ひろいぬ
夏の名残を洗い流すような肌寒い雨だった。
フロランタン偵はコートの襟を掻き合せ、今日もあと一歩容疑者を追い詰められなかったことをぼやいた。
おまけにメインストリートで銃撃戦が起こったとかで迂回させられている。
こんな日はお気に入りのガウンにくるまって古い映画を見るに限る。
クイニー。
毛の長いモップのような塊が足元で鳴いた。
「君、こんなところにいたらヤクザに鍋にされてしまうよ」
クイニー。
箱の縁に前脚をかけ、しとどに濡れている。
フロランタン偵はふむと顎に手を当て考えたあと、耳の後ろを掻いてから、コートの前を開いて子犬の前にしゃがんだ。
「よければ一緒にくるかい? ピスタチオミルクはお好きかな」
アマン! アマン!
同じ世界観
派生作品
舎弟(?)の三宮のえるさんがインスパイア作品を書いてくれました。
マリトッツォ党です。
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