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NEOMとは!?総額75兆円超え!のメガプロジェクトを詳しく解説します

日本では殆ど報じられない…

NEOMという言葉を見た事、聞いた事が無いでしょうか。
サッカーファンの方や、モータースポーツファンの方ならもしかすると目にした事があるかも知れません。
NEOMはアジアサッカー連盟のスポンサーに名を連ねており、アジア・カップやアジアチャンピオンズカップ、直近ではオリンピック予選を兼ねたU23アジアカップでもスタジアムにNEOMの文字が表示されていたので実は目にした方も多い筈です。
あるいは電気自動車のフォーミュラレースであるフォーミュラEでも名門マクラーレンのトップスポンサーであり、2024年3月30日に東京・有明で開催された東京大会でNEOMの名を目にした人もいる筈です。
このNEOM、実は桁外れの金額とスケールを持つ巨大な都市計画の名前であり、それを束ねる組織の名称なのです。
日本では殆ど報じられる事が無いですが、国際的には大きな注目を集めているNEOMとそのプロジェクトについて詳細に解説します。

サウジアラビアで進む壮大すぎるプロジェクト

NEOMは中東のサウジアラビアで進められている、総工費5,000億ドル(約75兆円!)、
メディアによっては1.5兆ドル(約227兆円)とも報じられる、とてつもない規模の都市計画の名称です。
但しNEOM側の公式発表によればNEOMは「都市」では無く、先進的でクリーンな多くの地域で構成される「場所」だとしています。
NEOMは単純な規模の大きさだけでは無く、革新的なアイデアを敷き詰めた都市設計や大胆な開発スタイルでも熱い注目を集めています。
NEOMは大きく5つのプロジェクトに分かれていますが、そのどれを取っても普通の日本人の発想を遥かに超えた内容になっています。
正直ドン引きするほどのプロジェクトですが、既にその開発は大きく動き始めています。
最近では余りにも巨大な計画に対して規模の縮小も示唆されていますが、それでも他に類を見ないプロジェクトである事は変わりません。
環境に優しく、誰も見たことが無いような未来都市、それがNEOMの目指す姿です。
なぜこのような大きな都市計画を手掛ける必要があったのでしょうか。
そこにはサウジアラビアの抱える将来への強烈な危機感があります。

Vision2030

サウジアラビアと聞くと多くの人が砂漠と石油を思い浮かべると思います。
実際この国は豊かな石油資源によって巨満の富を築いてきました。
しかしながら石油資源には枯渇の危機がある上、代替燃料の開発や、環境問題など多くの課題を抱えています。
サウジアラビアの国家財政や経済は石油に依存し過ぎており、政府はその将来に大きな危機感を持って脱石油の経済構築を模索しています。
そうした状況の中、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は国家戦略「Vision2030」を発表しました。
石油によって豊かになったサウジアラビアがその富を大胆に投入して、脱石油の経済モデルを創り上げようとする壮大な計画です。
NEOMはVision2030を代表するプロジェクトになります。

ムハンマド・ビン・サルマン皇太が子主導

NEOMはムハンマド・ビン・サルマン皇太子と、ロジャー・ニッケルズ氏が主導して進められています。
ニッケルズ氏は英国の構造工学コンサルタント会社ビューロ・ハッポルド(Buro Happold)のCEOを努めた人物です。
NEOMという名称は古代ギリシャ語で「新しい」を意味する”neo”にアラビア語で「未来」を意味する”mostaqbal”の頭文字をつけた造語で「新しい未来」を意味しています。
「活気ある住民重視の社会」と「国際的なイノベーションの拠点」の両方を創造しようとしています。
NEOMが展開されるのはサウジアラビアの北西部のタブーク州で、ほぼ砂漠と山岳地帯だけという一帯になります。
この地域に先進の技術や概念を持つ未来志向の都市開発を行ないます。
居住地はもちろん、世界最大級の国際空港、港湾、研究センター、エンターテインメント施設、観光地などを一気に整備します。

NEOMでは無数の建築物が建てられますが、建築設計には世界中の一流の設計事務所が集結しています。
主なものではザハ・ハディド・アーキテクツ(Zaha Hadid Architects/英国)、モーフォシス(Morphosis/米国)、オランダのUNスタジオ(UNStudio/オランダ)、アエダス(Aedas/香港)と錚々たる顔ぶれです。

5つのメガ・プロジェクトで構成

NEOMがつくられるのは、サウジアラビアのタブーク州の地域です。
但しNEOMのプロジェクトはタブーク州の1箇所に纏まっているのでは無く、大きく4つのメガプロジェクトが同時進行的に進められています。
NEOMでは以下のプロジェクトが展開されています。

・THE LINE
・TROJENA
・Oxagon
・SINDALAH
・GULF of AQABA

THE LINE

NEOM HPより引用

THE LINEはNEOMの中でも最も注目度の高いプロジェクトです。
THE LINEは海抜高さ500M、幅200M、そして全長170kmに及ぶ超高層型の都市です。
両側面は鏡状の壁で覆われ、その間にあらゆる施設が組み込まれます。
東京タワーより遥かに高い壁が東京駅から静岡市まで続いているといえばその規模感がイメージできるでしょうか。
THE LINEでは中心部から郊外へと広がっていく既存の都市の在り方を拒否し、垂直型の都市を実現します。
NEOMの居住区域には学校、医療施設、店舗、レジャーセンター、緑地などが集積されており、すべてが徒歩5分圏内にあります。
端から端までを仮に車で移動すると2時間近く掛かる計算になりますが、NEOMでは車を使った壁内の移動を想定していません。
THE LINEでは歩行者道路を軸として道路と車を排除し、脱炭素都市としてのモデルを示そうとしています。
住民は、域内のどこにでも最大17分で到達できる超高速の大量輸送システムを利用する事ができます。
輸送システムにはサウジアラビアの高速鉄道を導入します。
THE LINEでは、当初は約100万人の居住を視野に計画を進め、最終的には最大で900 万人の人が居住する計画となっています。

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