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言葉の読み解き方~第一が必勝の信念、第二が投入量

私の趣味にアナログゲームがあります。
一般的にボードゲームと呼ばれるものですね。

そんなボードゲームのデザイナーに鈴木銀一郎さんがいらっしゃいました。
2021年に鬼籍に入られたのですが……

この方の人生論の中に今回の言葉があります。
この言葉に出会ってから20年弱くらいでしょうか。
私の座右の銘にもなっている事です。
今回はこの言葉を読み解いていきましょう。


「第一が必勝の信念、第二が投入量」の意味

いつもであれば辞書的意味を記載していくのですが、今回は鈴木銀一郎氏がどのようにしてこう考えたのかについて、氏の著書、「ゲーム的人生論」から引用していきます。

鈴木氏は、囲碁、将棋、麻雀などもとても強い方でした。
その囲碁は高校時代に入門書を買ってきて一人で覚えたそうです。
その後、麻雀に夢中になっていて囲碁からは離れていたそうですが、昭和37年にテレビで囲碁対局が放映されるようになってから改めて囲碁の勉強をしはじめたそうです。

そんな囲碁では、どうすれば強くなるのかという質問をプロ棋士たちが受けた時の答えとそれに対する氏の意見を、本書では以下のように書かれています。

どうしたら囲碁が強くなるかという質問を、プロ棋士たちは良く受ける用だ。
それに対する答えは「投入量」についてが多い。いわく、数多く打ちなさい、強い相手と打ちなさい、碁の本を読みなさい、時には専門騎士の指導を受けるのも……。
もちろん、全て正しいのだが、私に言わせればまず必要なのが必勝の信念である。
それは勝つと信じて碁を打つのではない。自分は絶対に初段になるという目標を定め、それを前提にしてどうすればいいかと考えるのだ。
そうすれば、初段に次用茄子時と形、基本定石、基本の死活、布石の理論を覚えることがポイントだということが分かる。

鈴木銀一郎 ゲーム的人生論~人生ゲームの成功法則~

ここから、信念という言葉と投入量という言葉についての意図が見て取れると思います。

信念とは、投入量とは

必勝の信念というと、われわれ日本人は旧日本帝国軍をイメージするかもしれません。
ですが、この言葉で示されている意味は全く違います。

この言葉の必勝の信念は、勝利のみを前提にして考えることを意味します。

つまり、勝利の前提に反すると思えば上司からの命令にも反対の意見を述べることだし、自分が考えた勝利への道筋を伝えることです。

そして、他者から別の意見をもらった時は自分の意見と違うと突っぱねるのではなく一度その内容を考えてみて、自分の意見よりも勝利に近いと考えれば受け入れることでもあります。

勝利のみを前提にした場合、これらの行動をとるのが最も効率的である事は分かっていただけると思います。
まぁ、それが難しいのですが。

そして、投入量というと大体の人はそれにかける時間の事をイメージするかもしれません。

ですが、この場合の投入量については時間は当然のこと、必要なツール、自分の知識量、不足しているのであればその学習に必要なもの、自分だけで難しいのであれば人材も相当しますし、休憩を含めた補給や、それを達成するための士気まで含まれます。

これらの勝利に対して必要なものを全て分析し、準備し、投入し、不足しているのであればリソースをやりくりしてさらに追加投入する。勝利するまで。

よくこんなに時間をかけたのに……という言葉を耳にしますが、その言葉は投入量の意味をはき違えていたから出てきたのでしょう。

これは勝利のための二大原則。大勝利のためにはもう一つある

鈴木氏は、これを勝利のための二大原則であり、ある程度の勝利であれば絶対確実であることを保証しても良いとまで本書で仰っています。

それと同時に、大勝利のためにはもう一つの条件があるとも仰っています。こちらも引用します。

ただし、それはあくまでもある程度の勝利であって、大勝利のためには実はもう一つの条件がある。それは、強力な意志の力だ。
強力な意志は才能と同じで、生まれつきの部分がある。
不敗の将軍達はみんなそれを持ち合わせていた。
大成功した創業者たちも、そうだ。
わたしは持ち合わせていないのが最初から分かっていたので三大原則にしなかっただけである。

鈴木銀一郎 ゲーム的人生論~人生ゲームの成功法則~

私も強力な意志の力は持ち合わせていないタイプです。

でも、この二大原則を知ってからは勝利したいと思う局面では勝利してきましたし、意外な所で別の勝利のために積み上げた投入量が役に立ったこともありました。

凡人にとってありがたい二大原則であり、偉人にとっても必要な三大原則だと思いませんか?

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