「叱らない・怒らない育児」が上手くいく秘訣
「子どもは厳しく叱ってしつけるのが当たり前」といった、一昔前の子育てのあり方に疑問を持つ今の親世代に広く受け入れられると同時に、叱られずに育つ子どもたちを危惧する声も聞かれます。
例えば、「叱らない育児」について懸念する次のような声を聞くことがあるのではないでしょうか。
周りに迷惑がかかっても、親は見守るだけで、子どもはしたい放題
子どもの我がままに歯止めがきかず、子育てが大変になっていく
叱られる体験がないまま育つ子は、少しとがめられるだけでもショックを受け打たれ弱くなる。
もし「叱らない育児」を単に「叱ってはいけない」とだけ解釈するなら、確かにこうした危惧される結果につながってしまうかもしれません。「叱らない育児」は、「叱らない」だけでは決して上手くはいかないのです。
では、「叱らない育児」を成功させるには、どんなことが必要なのでしょうか? 大切なポイントを3つ整理してみましょう。
ポイント1.普段「できている時」をこまめに認める
まずは、普段からなるべく「叱らなくていい状態」を整えることに力を注ぎましょう。そのためにできるのが、子どもが「できている時」に、こまめに気づき、認めてあげることです。
例えば、お友達と仲良く遊ぶ子に、「おもちゃを順番に使えて楽しいね。お友達も嬉しそうね」と喜んでみせます。また、兄弟が楽しそうに遊んでいたら、「2人で仲良く遊んでくれたから、ママの用事がはかどっちゃったわ、ありがとうね」と、嬉しそうに感謝してみましょう。
大げさに褒める必要もありません。子どもの肩や頭にそっと手を触れるなどし、心から喜ぶ様子を示してあげましょう。
親は、子どもの「できていない時」についつい関心がいきがちなもの。それでも、こうして「できている時」に、「ちゃんと見ているよ」とこまめに示し続けることで、「叱らなくていい状態」が強化されていきます。
ポイント2.子どもの気持ちに寄り添いつつ、方針をぶらさない
「叱らない」というのは、子どもの要求の言いなりになることではありません。「叱ってはいけない」からと、子どもの望むままに何でも「いいよいいよ」と受け入れてしまっては、その子が集団生活に必要なルールを学ぶせっかくの機会を生かすことができません。
例えば、周りの人や自分が危険な目にあうこと、また、公の場で多くの人が不快になるような振る舞いは、「してはいけないこと」として、境界をはっきりと設けましょう。
「それはできないよ」と伝えることで、子どもが泣き叫んだり、かんしゃくを起すようなら、抱っこして背中をトントンしたりして子どもの気持ちに寄り添います。
優しさとブレなさは両立できると理解しましょう。子どもが、自分の思い通りにならず、悔しかったり悲しかったりする気持ちに向きあい、乗り越えることは、その子のためにとても貴い体験となります。親は、そうした子どもの気持ちに、寄り添ってあげましょう。
ポイント3.「叱る」以外の対応を工夫する
子どもの好ましくない行為を前に、「叱る」か「言いなり」かの二者択一ではなく、次のような「他の対応」もいくつか用意し、状況によって使い分けましょう。
・選択肢を与える
「ゲーム30分で終わる? それとも、今日1時間して明日なしにする?」「宿題はおやつの前にする? それとも後にする?」などの選択肢を示し、子どもに選んでもらいましょう。子どもは、自分で決めて選択したことは、より守ろうとするものです。
・質問する
例えば、静かにしないといけない場で騒いでしまう場合、「静かにしなさい!」と叱りつける代わりに、「図書館ではどんな声でお話しするんだった?」「ママの声より静かな声でお話しできるかな ?」などと尋ねてみましょう。
頭ごなしに否定されるのでもなく、したい放題が許されるのでもなく、質問されることで、子どもは自分の頭で考え、行動できるようになります。
・気持を落ち着けるための場を作る
子どもと話し合い、気持を落ち着けるための場を用意しましょう。「リフレッシュスポット」や「落ち着きコーナー」などの名前をつけ、お気に入りの縫いぐるみや雑貨で飾り、心地よい場にします。
そして親も子も煮詰まり、怒りなどの感情がこみあげる場合は、「リフレッシュスポットで落ち着いてからもう一度話し合おうか」と声をかけます。お気に入りの場で落ち着き、気持ちを切りかえたら、問題を改善するために話し合いましょう。
・定期的に家族ミーティング
定期的に家族で集まり、「ゲームは1日どれくらいする?」「宿題はいつする?」など、普段気になることについて、話し合いましょう。
出かける前に、「レストランではどういうことに気を付けたらいいかな」と、話し合っておくのもいいです。「退屈しないようにお絵描き道具をもっていく」「トイレに行く以外は席を立たないようにする」など、アイデアを出し合ってみましょう。
こうして子ども自身に決めさせ、守れなかったらまた話し合うことを繰り返します。
他にも、「ユーモアを用いる」、より年齢の低い子には「他のことに気を向けさせる」など、「叱る」と「言いなり」以外のレパートリーを増やす工夫をしましょう。
以上のように、普段からできていることを認め、子どもの気持ちに寄り添いつつも方針をぶらさず、叱る以外の対応の工夫をするならば、自ずと、「叱らなくていい育児」が実現します。「ガミガミ叱る」でも、「子どもの言いなり」でもない、「叱らなくていい育児」を、是非、実践していきましょう!
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ひらまめ写真館
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