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スナック忘れな草~32年振りの邂逅・札幌2歳S~


■ GⅠコンプリート

2023年9月1日(金)午後8時
-東京都某区 スナック忘れな草-

「この馬でいよいよコンプリートかいな?」

タコ社長がガラケーを見ながら言った。札幌2歳S、武豊が騎乗する9番ガイアメンテのことらしい。

「平地GⅠコンプリートに王手をかけたのが2021年、朝日杯フューチュリティステークスのドウデュースでしたね。残すは暮れのホープフルSのみ。明日の着順に関わらず、このコンビで向かうのでしょう」

マスターが言った。ギョニ子が続ける。

「ガイアメンテはサンデーレーシングね。武豊がサンデーの勝負服を着てるのってなんかピント来ないかも・・・」

「そうなんですよ、今日子ちゃん。ガイアメンテのデビュー戦も武豊が騎乗したのですが、サンデーの馬で新馬戦を勝つのは実に8年振りだったらしいです」

マスターの説明を聞いて、スマホを操作していた真一郎が言った。

「サンデーでの重賞勝ちとなると、2010年のローズキングダムが最後みたいですね」

やはりスマホを操作していた麗子ママが続いた。

「JRAアニバーサリーのキャンペーンだけど、QUOカードコンプリートフォトブックが賞品になってるわ。最近こういうコンプリートものが賞品になる企画が多いのも、武豊のGⅠコンプリートへの布石なのかしら?」

JRAアニバーサリーキャンペーン

「まあ、ホープフルSの話はまだまだ先だから置いておいて、軸馬選びで固くいくならこの馬でいいんじゃねえの?」

タコ社長が言った。2歳重賞の予想が得意でないタコ社長は、どうしても人気サイドに目がいってしまうらしい。

■ カイコウ

「対角にカイコウがいるのはいいかもしれませんね」

マスターが言った。

札幌2歳S
2-02 [地]カイコウ(正2
8-09 ガイアメンテ(逆2)武豊

「カイコウときいてもどんな字を書くかピンときませんが、まず普通の人は書けない『邂逅』だそうです。意味は思いがけず出会うこと。どこかで見た熟語だなと思ったら、こんな企画がありましたよ」

マスターがみんなに見せたスマホの画面には、武豊と羽生善治が並んで映っていた。

超レジェンド対談~武豊×羽生善治
32年ぶりの【邂逅】~@ニコニコネット超会議2021

「ああ、あったあった!レジェンド武豊はGⅠコンプリートに王手。そしてレジェンド羽生善治のほうは、将棋タイトル通算100期に王手なんだよなあ。化け物藤井聡太登場でちょっと難しくなってきたけど」

将棋ファンでもあるタコ社長が言った。昨日は史上初の八冠独占に挑戦している藤井聡太竜王名人が、初戦で永瀬拓矢王座に敗れる場面を、スナック忘れな草で観ていた。

「そうなるとカイコウは対角のガイアメンテのサポートなのかしら?」

ギョニ子がそう言うのも無理はなかった。カイコウは現在最低人気。前走のクローバー賞を2着はフロック視されているようだ。

「ん~~、サポートかもしれないけど、カイコウ自身もあるんじゃないの?」

真一郎が言った。新潟記念の8枠が怪しいという。

新潟記念
8-13(プラ)ダリア
8-14(マイ)ネルウィルトス

「8枠両馬の頭文字で『プラマイ』。今週どこかで対角ゾロ目が出るんじゃないかなぁ」

「それは面白そうですね」

マスターがうなずいて言った。札幌2歳ステークスの地方馬は侮れないという。

「サイン読みではなくデータ競馬になりますが、札幌2歳ステークスが芝1200から芝1800に距離延長されてから、18頭の地方馬が出走しています。成績は3勝、2着2回、3着3回。9頭が馬券になっているということは、複勝率なら50%です」

「そんなに来てたのか!なら対角ゾロ目は押さえておいて損はねえなぁ」

タコ社長がそう言って、みんながうなずいた。

札幌2歳S
スナック忘れな草 勝負馬券
ワイド:2-9
馬単:2→9
3連単:9→2=4.6.7.8(8点)

■ 夏王に俺はなる

そろそろお開きにしようかというところで、店の扉が開いた。

「今週のツムツムはおいしいかもですよ」

そう言ってカウンターについたのはくろたんだった。ギョニ子が答える。

「ああ、ごめんなさいくろたん。あたしは断然マック派なの。その次はモスかな?」

「やっぱそうだよね~・・・って誰がドムドムバーガーの話しとんねん!」

真一郎が続ける。

「ワンピースに出てくる背が伸びる実ですよね?」

「海賊王に俺はなる!・・・ってゴムゴムの実~~~!」

タコ社長も続く。

「風船少女テンプルちゃんの太鼓担当だよな?」

「タ~ムタム坊や~が~、リ~ズムを取るよ~♪・・・って古いなあ社長は!」

マスターがとどめをさす。

「本当にすいません。いつも読むばっかりで投稿しないで」

「読み専のロムロム~~~・・・ってそんな言葉ないですから~~~!残念!!」

そう言ってくろたんはギターを弾く真似をした。5秒間の完全なる沈黙のあと、マスターが言った。

「はい!というわけでこれから10分間のクーリングタイムに入ります」

「なんで俺がすべったふうになってんだよ!」

くろたんはカウンターを右手でバンバンと叩きながら講義した。マスターが両手を合わせごめんなさいのポーズをしてから言った。

「冗談はこのくらいにして、ツムツムを狙う理由はなんでしょうか?」

「ツムツムこと津村明秀は、夏の新潟リーディングがかかっています。現在、川田将雅、戸崎圭太の10勝に次ぐ9勝。春の新潟リーディングも、菱田裕二が最終日の12レースに勝利し逆転でのリーディングというドラマチックなものでした」

9/3(日)新潟12R 雷光特別
イルルージュ(津村明秀)

「なるほど、同じ展開になったら面白そうですね」

マスターがうなずいた。

「今はまだ日曜日の重賞以外の枠順はわかりませんから、確定したら津村明秀騎手の狙いどころが見えてくるかもですね」

「そういうことです・・・っていうかあんたロム専ちゃうやん。一番投稿数多いやん!」

「出ましたね、くろたんの時間差突っ込み」

そう言ってマスターは笑った。

「明日も小倉2歳ステークス、新潟記念と重賞がありますね。お待ちしておりますよ」

「うむ。ではまた明日。ごきげんよう・・・って俺にもっと見せ場をくれーーーー!!」

くろたんの絶叫が店内にこだました。

筆者注:掲示板のくろたんは、ここで紹介しきれないくらい多数のネタを披露してくれています

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