_yo) November 6, 2021
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