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Let's Groovin‼︎ オカソウのターン!Vol.15(岡村)

ご機嫌よう。オリンピック開催に伴い職場付近の道路が封鎖されて参っている岡村です。

そういえば先日こちらの映画を大学時代からの友人と観に行きました。

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映画 : フィッシュマンズ

以前僕の記事でも書かせて頂きましたが、こちら今月からようやく公開されています。

茂木欣一・元メンバー・当時の各関係者のインタビューや記録映像を中心にバンドの来歴や変遷を辿り、「佐藤伸治とはどんな人物だったのか」に迫るドキュメンタリー作でした。

ネタバレになっちゃうので詳細なことは書けませんが、表立った周知の事実や出来事だけでなく、そこに至った経緯や裏側などが彼らの口から直接語られることにより共に追憶することができた気がします。

特に音楽的な部分もそうでしたが、メンバー間の人間的でセンシティブな部分についても触れられていたので、音楽を作っていくということ、バンドという船を漕ぎ進めていくことを改めて考えさせられましたね…。
途中結構胸が苦しかったです。

また一つだけ明かしてしまうとすると、「LONG SEASON」のジャケ写のロケ地が奥多摩ということを知って「あ、この人たちは自分の生活する土地で自分と同じような年頃にこんな凄い音楽をしていたミュージシャンとして確かに存在していたんだ…」と、僕みたいなリアルタイムで通ってない年齢層の人間にはめちゃくちゃ親近感が湧きました…

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やはり演奏者・表現者の人間の部分を知ると楽曲の捉え方や作品に対する距離感も変わってくるというものですね。

さらに当時の音楽産業の興行的な背景も踏まえられていて、彼らがメジャーアーティストとしてどういった環境に置かれていたのかなど結構生々しい話まで聞けて個人的には非常に面白かったです。

ただ当時の映像でメンバーの喫煙シーンが死ぬほど流れるので、どちらかというと映画館でお利口さんにしてるより家で部屋真っ暗にして一人で煙草吸いながら酒飲んで観たい感じでしたね…笑
僕の座席は慎ましい文化系女子に左右を挟まれていたので演奏シーンは控えめに体を揺らして楽しみました…笑

挿入楽曲はさすがに劇場で聴くと音が最高だったので、好きな方には映画館と家で2回観ることを勧めます。


というわけでフィッシュマンズを前置きにするのは非常に恐れ多いですがここからが本題、引き継ぎOKAMOTO'S回です。なんとしても書ききります。笑

前回

先週はアルバム「Let It V」だけで終わってしまう失態を犯したので、今週は中期の補完になります。


OPERA

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Apple Music

Spotify

2015年にリリースされた6枚目のアルバムです。アニメ「デュラララ!!」のテーマとしてタイアップされたシングル「HEADHUNT」などが収録されている一枚ですね。
ちなみに僕は一時期「デュラララ!!」にめちゃくちゃハマっていたのでこの曲が流れた時は興奮しました…笑

久々に池袋行きたいですね…

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さてこちらのアルバムですがThe Whoの「Tommy」から着想を得たようで、ロックオペラがコンセプトになっているんですね。
リリース当時、アルバムに合わせて小説なんかも出されていました。
アルバム自体が楽曲を通して1つの物語となっており、TommyというThe Whoの作品から実際に名前を引用された主人公が、確か携帯・鍵・財布を同時に無くす現代版三重苦的な感じで始まります。

肝心の音楽的な観点ですが、この作品では初期のロックンロールやブギーな感じは全く無くなっており、前作の「Let It V」を経て柔軟性が非常に高くなっている印象です。
このアルバムから前作以上にSEや電子音が盛り込まれています。デビュー当時しか知らない人からしたらビックリするタイプのアルバムですね。

初期までの一本筋の通った音楽性の上で制約を設けていたOKAMOTO'Sがキャリアを積んでいく過程で徐々にその縛りを解き、それまでバンドメンバー各々が内に秘めていたポテンシャルが顕著に現れ始めたアルバムなのかなと思ってます。
ショウとコウキの基本的な作曲陣営は変わらないみたいですが、例えば「ハーフムーン」、「Knock Knock Knock」、「楽しくやれるハズさ」ではレイジのヒップホップ・エレクトロのジャンルに傾倒した引き出しが如実に光っており、打ち込みドラムのビートメイク・プログラミングを主に担当されているんですね。
また「うまくやれ」はハマのアイデアを中心にアルバムの息抜き的な緩衝材として初期と同じくセッションで作曲されたバンドライクなアンサンブルになっており、グルーヴも従来より洗練された楽曲になっています。


さて、ここでOKAMOTO'S回恒例になってきました僕的オススメ楽曲の紹介です。

ベーシストの僕が選ぶ楽曲たちがコチラ

・Dance With You
・TOMMY?
・うまくやれ
・ハーフムーン

まずこちらは挙げない訳にはいかない、「Dance With You」ですね。まず楽曲タイトルがキャッチー。ネーミングセンスが当時のOKAMOTO'Sを表している気がします笑

この曲は前作の「JOY JOY JOY」や「Sexy Body」のように、アルバムの中でも新規層のための窓口的なキャッチーな楽曲で、上記2曲を引き継いだうえでアップグードしたような4つ打ちのダンスナンバーになっています。
Dance With Me/Dance With You」の2曲が先にシングルリリースされておりましたが、「OPERA」ではそれぞれアルバム冒頭とシメの一曲として据えられております。アルバムを通して聴くと1枚の作品として機能するような立ち位置になっているので、是非実際に聴いてみて体感してください。


そして「TOMMY?」、この曲はある種このアルバムの主役的なポジションと言っても過言ではないと思いますね。

今でこそハマ・オカモトといえばファンク・R&Bなどブラックミュージックに傾倒したベーシストといったイメージがありますが、実際にOKAMOTO'Sのアルバムでそういったアレンジがここまで前面に出たのはこれが初めてな気がします。

背景として、このアルバムのリリース数年前にダフト・パンクの「Get Lucky」がリリースされており、ソウル・ファンクが再びトレンドとして評価され始めていたことをかなり意識されていたそうです。
確かに音作りやイントロ〜Aメロのスタッカートなどフレーズの音価やアクセントの置き方はそんな感じがしますね。
またイントロにおいてはギターのカッティングフレーズや、ストリングスなどからシックの「Le Freak」のような70年代後半〜80年代のディスコファンクを早回しにしたような雰囲気があって掴みは最高です。

さらにこの曲、後のBメロ、サビ、Cメロとイントロ以降の流れをひっくり返すようなトンデモ展開が続々と出てくるのですが、これはアルバム解説冒頭で話したロックオペラがキーとなっているんですね。

というのも、前述したようにこのアルバムはThe Whoの「Tommy」からきているわけで、特にこの曲はタイトルからも分かるように一曲の中にそのロックオペラの起承転結を集約させているんですね。楽曲中で繰り広げられる物語にシンクロするようにアレンジや演奏部分までもが展開するのは面白いです。
またこの曲はTho Whoのアルバムへのアンサー的な楽曲なわけですが、「TOMMY?」とタイトルに?マークを付けているのがまた憎いですね。


そして「TOMMY?」の次に収録されているのがこの「うまくやれ」。この楽曲はセッションで作られたわけですが、ハマ・オカモトは前述したソウル・ファンクのリバイバルを受けて「表面的な耳障りの心地よさだけが咀嚼される」といったことを危惧してニュー・ソウル的なルーツミュージックに近い泥臭いアレンジにしたようです。
実際この曲のベースラインは音使いがめちゃくちゃ渋いので是非聴いて欲しいです。笑

またロックオペラとして作中では紆余曲折あった主人公が鼻につく上司から説教されているといったシチュエーションをイメージして作詞されたらしいですが、普通に20代半ばぐらいの方(特に野郎)にはドンピシャな内容なので歌詞にも注目ですね。

そして最後のオススメ楽曲が「ハーフムーン」。
この曲はコウキ作詞作曲で、僕の記憶ではアルバムでコウキがフルボーカルを担うのもこの曲が初めてだったと思います。

この曲のノリの大部分はレイジの打ち込みを土台としているわけですが、ベースアレンジやウワモノのサウンドはそれこそFishmansの「ゆらめき IN THE AIR」あたり、後期のポップ枠的な浮遊感を彷彿とさせるダブ・ヒップホップのようなテイストになっています。
これまでのOKAMOTO'Sでは考えられないような一曲なので、僕も初めて聴いた時はかなり衝撃を受けました。
ただベースなんかはフィルター系のエフェクターがかけられてファンキーな聴き味になっており、そこはやはりハマを筆頭にOKAMOTO'Sらしいメンバーのオリジナリティが感じられます。

ちなみにこの曲、ライブではまた違ったアレンジが施されており生ドラムオンリーのフィジカルなビートになっていて、その分アレンジもミニマルかつシンプルでバンドライクな雰囲気になっています。
気になった方は是非音源との違いを聴き比べて確かめてみてください。


はい……というわけで次の「BL-EP」に移る前にまたかなりの文字数に到達してしまいました…

まだ中期のトンネルは抜け出せておりませんが続きはまたの機会になります。学習能力0ですね。

ただ一つ言い訳をすると、「BL-EP」、さらにその次にあたる「NO MORE MUSIC」に関してはかなり地続きな変遷となっていて区分するか迷っているところもあったので、これらはまたまとめて解説したいと思います。


もし毎週この長ったらしい文章を読んでくださっている方がいらっしゃるとするなら、その時がくるまで楽しみにお待ち下さいとだけお伝えします。感謝を込めて。

サタデーナイトにまたアオウ!!

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