初心者向けD&D戦闘用語解説

「初心者向けD&D用語解説」戦闘用語編です。
相変わらずガチD&D5e初心者向け。

Twitterで書き溜めたものに加筆修正したものになります。

2021/09/17 「初心者向けD&D用語解説」から一部を移動

hp(ヒット・ポイント)

そのキャラクターがどれくらいのダメージに耐えられるかを示す値。体力・スタミナと考えてよい。
これが0になると死亡する…わけではなく、気絶する。その状態で放置されたり、更にダメージを受けたりすると、死ぬ可能性が出てくる。

最大hp

そのキャラクターのhpの初期値であり最大値。
これ以上にhpを回復する手段はない(例外はない)。
キャラクターのレベル・クラス・【耐久力】修正値によって決まる。
ランダムに上昇するルールと、固定値で上昇するルールがある(DMによって選択)。

一時的hp

一時的に増えるhp。
初心者にとって混乱しやすい概念。
バリアみたいなもので、本来のhpとは全く別枠で計算する。

例:hpの現在値/最大値が7/10のキャラクターが、ヒロイズムの呪文で一時的hpを3点得た場合、hpは7/10(一時+3)とする。10/10でも10/13でもない。

ヒット・ダイス

ヒット・ポイント・ダイスの略。
HDと略される事もある。
hpを決定するのに使われる、ダイスの種類と数の事。

…なのだが、D&D5版では2つの意味に使われており、初心者を混乱させる原因となっている。

1. hp決定のために使うダイス

モンスターにはレベルがなく、その代わりにヒット・ダイスを強さを測る指標の1つとして用いる事が多い(それだけがモンスターの脅威度を決める要因ではないが)。

例:ウルフ(狼)のヒット・ダイスは2d8だ。

単にヒット・ダイスという場合、ヒット・ダイスの数を指す事が多い。

例:ウルフのヒット・ダイスは2だ。

PCもヒット・ダイスを必要とする場合には同様の計算を用いる。キャラクターレベルとヒット・ダイスの数は同じになる。

例:2レベルファイターのヒット・ダイスは2d10だ(これに【耐】の修正が加わる)。
ヒット・ダイス(数)は2だ。

2. キャラクターが持っている内部回復リソースのこと

5版ではキャラクターは、自分でhpを回復できるリソースを所持しており、これも「ヒット・ダイス」と呼ばれる。
小休憩を取ることで使用することができ、消費したダイス(+【耐】修正)分だけhpを回復できる。

どちらのヒット・ダイスなのかは、文脈を見て判断する他ない。

AC(アーマー・クラス)

そのキャラがどれくらい攻撃が「当たりにくいか」を指す値。
着ている鎧や盾、【敏捷力】によって決まる。

D&Dは、攻撃が「当たる」かどうかの概念が独特である。
例えば、振るった武器が当たったとしても、それが鎧を貫き、負傷させるに至らなかったのならば、その攻撃は「外れた」とみなす。

つまり、ACには攻撃を避けられるかの度合いと、攻撃を威力吸収できるかの度合い、両方の要素が含まれている。
重い鎧を着て戦う戦士の場合、重いので【敏捷力】で避ける、ということが難しい。
一方で、軽い鎧を着る戦士の場合、【敏捷力】を十分に用いる事ができるが、鎧自体の防御性能には期待できない。

これは、着ている鎧の種類によって、ACに加えられる【敏捷力】修正値の上限が変わる事で再現されている。

攻撃ロール

命中判定のこと。
用語に引っ張られて「攻撃=ダメージ」というイメージを抱きがちだが、ダメージはまた別に決定する。

ACの項でも書いたが、D&Dにおける「命中」は、ただ体に当たっただけではなく、防具を貫通して有効打を与えたことを意味する。

攻撃ボーナス

命中率のこと。
これも、実際に攻撃が命中したあとのダメージとは関係がない。
「攻撃ボーナス/ダメージ」という用語が混乱を招きやすい…とは思う。

攻撃ロール(命中判定)は、

d20+攻撃ボーナス ≧ 目標のAC

なら命中。

ダメージ

攻撃力のこと。攻撃ボーナスとは直接の関係はない。
繰り返すが、防具などによる衝撃が緩和されたか、などの要素は全て攻撃ロールで処理しているので、攻撃が命中したら、書かれているダメージはそのまま全て、hpへのダメージとなる。

武器の特性と攻撃への修正値

攻撃ロールに使う能力値修正と、ダメージに加える能力値修正は、必ず同じものになる。
(武器のみ。呪文は基本的にダメージに能力値修正は加えられない。)
この時使う能力値は、武器によって異なる。

近接武器:【筋】
“妙技”武器:【筋】【敏】どちらでもよい
遠隔武器(“投擲”を除く):【敏】
“投擲”武器:【筋】(“妙技”なら【敏】でもよい)

ダメージ種別

全てのダメージには種類があり、それによって攻撃が有効だったり、効かなかったりする。

一般的な攻撃の

[殴打]
[斬撃]
[刺突]

の他に、

[光輝]
[酸]
[死霊]
[精神]
[電撃]
[毒]
[火]
[雷鳴]
[力場]
[冷気]

といった種類がある。

抵抗/脆弱性

特定のダメージ種別に強かったり弱かったりする場合、その種別への「抵抗」「脆弱性」を持つ、という形でデータにあらわれる。

抵抗を持っているならダメージ半分(端数切り捨て)、脆弱性を持っているなら倍になる。

例:スケルトンは[殴打]への脆弱性を持っている。よって、スケルトンにメイスで5ダメージを与えたら、10ダメージになる。
トリエントは[殴打][刺突]への抵抗を持っている。よって、トリエントにメイスで5ダメージを与えたら、2ダメージになる。

セーヴィング・スロー

セーヴ、STと略される事もある。
ある脅威に抵抗できるかの判定、またその判定の基準値。
セーヴィング・スローを用いる脅威には、呪文、毒や病気、罠、ある種の特殊攻撃(ドラゴンブレスなど)がある。

脅威の種類によって、使う能力値は異なる。

例:毒は【耐久力】セーヴ、ファイアーボールの呪文は【敏捷力】セーヴ

クラスによって、得意な(習熟ボーナスを足せる)セーヴは異なる。

脅威によっては、セーヴに成功しても完全に回避できるわけではないものもある(ドラゴンブレスなど)。
似たような効果でも、判定にセーヴを使う場合と、攻撃ロールを(攻撃側が)使う場合がある事に注意。

例:ファイアー・ボルト呪文は攻撃ロールだが、セイクリッド・フレイム呪文は【敏捷力】セーヴである。

死亡セーヴィング・スロー

hpが0になっている時に、毎ターン行う特殊なセーヴィング・スロー。
d20のみを振り、10以上で成功、9以下で失敗。
成功と失敗の数を記録しておく。
成功3つで「容態安定化」、失敗3つで死亡する。

容態安定化してもhpは0のままだが、死亡セーヴを振る必要はなくなる。
なお、d20の目が1なら、2回失敗とみなす。20なら、hpが1に回復する。

この死亡セーヴが行えるのは、プレイヤーキャラクター以外は、一部のDMが決めた敵やキャラクターのみで、普通の敵はhpが0になった時点で死亡する。

hp0周りのルール

死亡セーヴとは別に、hpが0になった上で「お釣り」が最大hp以上になったら、死亡する。

例:最大hp15、hp5のキャラクター
20ダメージ → 5ダメージでhp0、残り15ダメージあるので、死亡
19ダメージ → 5ダメージでhp0、残り14ダメージなので、ただのhp0状態

hp0の状態でダメージを受けると、死亡セーヴ失敗1回分が貯まる。また、容態安定化も解除される。
もしこのダメージが最大hp以上だった場合、やはり死亡する。

複数回攻撃など、ダメージは1つずつ処理すること!

グリッド・マップ

正方形のマスを並べた、よくある方眼マップのこと。
一般的にD&Dの戦闘は、このグリッド・マップを用いる。
1マスの大きさは5フィート。

実は選択ルールであり、DMは位置関係を抽象的に処理しても構わない。
ただ、グリッドマップを使った方が分かりやすいし、処理も楽である。

マス目の数え方

移動や射程距離などを数える時、斜めをどう処理するかが問題となる。
これには2通りの方法がある。ベーシックルールに記載されているのは4版式カウント法である。

4版式マス目カウント法

斜めも横と同じく1マスは1マスと数えるやり方。

メリット:余計な計算をしなくていいので処理が楽
デメリット:実際の距離とゲームで使う距離に結構な誤差が生じる(最大で√2倍)

3版式マス目カウント法

斜めを数える時は、その処理における奇数歩目を1マス、偶数歩目を2マスと数えるやり方。

メリット:実際の距離とゲーム内の距離にあまり誤差が生じない
デメリット:慣れないと計算が面倒だし、数え間違いも起こりやすい

サイズ

キャラクターやモンスターのサイズ。

超小型
小型
中型
大型
超大型
巨大

の6段階のサイズ分類がある。

ほとんどのプレイヤー種族は中型。ハーフリングとノームのみ、小型となる。

スペース

グリッドマップにおけるコマの大きさ。

超小型:2 1/2フィート × 2 1/2フィート
小型・中型:5フィート × 5フィート
大型:10フィート × 10フィート
超大型:15フィート × 15フィート
巨大:20フィート × 20フィート

と、正方形になるようになっている。
1マス5フィートなので、小型・中型は1マスのコマで表せる。

間合い

近接攻撃を行える距離。
機会攻撃範囲も同じ距離になる。

普通は5フィート(隣のマスまで)。
“間合い”特性の武器や、サイズの大きな敵はこれより長くなることがある。

イニシアチブ

戦闘において、行動順を決定する数値。
戦闘のはじめに計算され、イニシアチブ順はその戦闘中は変わることはない。
イニシアチブの高い方から順に行動するターンが回ってきて、全員分が終わると次のラウンド、またイニシアチブ順の頭から行動する。

イニシアチブ修正値(仮)

正式な用語ではない。
イニシアチブを決定する時にd20に加える値のこと。
特に何もなければ【敏】修正値がこの値になるが、特技などで変わることもある。

キャラクターシートの「イニシアチブ」欄に書くのはこの値。

君のターンにできる行動

戦闘中、イニシアチブ順が自分のターンになったらできる行動は次の通り。

移動
アクション
ボーナス・アクション(もしあれば)
他の行動

自分のターン外でできる行動は、

リアクション

のみである。

移動

自分の移動速度まで移動できる。
移動困難地形や、味方のマスは2倍の移動速度を必要とする。

移動速度は1回で使い切る必要はない。
例えば2回攻撃できるキャラならば、移動して攻撃して、その相手が倒れたら(移動速度が残ってれば)さらに移動して別の敵に攻撃、といったこともできる。

アクション

メインの行動。
攻撃、呪文、(アクションを用いると明記されている)特殊能力など、さまざまな事ができる。
ベーシックルールp.74を確認のこと。

ボーナス・アクション

メインの行動とは別の、クラス特徴などから得られる追加行動。
逆手での攻撃、ヒーリング・ワード呪文など。

アクションとボーナス・アクションに互換性はない。
よって、1ターンにボーナス・アクションを2回行ったりはできない。

リアクション

自分のターンで行う行動以外でできる行動。
何らかのトリガーに対して発動する。

例:機会攻撃範囲から敵が出る

リアクションは1回使うと、次のターン開始時まで使えなくなる。

実は自分のターンでもリアクションは可能。

例:機会攻撃に対して、シールド呪文

機会攻撃

攻撃が自分のターンにしかできないと、例えば前衛が後衛が敵に狙われないようにガードする…といったことができない。
それができるようになる為のルールが機会攻撃である。

昔のシミュレーションゲームでZOC(支配領域)と呼ばれていたものと類似している。

機会攻撃は敵が、間合いの中から外へ移動した時に発生する。
間合いに入った時や、間合いの中で動いている時には発生しない。

敵の周囲をぐるぐる回っても機会攻撃は発生しないのだ。

その他、他者からの強制的な移動(つかんで移動など)や、瞬間移動も、機会攻撃を発生しない。

機会攻撃はリアクションとして扱われる。つまり、ターンとターンの間に、機会攻撃は1回しかできない。
よって、機会攻撃が発生しても、攻撃しないという選択肢も存在する。

機会攻撃は1回の近接攻撃である。
よって、近接攻撃が出来なければ機会攻撃はできない。

機会攻撃は、戦線を通り抜けようとしたら攻撃することで、通り抜けを抑制するルールである。
しかし基本的に、それ自体に足を止めさせる効果はないことに注意。

状態

いわゆる状態異常。
基本的には有害な状態を記録する為のルールだが、不可視状態など例外もある。
詳しくはベーシックルールp.109~110を参照のこと。

以下では、初心者がつまづきそうなポイントについて解説する。

無力状態

これ単体の状態になることはほとんどなく、たいていは他の状態(気絶/石化/麻痺/朦朧状態)になった結果として付随してくる。
これ単体での効果としては、アクション/リアクションが使えない。

いわゆるFFTの「ドンアク」。

伏せ状態

唯一、自分からなることのできる状態。
基本的には有害だが、相手の遠隔攻撃ロールが不利になるというメリットもある。

気絶/石化/麻痺/朦朧状態

動けなくなるわけだが、これらの状態の相手に攻撃しても、自動的に攻撃が命中するわけではない事に注意(攻撃ロールに有利だけ)。

また、気絶状態は伏せ状態にもなるので、遠隔攻撃ロールは、有利と不利が重なり合いどちらでもなくなるという、ややこしいことになる。

拘束/つかまれた状態

これらの相手への攻撃も、自動命中ではない(つかまれた状態への攻撃は有利ですらない)。

また、移動出来なくなるが、アクションは取れる事に注意。

いわゆるFFTの「ドンムブ」。

毒状態

初心者殺し用語。
ダメージの種別に[毒]というものがあるが、それとは完全に別物。
[毒]ダメージを受けても、それ自体の効果で毒状態になることはない。

消耗状態

何故かこれだけ6段階ある。
基本的に同じ状態は重なることはないのだが、消耗状態だけは段階が進むルール。

例:消耗状態1段階でさらに消耗すると2段階に進む

脅威度

モンスターの強さを図る指標。

脅威度と同レベルのキャラ4人なら、歯ごたえはあるが死者を出すほどの敵ではない、程度の強さになる。

ただ、この手の指標の常として、そんなに当てにはならない。
5版の脅威度はそれなりには信用しても良いのだが、キャラのクラス能力、装備などによる相性を考慮に入れてないので、やはり運用に注意は必要である。

加えて、複数の敵に対する脅威度計算は非常に面倒である。
厳密な敵の強さの計算は、脅威度そのものではなく、そのモンスターを倒して得られる経験点で計算するのだが、そこに敵・味方の数を考慮した係数を掛ける必要がある。

具体的には、敵の数が1人から2人になると、強さを示す「経験点」の値は2倍ではなく2×1.5=3倍となる。
しかもこれは3~5人パーティの場合で、この係数は味方の数によって変動する。

そして、この値を特別な表から求めた味方の「経験点」と比較して、どのくらいの強さかを測る。

…といったように非常に面倒くさい。
詳しくはDMGp.82「戦闘遭遇の難易度」参照。


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