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スナック忘れな草~幻の世界記録・2023天皇賞(秋)~
■ イクイノックス連覇濃厚?
2023年10月23日(月)午後7時
-東京都某区 スナック忘れな草-
「なんだよ、終わってみりゃあ『ローマの休日』馬券だったってわけかい」
タコ社長が昨日のスポーツ新聞を広げ、菊花賞の馬柱、4枠と8枠のところを赤ペンでぐるぐると囲みながら言った。Facebookに掲載された「競走馬の休日」という記事は、オードリー・ヘプバーンの名作『ローマの休日』を示唆していたという。
菊花賞
4-07 タスティエーラ 2着
4-08 サヴォーナ(イタリアの都市名)
8-16 ショウナンバシット(Mデムーロ=イタリア)
8-17 ドゥレッツァ 1着
「キャロットファームのワンツー。勝負服は緑、白、赤。イタリアの国旗カラーですしね」
マスターが苦笑しながら言った。先週は1着馬ドゥレッツァを指名できたが、2着馬タスティエーラを軽視してしまっていた。マスターは続けた。
「サイン会議の運営者キムラハヤオさんが、『八冠』と打ち込もうとしたら『バチカン』と誤変換されたとツイートしていました。藤井聡太八冠誕生がイタリアにもつながっていたのかもしれませんね」
![](https://assets.st-note.com/img/1698452645084-o93bxpFcGG.png?width=800)
https://twitter.com/kimurahayao/status/1716622072544465049
「バチカンかあ・・・武田鉄矢に怒られそうだなぁ・・・」
タコ社長がそこまで言うと、マスターも一緒になって続きを言い、二人で笑った。
「このバチカンがぁ!!ってね。ハハハハハ!」
意味がわからずにきょとんとしている真一郎とギョニ子に、麗子ママが説明してあげた。
「このバカチンがーという武田鉄矢のセリフと、バチカンを掛けているのよ」
「ごめんねー、タコ社長。あたし平成生まれだからわかんなーい」
とぼけてぶりっ子ぶるギョニ子に、タコ社長が噛みついた。
「おめえが平成生まれなわけないだろ?どこをどう見たって昭和生まれのツラだぜ!」
「なによ!ハゲ散らかしてるあんたに言われたくないわよ!大正生まれのくせに!」
「た、大正生まれだああ?てめえ、やんのがごらーー!」
「まあまあそれくらいにして。天皇賞の検討を始めませんか?」
マスターになだめられてタコ社長とギョニ子が落ち着いたところで、真一郎が口を開いた。
「ドウデュースとイクイノックスの対決は楽しみですが、13頭と寂しい登録数ですね。しかもアサマノイタズラはすでに回避を発表しています。12頭立てとなると、イクイノックスの連覇濃厚でしょうか?」
真一郎が言うには、直近の「12頭立て・天皇賞(秋)」は2020年。名牝アーモンドアイが、海外含めてGⅠ8勝目を、天皇賞(秋)の連覇で達成したのが、12頭立てだったという。
2020/11/1 天皇賞(秋)12頭立て
7-09 アーモンドアイ 1着(連覇)
(ルメール・シルク)
※GⅠ 8勝目(ドバイターフ含む)
「おお!あのレースか。アーモンドアイにしては辛勝だったよなあ。ルメちゃんの勝利インタビューでの涙が忘れられないぜ・・・あのときが12頭立てだったのか・・・」
タコ社長は腕を組みながらそう言い、眞露の水割りを一口飲んだ。そして、言葉を続けた。
「イクイノックスはアーモンドアイと同じシルク。そして先週神騎乗をみせたルメール。こりゃあ、イクイノックスの相手探しなのかもなあ」
麗子ママが頷きながら言った。
「しかもレーティングが世界一なんでしょ?最大の目標は次のジャパンカップかもしれないけど、馬券から消えることは考えにくいわね」
みんながうんうんと頷き、その日はイクイノックスの相手探しで仕方ないだろうというムードが漂ったまま、お開きとなった。
■ スターズオンアース回避
2023年10月24日(火)午後7時
-東京都某区 スナック忘れな草-
スナック忘れな草の店内はざわついていた。有力馬の一頭とみられていた、紅一点のスターズオンアースが右前脚の蹄に異常が判明し回避というニュース。さらに、天皇賞(秋)が天覧競馬になることが発表されたのだった。同レースには、「競馬法100周年記念」の副題も付与されるという。
「天覧競馬についてはあとで考えるとして、まずはスターズオンアースの回避について考えましょう」
マスターはそう言って、信号が故障した交差点で、交通整理をする警官のように場を落ち着かせた。
「そうだな。これで11頭立て・・・いや、もっと少なくなることもあるのかい?」
タコ社長がみんなの顔を見渡しながら言った。
「そうですね・・」
応答したのは真一郎だった。右手には生ビールのジョッキが握られている。
「netkeiba.comではエヒトの騎手欄が空欄になっていますが、ネットニュースでは横山和生との情報もあります。故障によるさらなる回避がなければ、11頭立てじゃないでしょうか?」
真一郎の言葉にギョニ子が続いた。
「12頭立てだったらアーモンドアイの連覇の年と同じだったけど、11頭立てに・・・これってイクイノックスの連覇に黄信号ってことかしら?」
マスターが頷いて言った。
「それはあるかもしれません。というのが、回避したスターズオンアースは昨年、三冠ならずの馬だからです」
<皇室関連 GⅠ>
天皇賞(春)ジャスティンパレス(ルメール)
菊花賞 ドゥレッツァ (ルメール)
天皇賞(秋)イクイノックス 2着以下?
※ルメール三冠ならず?
「春秋の天皇賞と菊花賞。この3つのレースは、皇室関連GⅠというくくりでまとめられます。イクイノックスで勝てば今年騎手として皇室GⅠ三冠を達成するルメールですが、三冠ならずを象徴するスターズオンアースが回避は、これを暗示しているのかもしれません」
「そういえば昨年の秋華賞のスターズオンアースもルメール騎手だったし・・・」
おつまみの用意をしていた麗子ママが、手を止めて言った。
「『ウマのそら』菊花賞編は披露宴の設定でしょう?これってライスシャワーを示唆していると思うの」
1992 菊花賞
1着:4-08 ライスシャワー
2着:4-07 ミホノブルボン(三冠ならず)
1993 天皇賞(春)
1着:2-03 ライスシャワー
2着:8-14 メジロマックイーン(三連覇ならず)
「三冠と三連覇の違いはあるけれど、ライスシャワーって2頭の馬の『3つ目』を阻止した馬でしょう?『ウマのそら』はそれを暗示しているのかもしれないわ」
「3つ目の坂か・・・」
タコ社長が腕組みをしながら言った。
「たしかブルボンもマックイーンも単勝1倍だったよな?三冠や三連覇を信じてたファンにとっては、まさかの結果だったわけだ・・・」
タコ社長の言葉に、みんなは沈黙した。「まさかの結果」という表現が、京都競馬場に振り替えられた宝塚記念で、最期を遂げた名馬の悲しい結末をも示唆していたからだ。
■ 天覧競馬
「さあさあ、下を向いている暇はありませんよ!」
パンパンと手を叩きながら入って来たのは、背番号3番の巨人のユニフォームを着たくろたんだった。
「代打、川相! ん~~~どうでしょう?」
バントの構えをしながら、長嶋茂雄の口調を真似てくろたんがそう言うと、店内が静まり返った。咳払いをしてくろたんが続ける。
「うぉっほん!天皇賞は天覧競馬になりました。天覧と言えば私ですよ」
「天覧試合の長嶋茂雄!村山から打ったサヨナラホームランだな?」
大の巨人ファンであるタコ社長が笑顔で訊いた。くろたんが頷く。
「さすがは社長さんだ。さて、天覧競馬となったことで、俄然注目を浴びるのがキーファーズのドウデュース。あちこちですでに語られていますが、キーファーズの松島正昭氏は天皇陛下と同じ2月23日生まれです」
みんなが頷いた。
「しかしこれは語られていない。松島正昭氏の娘、松島悠衣さんは1989年の6月9日生まれ。6月9日と言えば・・・」
「天皇皇后両陛下の御成婚があった日ですね?」
マスターが訊くとくろたんは頷いた。山崎のロックをぐびりと一口飲んでから、説明を続ける。
「その通りです。そして、『ウマのそら』菊花賞編で、手紙を読むユカは26年間ありがとうと言っている。つまり26歳だ」
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ドウデュース 武豊
キーファーズ(松島正昭2/23)
娘 松島悠衣 1989.(6/9)
天皇陛下 (2/23)
天皇 結婚記念日 1993.(6/9)
ウマのそら 結婚披露宴
新婦 ユカ 26歳
武豊 結婚記念日 1995.6/5
新郎 武豊 (26歳)
新婦 佐野量子 (26歳)
「へえー!よくできてるわね。こうしてみるとドウデュース1着がふさわしいように思えてくるわ」
ギョニ子が感心したように言った。
「だけどね、くろたんさん。長嶋茂雄のモノマネは全然似ていないみたい。モノマネのモノマネ・・劣化版というか・・・」
「モノマネのモノマネ! フフフ・・・私の言いたいことが伝わったようですね」
そう言うとくろたんは店を出て行った。
「マスター、モノマネのモノマネってどういうことでしょうか?」
くろたんが出て行ったあと、真一郎がマスターに尋ねた。マスターが答える。
「長嶋茂雄のモノマネをする人はたくさんいますが、私とか社長さんの世代なら、プリティ長嶋でしょうね?」
マスターが同意を求めるように視線を寄こしたのに気づき、タコ社長は頷いて言った。
「そうそうプリティ長嶋ね。懐かしいなぁ」
スマホを操作していた麗子ママが言った。
「プリティと言えば、最後の11頭立て天皇賞(秋)が、プリテイキャストの勝った1980年だわ」
1980 天皇賞(秋)11頭立て
1着:3-03 プリテイキャスト(柴田政人)
「3番?くろたんさんの・・・いや、長嶋茂雄の背番号も3番よね?もしかしたら勝ち馬は3番に入るのかしら?」
ギョニ子の言葉にマスターは言った。
「3番が1着の馬のゲートかどうかはともかくとして、柴田政人とつながるのは面白いかもしれません」
■ 柴田政人と武豊
「柴田政人とつながる?どういうことだい?」
タコ社長が尋ねた。マスターが答える。
「ドウデュースの騎手はもちろん武豊。先ほどスターズオンアースとライスシャワーからの連想で、春天3連覇ならずだったメジロマックイーンの名があがりましたね。実はメジロマックイーンは、柴田政人とともに天皇皇后両陛下の御成婚を祝っているのです」
マスターが言うには、天皇皇后両陛下が皇太子とその御妃だった1993年、慶祝競走が施行されているという。
1993/5/30
皇太子殿下御成婚奉祝
第60回東京優駿
1着:5-10 ウイニングチケット(柴田政人)
1993/6/9
皇太子徳仁親王と小和田雅子の結婚の儀
1993/6/13
皇太子殿下御成婚奉祝
第34回宝塚記念
6-06 メジロマックイーン(武豊)
→ 柴田政人と武豊
<天皇賞(秋)11頭立て>
1980 プリテイキャスト(柴田政人)
※直近
2023 ドウデュース (武豊)?
※43年振り → 柴田政人と武豊
「天皇賞に付与される副題は『競馬法100周年記念』ですが、御成婚30周年に当たる今年ですから、『天皇皇后両陛下 御成婚30周年記念』とも言えるでしょう。1980年を最後になかった11頭立てにするのは、柴田政人と武豊のセット、これを強調するためかもしれません」
マスターの言葉にみんながうんうんと頷き、イクイノックスの連覇濃厚というムードだった月曜日とは打って変わって、ドウデュースに逆転の目があるのではないかという雰囲気になりつつあった。
■ イイヒニナル
2023年10月25日(水)午後6時半
-東京都某区 スナック忘れな草-
いつもは7時過ぎにやってくることが多い真一郎とギョニ子だったが、今日は珍しく6時半にやってきた。なるべく早く来られるよう、それぞれ仕事を片付けてきたという。
「その顔は何かいいネタがありそうだな?」
タコ社長がニヤリと笑って尋ねると、二人は頷いた。麗子ママから生ビールを受け取った真一郎が先に口を開く。
「昨日帰ってから、ふたりで競馬法100周年事業の記念競走を見直してみたんです。すると、仲間外れレースで勝ったのが、ドウデュースの武豊騎手ということに気づきました」
<「競馬法100周年」記念事業 記念レース>
4/9(日)阪神9R
競馬法100周年記念
6-12 セイウンハーデス(幸英明)
6/4(日)東京11R
競馬法100周年記念
第73回農林水産省賞典 安田記念(GⅠ)
8-18 ソングライン(戸崎圭太)
8/27(日)札幌9R
【勝馬投票100周年記念】
5-09 イイヒニナル(武豊)
10/29(日)東京11R
競馬法100周年記念
第168回天皇賞(秋)(GⅠ)
【天覧競馬】
ギョニ子が言った。
「競馬法100周年記念事業に伴う記念競走は4つ。そのうち3つが『競馬法100周年記念』。唯一の例外が、武豊騎手の勝った『勝馬投票100周年記念』ってわけ。勝馬投票って、英語に直訳すればウイニングチケットよね?」
<1993 慶祝競走>
第60回東京優駿
5-10 ウイニングチケット(柴田政人)
第34回宝塚記念
6-06 メジロマックイーン(武豊)
【勝馬投票】100周年記念
イイヒニナル(武豊)
「なるほどなぁ。ウイニングチケットと一緒に天皇皇后両陛下の御成婚を祝った武豊。その武豊がウイニングチケットを思わせる『勝馬投票100周年記念』で勝利。しかも馬名がイイヒニナル。天覧競馬にはぴったりだよなあ」
タコ社長が感心したように言った。
「それだけじゃないんです」
真一郎が口元に笑みを浮かべながら言った。
■ ユートピア
「イイヒニナルのゲートは5枠の9番でした。そして、勝馬投票100周年記念の日、武豊騎手はメインのキーンランドCで5枠10番のゾンニッヒで8着。ウイニングチケットの5枠両馬を暗示しています。ウイニングチケットが勝ったダービーの5枠を見てください」
1993/5/30
皇太子殿下御成婚奉祝
第60回東京優駿
5-09 ツジ(ユートピア)ン(=イイヒニナル武豊)
5-10 ウイニングチケット 1着
「イイヒニナルと同じ5枠9番にはツジユートピアン。ユートピアという言葉にピンときませんか?」
真一郎の問いに、最初に口を開いたのは画像や動画の分析が得意な麗子ママだった。
「ウマのそらね!『ウマのそら』の佐々木蔵之介編。芝生の上に寝転がる佐々木蔵之介さんが、ユートピアーって言うのよね?」
![](https://assets.st-note.com/img/1698453196672-y21lu1ANx1.png)
「さすがはママね!」
ギョニ子が言った。
「でもそれだけじゃないの。昨日、秋天の11頭立てはプリテイキャストが勝った1980年以来だって話題が出たでしょ?同じ動画で、キャストって言葉も出てくるのよ」
![](https://assets.st-note.com/img/1698453254343-NHwpQRC7Im.png)
店内におおという歓声があがった。マスターが目を細めて言った。
「素晴らしいですね。露出が続いている3名の『ウマのそら』ですが、ここへ来て天皇賞とつながるのは用意周到としか言いようがありません」
しばらく休憩しようということになり、10分ほど各自トイレに行ったり誰かとメールのやり取りをしたりなどして過ごした。
■ HEROが待っている
休憩中、スマホを操作していた麗子ママが口を開いた。
「ウマのそらシリーズを見直してみたんだけど、やっぱり秋の天皇賞に向けて、布石を打っていたとしか思えないわ」
佐々木蔵之介編
キャスト(柴田政人)、ユートピア(柴田政人の同枠)
→2月23日生まれのオーナーの馬に乗る
武豊(柴田政人とともに御成婚を祝った)につながる
見上愛編
設定:邪馬台国≒天皇、皇室
長澤まさみ編
設定:誕生日
「見上愛編は天皇や皇室の暗示。長澤まさみ編は誕生日。天皇陛下と同じ誕生日のオーナーの馬に乗る武豊。佐々木蔵之介編はキャストやユートピアという単語で、武豊とペアになる柴田政人を示唆・・・つながっているわ」
タコ社長が膝を叩いて言った。
「よくできてるぜ!ひとつひとつ見てもピンとこねえが、天覧競馬が決まってからこうやって見直すと、きちんと構成されているのがわかる」
「それでね、社長さん」
麗子ママの説明にはまだ続きがあるようだった。
「天覧競馬を示唆する動画が、このウマのそらシリーズ以外にあったのよ。佐々木蔵之介さんが加入したときに流れてたCM。HEROが待っている』篇よ」
![](https://assets.st-note.com/img/1698453318469-FlGaelVZ8P.jpg?width=800)
「スターターのゴンドラに上がった佐々木蔵之介。これって天皇陛下よね?そして下から見上げる長澤まさみと見上愛は、国民や競馬ファンを示唆しているわ」
マスターが頷いて言った。
「3名でスタートしたのではなく、佐々木蔵之介だけ2年目からの参加というのも、天皇陛下を暗示しているのでしょう。主賓は遅れてやってくるものですから・・・そして、下にいるのが長澤まさみと見上愛。この構図はイクイノックスが2着ということを暗示しているのかもしれません」
マスターの説明に、みんなは真意を測りかねているようだった。
「宝塚記念のときだったでしょうか。長澤まさみと見上愛は、2019年の慶祝競走を示唆しているという話をしました。
2019/2/24
天皇陛下御在位30年慶祝
第93回中山記念
1-01 ウインブライト(松岡正海)
2019/10/27
天皇陛下御即位慶祝
第160回天皇賞(秋)
1-02 アーモンド(アイ)(ルメール・シルク)
「ウインブライトは松岡正海。名前の読みが同じ長澤まさみですね。アーモンドアイは見上愛。女性2人は、2019年の2頭を暗示しています」
みんながうんうんと頷いた。マスターが続ける。
「アーモンドアイはシルクの馬でルメール騎手ですから、イクイノックスと同じ。イクイノックスの父キタサンブラック。キタサンブラックの調教をつけていたのは、萩野公介とのインタビュー動画にも出ていた黒岩悠騎手。彼は見上愛と同じ誕生日です」
「ということは・・・」
ギョニ子が慎重に言葉を選びながらまとめた。
「長澤まさみと見上愛は二人ともイクイノックスを暗示。そのふたりが見上げる先にはゴンドラに乗った佐々木蔵之介。つまり天皇陛下ね。佐々木蔵之介は京都出身だから・・・」
タコ社長が言葉をかぶせた。
「武豊ってわけだ!するってえと、武豊がイクイノックスの上にいる、つまり先着するってえ構図になるな?」
マスターが頷いた。
「ウインブライトは1番、アーモンドアイは2番。今年の天皇賞は慶祝競走ではありませんが、天覧競馬であり、天皇皇后両陛下の御成婚30周年の年ということを踏まえると、隠れ慶祝競走と言っていいでしょう。順番通りなら勝ち馬は3番ということになるのかもしれません。そして都合のいいことに11頭立て・・・」
2006/10/29
悠仁親王殿下御誕生慶祝
第134回天皇賞(秋)
7-14 ダイワメジャー(正14番)
2023/10/29
天皇賞(秋)天覧競馬 11頭立て
3-03 ドウデュース ?(正14番)
「慶祝競走は全部で6レース施行されていますが、唯一今年の天皇賞と同じ日付に行われたのが、2006年の悠仁親王殿下御誕生をお祝いした天皇賞でした。14番ダイワメジャーが優勝。11頭立てに換算すると、14番は3枠3番になります」
マスターの説明に、おおという歓声があがった。枠順発表は明日14時10分ごろ。どのような枠順になるのだろうか。
■ 山田敬士騎手引退
2023年10月26日(木)午後7時
-東京都某区 スナック忘れな草-
「いやあ、まさか本当に3番に入るとは思いませんでしたね!」
息を弾ませながらそう言ったのは、いつもの指定席、カウンターの右角に座った真一郎だった。タコ社長も本当だなあと笑っている。麗子ママから生ビールを受け取ったギョニ子が、ぐびぐびと喉に流し込んでから言った。
「もうドウデュースのネタはいいんじゃない?あとは相手探し・・・っていうかイクイノックスもまず3着内は大丈夫だろうから、3番目の馬探しか」
「まだありますよ!」
そう言って店内に入って来たのはくろたんだった。赤い着物を着て、頭にはちりちりパーマのカツラをかぶっており、両腕で座布団を3枚抱えている。
「ドウデュースのネタ、まだあるんです!」
「山田隆夫・・・例のニュースですね?」
マスターがニヤリと笑って尋ねると、くろたんは頷いてから言った。
「山田敬士騎手の引退ニュースがありました。まあ、怪我の状態が芳しくないということなのでしょうが、問題は今日発表なのに今日付けで引退という点です」
くろたんの説明によると、過去の騎手引退ニュースでは、JRAサイトでの告知日と引退日は異なっていることがほとんどで、告知があった月の末尾付けでの引退が普通だという。
「それなのに山田敬士騎手の場合、発表があった今日26日に、すでに免許を取り消したと記載されています。10月26日・・・この日をどうしても強調したかったのでしょう」
山田敬士騎手
【1997】.9/18生まれ
騎手免許取消【10月26日】
直近・10月26日開催・天皇賞(秋)
【1997】.【10/26】 天皇賞(秋)
1着 エアグルーヴ【武豊】
前年【オークス1着】
2着 バブルガムフェロー
【前年 3歳で天皇賞秋制覇 連覇ならず】
2023 天皇賞(秋)
3ー03 ドウデュース 武豊?
前年【日本ダービー1着】
2着 イクイノックス?
【前年 3歳で天皇賞秋制覇 連覇ならず?】
店内におおという歓声があがった。くろたんが説明を続けた。
「山田騎手の誕生年と騎手免許取消日。合体させるとエアグルーヴが勝った天皇賞の日付になるのです。しかもこの年を最後に、同じ10月26日施行の秋天はなし。2着までドンズバ指名の1点サインなら、仮想バブルガムフェローはイクイノックスということになるでしょう」
マスターは唸るような声を挙げてから、静かに頷いた。気がつくとくろたんはいなくなっており、タコ社長の右隣の席には座布団が3枚乗っていた。
「重かったのね・・・」
ギョニ子はそう言って、4分の1ほど残っていた生ビールを飲み干した。
■ エリザベス女王戴冠式
2023年10月27日(金)午後7時
-東京都某区 スナック忘れな草-
昨日は、くろたんが帰ったあとは大きな進展はなく、ドウデュース→イクイノックスの馬単でいいのではないかという話に落ち着いていた。それだけくろたんが見つけた山田敬士騎手のサインが強烈だったからだ。
真一郎とギョニ子が一緒に店内に入ってきて、おしぼりと生ビールを受け取り、席に落ち着いたところでマスターが口を開いた。
「これでみなさん揃いましたね。昨日あれから一人でいろいろ考えてみたのですが、先週の菊花賞とエアグルーヴが、『17』という数字でつながっていることに気づきました」
「17?」
タコ社長が言った。
「ええと、ドゥレッツァは17番。そして、先週のテーマだった架空の新しい祝日『平成の日』。もし制定されたら日本では17番目だってことだったよなあ?」
マスターは頷いた。そして説明を始めた。
「エアグルーヴの天皇賞秋制覇。これが実は『17年振り』牝馬による制覇だったのです。エアグルーヴの前は、1980年のプリテイキャスト」
「ええ?またプリテイキャストとつながるの?」
ギョニ子が目を丸くして言った。
「えーと、11頭立ての天皇賞秋が1980年以来。柴田政人鞍上のプリテイキャストが勝った年。柴田政人と武豊。あ、武豊はドウデュースが勝てばだけどね・・・山田騎手から出てくるエアグルーヴが、プリテイキャスト以来の17年振りと・・・そして柴田政人と武豊は、1993年の慶祝競走でもつながる」
マスターはゆっくりと首を縦に振り、そして言った。
「プリテイキャストとエアグルーヴはいずれも牝馬・・・牝馬の天皇賞。これが何か引っかかり調べてみたのです。すると、春秋の天皇賞をいずれも牝馬が制した年は、たったの一度しかないことがわかりました」
1953
天皇賞(春)レダ
天皇賞(秋)クインナルビー
「まずはこの1953年という年号を頭に入れてくださいね。そして、この並びをみてください」
2023 天皇賞(秋)
8-11 菅原【明】良(アドマイヤハダル)
1-01 エリザベス女王Ⅱ世(2022エプソムC)
2-02 エ【ヒト】
※1-01 ノースブリッジ
2022 エプソムC(エリザベス女王即位70周年記念)
「明仁でエリザベス女王をサンド。明仁皇太子・・・つまり上皇陛下ですが、エリザベス女王の戴冠式に出席されています。それが、『1953年』なのです」
1953年 皇太子明仁
エリザベス女王Ⅱ世の戴冠式に御出席
![](https://assets.st-note.com/img/1698453887156-Sm5lF5XiQ0.png)
同年春秋天皇賞 いずれも牝馬
1953 天皇賞(春)
1着:3枠3番 レダ
2着:6 枠7番 クインナルビー
1953 天皇賞(秋)
1着:3枠3番 クインナルビー
2着:6枠7番 ニューモアナ
「おいおいおい!?牝馬が同じ年に勝った天皇賞、どっちも馬連で3番7番ってことかい?」
タコ社長が立ち上がって叫んだ。マスターが頷く。
「そうなのです。当時は馬連という馬券はありませんでしたから、枠連3-6が一致ということになります。馬連3-7なら、ドウデュースとイクイノックスになりますね」
「すげえーなあ!」
真一郎が感嘆の声を挙げた。ところが、マスターの説明には続きがあった。
「この1953年ですが、ダービーを勝ったのはボストニアンという馬でした。意味はボストン市民。なんとなくその年のボストンマラソンを見てびっくりしましたよ」
■ ボストンマラソン
1953 ボストンマラソン
優勝 山田敬蔵
「え?え?え?これって山田騎手と一文字違いじゃない?」
ギョニ子が目を丸くして訊いた。マスターが頷く。
「そうなんです。山田敬まで一緒。違うのは最後の一文字だけです」
山田敬士
山田敬蔵
タコ社長がそれを聞いて、何か言いたそうに口元をもぞもぞとさせた。だがなかなか口を開かない。
「社長さん、どうぞ我慢せずにおっしゃってください」
そうマスターに促されて、タコ社長は苦笑いしながら言った。
「バレちゃあしょうがねえ・・・山田騎手には悪いが、山田騎手と言えばゴール誤認事件だ。名前がほぼ一緒の山田敬蔵選手。もしかしたら走る距離をごまかしたんじゃねえかって・・・ハハハ!これは忘れてくれ。そんなまさかがあるわけねえ」
「それが実はあるんです」
マスターはまっすぐにタコ社長のほうを見据えて言った。
「はあ?冗談はよせやい!」
「まあ、走る距離をごまかしたというのとは違いますが、このボストンマラソン、山田敬蔵が優勝した1953年は世界新記録とされていました。ところが、のちにマラソンの距離の認定ルールに変更があり、ボストンマラソンは世界公認レースの基準から漏れてしまうのです。それに伴い、山田敬蔵選手の記録も、距離不足ということで世界新記録から消されてしまいました」
![](https://assets.st-note.com/img/1698454095036-B0X9KwRaJ9.png?width=800)
店内はあまりの衝撃に静まりかえってしまった。約10秒後、口を開いたのは麗子ママだった。
「山田敬士騎手のゴール誤認も、騎手を引退することも、何か大きな力が働いているとは考えたくないけれど、こんな偶然があるのね・・・」
タコ社長がそれを受けて、腕を組みながら言った。
「まあいずれにせよあれだ。出馬表と山田騎手の引退が1953年の天皇賞を示唆している以上、馬連3-7・・・いや、馬単3→7で勝負するしかねえなあ。だろ、マスター?」
■ 見上愛
頷くと思っていたマスターだが、意外にも首を横に振った。
「いいえ社長さん。どうせなら3連単1点勝負といきましょう。こんな絶好の機会はないと思います。1953年の春秋の天皇賞から、同じ秋の天皇賞を選びましょう。2着の調教師をみてください」
1953 天皇賞(秋)
1着:3枠3番 クインナルビー
2着:6枠7番 ニューモアナ(見上恒芳調教師)
3着:1枠1番 タカハタ
店内におおというどよめきが起こった。真一郎が立ち上がって叫ぶ。
「み、見上?そんな名前の調教師がいたんですね!見上愛が起用された理由ってもしかして?」
マスターはにっこりと笑って頷いた。
「その可能性は高いでしょうね。推し馬グランプリも、天皇賞秋は見上愛さんの担当になっています。この、3番→7番→1番を教えるために、彼女は・・・いや、プロモーションキャラクターの3名は練りに練られて起用されたのかもしれません」
みんながうんうんと頷き、スナック忘れな草の勝負馬券が決まった。
スナック忘れな草
天皇賞(秋)勝負馬券
◎3番 ドウデュース
〇7番 イクイノックス
▲1番 ノースブリッジ
3連単:3番→7番→1番
■ スワンS
JRAサイトに貼られているJBCとのコラボキャンペーン。
「高鳴れ!JBC」
![](https://assets.st-note.com/img/1698454216524-NPgaoI1P7A.png?width=800)
「高鳴」が「高嶋」に見えます。
元JRA騎手、高嶋活士(カツジ)
旧京都競馬場、最後の重賞がスワンS、
勝ったのは大穴カツジでした。
くろたんのツイートにありましたが、
カツジを管理していた池添兼雄元調教師が、
今日の京都競馬場イベントに来場します。
![](https://assets.st-note.com/img/1698454437214-Kzzw500bXr.png)
2020 スワンS
1着:2-04 カツジ(正4・岩田康誠)
2着:8-16 ステルヴィオ(逆1)
2023 スワンS
2-04 トウシンマカオ(正4・横山和生)
8-18 ロータスランド(逆1・岩田康誠)
天皇賞(秋)のGⅠヘッドラインに「継承」がありました。
2023 天皇賞(秋)ヘッドライン
「伝統の継承へ、名馬が歴史を繋ぐ秋の楯。」
横山和生は父が“天皇陛下”
ロータスランドは、岩田康誠騎手の息子望来騎手が、
重賞初勝利をあげた馬です。
父から子へ。子から父へ。
横山和生騎手は弟武史騎手と、
タイトルホルダーでともに重賞制覇。
ロータスランドの、
騎手による「父子制覇」はないでしょうか?
ロータスランドの単複と、
トウシンマカオとの馬連・ワイド。
トウシンマカオについてはくろたんの
ツイートが秀逸です。
トウシンマカオ (2019.5/1生まれ→令和スタートの日)
横山和生(テン乗り)・父横山典弘 (2/23=天皇陛下)
補足すれば、横山和生騎手のデビュー初勝利が
「4月30日」で平成最後の日(2019)
スワンを示唆するミニクイアヒルノコ(=白鳥)の、
JRA最後のレースがやはり「4月30日」でした。
https://db.netkeiba.com/horse/2020107218/
スワンS
◎18番 ロータスランド
〇4番 トウシンマカオ
単勝:4番、18番
複勝:18番
馬連・ワイド:4-18
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