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節税を実現するための5つの視点vol.1


はじめに

利益が出たら税金を納める。これは日本の租税制度においては避けて通れません。

しかし、獲得した利益をなるべく手もとに残したいという経営者の気持ちもわかります。同じ利益水準の競合他社より多くの納税をしていては御社の競争力は低下します。
無駄な税金を納めていては競争には勝てません。

本記事から5回に分けて「節税」を考える際に検討する5つの視点をご紹介しますので、効果的な節税で会社と個人のお金を守りましょう。

節税とは

この記事で言う節税とは「税の仕組みを活用して、キャッシュを増やすこと」です。キャッシュが増えない施策は節税の範囲に含めていません。
納税額が減るが手もとに残るキャッシュも減ってしまう「節税のようなもの」が世には溢れていますので注意しましょう。

5つの視点(その1)

所得(利益)の種類を変える

所得(利益)の種類を変えるとは、つまり所得(利益)の性質を変えるということです。
日本の税制では所得(利益)の性質によって課税方法が異なっており、その区分は10種類あります。
給与、退職、配当etc
100万円を受け取るという行為は同じでも、10種類のうちどの区分で受け取るかによって税負担は大きく違います。

その他にも子供に財産を「給料」として渡すのか、「贈与」で渡すのかにより、所得税が課されるのか贈与税が課されるのかが分かれます。

もちろん適正額の範囲内という制限と取引の合理性という制約はありますが、工夫次第で大きな効果を期待できる視点です。

具体例

所得の種類を変える方法の典型例である給与から退職金への変換効果を、具体的数値を使って計算してみます。

(前提)
報酬総額 3億円
勤続年数 15年
扶養家族 なし

(3億円を全額給与として受け取った場合)
手取り総額 約195百万円

(3億円のうち80%を給与、20%を退職金として受け取った場合)
手取り総額 約210百万円

※手取り総額とは社会保険料、所得税、住民税を差し引いた残りを言います。

おわりに

いかがでしょうか。
上記の例ではお金の受取り方を工夫するだけで約1500万円手もとキャッシュが増えました。
しかし、ご注意ください。給与の一部を退職金へ回すということは、今の手取りを少なくして退職時に大きなキャッシュを得るということです。
15年間給与を絞り続けて1500万円の節税実現を割りに合うとするのか割に合わないとするのかは個人の価値観によって違います。
また、会社の出口をM&Aに置くのか清算に置くのか、子供へ引き継ぐのかによっても有効な戦略は違います。
結果的として節税策を有効に機能させるには他社の事例を鵜呑みにするのではなく、大原則を知った上で自社仕様にカスタマイズすることが必要です。

本記事では、大原則のひとつ「所得(利益)の種類を変える」をご紹介しました。

葉っぱだけでは花は咲きません。根っこや幹も育てましょう。


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