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執筆の独り言

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取材や原稿執筆などなど、仕事にまつわるできごとで感じたことあれこれの覚え書き
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#ライターの仕事

迷詩人か迷作家? AI文字起こしの突き抜け感

取材した音声の文字起こしは、ライターの仕事のなかでも面倒なタスクの一つだ。文字起こしとは、音声を聞きながらタイピングしていく作業のこと。文章を読むように語る人はとても楽なのだが、話が行ったり来たりする人だと、何度も聞き直しながら、コツコツと文字を起こしていくので、録音時間の倍以上、作業時間がかかることもある。 昔は専門のテープ起こし屋さんに頼むこともできたのだが、原稿料のだだ下がりで、今は難しい。自分で起こすしかない。文字起こしをする時間を執筆に充てられれば、もっと効率よく

仕事のプロフィールを書くのが後ろめたい

草の根ネットの頃から、私はアカウントを作り続けてきた。ホームページもhtmlのタグをポチポチ打ちながら作ったし、ブログも持っていた。SNS時代に突入してからも、新しいサービスが登場すれば、いち早くアカウントを作ってきた。 そんなインターネット老人会の資格が十分にある私だが、SNSアカウントのプロフィールを書くときには、いつもどこか後ろめたい。長年、ライターはしているものの、基本が媒体からテーマや企画を与えられ、それに沿って取材し、記事をまとめていく職人ライターなので、さほど

原稿は書き続けないと書き方を忘れる

 ライターの仕事を始めたばかりの頃、当時のボスに「書く仕事は、年を取れば取るほど、つらい仕事だぞ」と言われたことがある。自分の原稿が雑誌に載るだけで楽しかった私は、「そういうものか」と聞いていたけれど、40歳を過ぎた頃から、ボスの言葉が身に染みるようになった。  まず、人の話を聞いたり、原稿を書くときには、集中する体力がいる。村上春樹氏が小説を書き始めてから、マラソンを始めた気持ちがよくわかる。  そして、体力の低下以上につらいのが、何年、書いても上手くなった気はしないし