自分のことを省みる時間。他者に思いをはせる時間。

 最近、死ぬほど忙しいので心の調子が良い。自分のことをあまり考えなくていいからだと思う。

 朝は6時台に家を出るし、帰るのは10時台。今日はちょっと早めに抜けられたので、久しぶりに文章を書く。

 今、僕の影は背後にある。振り返ると、そこに何かがいるわけだけれど、忙しい時は後ろに憑いているだけ。イタリアの民話を思い出す。

 怖いもの知らずのジョンバンニが幽霊屋敷に入る。みんなが怖がる幽霊屋敷で、入った人は出られないわけだけれど、ジョンバンニはそこで一晩を過ごす。幽霊が出てきて、やいのやいのと彼を脅かすのだけれど、ジョンバンニは動じない。やがて、幽霊の呪いが解け、屋敷や財産が彼のものになる。
 豊かになった彼は「怖いもの知らずのジョンバンニ」と呼ばれ、以降も豊かな生活を送るが、ある日、ふと振り返った時、自分の影を見て恐怖のあまり死んでしまう。

 この話を時々思い出す。僕は今、ある意味で怖いもの知らずになっている。今、様々なイレギュラー事象が発生していて、その対応に追われているわけだけれど、意外なことに僕はイレギュラー耐性が高いらしい。自分ではものすごく苦手だと思っていたから、意外だ。予想外のことが起こると慌てふためいてしまう人種に見えませんか?僕は笑

 別に上手に仕事がこなせるわけではないけれど、僕のいいところは時間的制約の中、煩雑なタスクの海の中で「正気を保てる」ということらしい。ミスはミスを誘発させて、人を簡単に負の連鎖に追い込むわけだけれど、僕はどうも、そうなりづらいらしい。

 受験勉強の正の作用かもしれない笑

 点取りゲームの世界にあっては、数学オリンピックに出題されるような難問が「解ける」ことにあまり意味はない。時間をかけてゆっくりと考えれば誰だって(というのは言い過ぎだけれど)解けるもの。制限時間のある中、煩雑な問題に対処せねばならない状況下で正気を保ち続けることが必要になる。

 その持続力が、僕の数少ないいところなのかな笑

 とは言っても、僕は特別な能力を持つ人が羨ましかった。僕よりもずっと頭がいいのに、僕の方がテストでは高い点が取れるとか、大会で上位に進めるとか、賞を取れるとか、そういう不思議なことがよく起こった。彼らのことを僕は思い出す。いや、もう思い出さない方がいいかな。いや、やっぱり、忘れるべきではないと思うし、忘れられない。僕は君ともっと仲良くなりたかった。変なプライドが邪魔していたし、今でもそれは、あまり変わらない。けっこう直してきたつもりだったけれど、まだまだ僕には11の欠点がある。

 年が明けるまでは、たぶん、ずっと忙しい。次に時間的な余裕が手に入るのは雪が融ける頃かな。その時に、僕のおかしな見栄のためにあと一歩のところで仲良くなれないまま死んでしまった君のことや、喧嘩したまま死んでしまった君のことや、僕のことを心底毛嫌いしながらも、なんだかんだ言って関わってくれる友達(この人はまだ生きている。ギリギリのところで。)のことをゆっくりと考えようと思う。あはは、仕事をしていて、ふと気が付く。僕が好きになってしまう人は、いつも、ギリギリのところで生きている。僕とおおむね同じ。

追記
 最近、よく女友達から連絡が来る。かつて関係を持っていた人たちもいるし、そのうち関係を持つことになりそうだった人たちもいる。
 肌寒くなったから、僕なんかがちょうどいい湯たんぽがわりになるのかもしれない。ほら、人間ってほとんどお湯みたいなものだし笑
 
 幸いなことに、非常に忙しいので楽に断ることができている。これはこれでいいかもしれない笑

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