見出し画像

琉球諸語をユネスコが6言語から11言語に変更!#32

(記事は2024/06/10に更新)

琉球諸島には複数の言語が存在しますが、その前に「琉球諸島」とはどこからどこまでを指すのか?

その範囲を明確にしておきます。

琉球諸島とは奄美大島から与那国島までを指します。

1266年に奄美、1390年に宮古と八重山は琉球に入貢したので、奄美大島から八重山諸島までの範囲は琉球王国に組み込まれ、1879年の沖縄県強制設置まで琉球王国は存在しました。

したがって奄美大島から与那国島までが琉球王国の領土であり、その領土すべてを琉球諸島といいます。

ただし、ほとんどの辞書は奄美諸島は含めず、沖縄県の範囲を琉球諸島と定義しますが、奄美諸島は1609年より薩摩が実効支配をしましたが、外国には隠せと薩摩に口止めをされていました。

つまり奄美諸島も1879年までは琉球王国の領土だったというのが歴史的事実です。

そして琉球国内で使われた共通語はすなわち、うちなーぐち(おきなわ語)で、その中心となる言葉が「首里語」でした。

その他の琉球諸島地域の、奄美や宮古などではその島々の言葉を使っていました。

けれども、支配者である首里人と、奄美や宮古などの人とは言葉が通じなかったので、支配者の言葉である首里語を、奄美や宮古など琉球諸島のそれぞれの島の代表を首里に呼び寄せ、首里語を教えたのです。

それが1879年までは琉球諸島の共通語でした。
(ちなみに、大東諸島は1879年以後人が住んだので日本語が共通語です)

つまり琉球国の共通語は当たり前ですが、日本語ではなく、首里語=うちなーぐち(おきなわ語)でした。

その歴史は尚巴志の三山統一から数えても450年になります。

こういう当たり前の歴史が全く認識されていませんが、琉球諸島では1879年どころか、沖縄県になった後でもうちなーぐちは宮古や八重山などでも通じる琉球諸島の共通語だったのです。

日本語が琉球諸島で共通語になったのはここ100年くらいであり、500年以上琉球諸島の共通語は首里語=うちなーぐちだったというのが歴史的事実です。

したがって組踊(くみをぅどぅい)の脚本や琉歌(るーか)など、琉球芸能はうちなーぐちで書かれて来たのであって沖縄県が定めるシマクトゥバでは書かれていません。

「組踊はシマクトゥバで書かれ」と表現するのは歴史を捻じ曲げることになります。

シマクトゥバというのは近年の造語であり、琉球古典音楽やうちなー民謡、うちなー芝居、組踊などは、うちなーぐち(おきなわ語)で書かれています。

「首里語」は琉球諸島の共通語でしたが、1879年の沖縄県強制設置以降は、首里語以外に奄美大島の言葉を「奄美語」、宮古島の言葉を「宮古語」などと沖縄学の父と言われる伊波普猷など、言語研究者が定義し始めたので、琉球諸島内にいくつもの言語があると認識されはじめました。

琉球諸島内にいくつの言語があるかという定義は、研究者によって意見が違い、私の悩みの種の一つでもあります。

悩んでいるさいに、ちょうど2009年にユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が、琉球諸島には6つの言語があると発表しましたので、私はそれを参考にし以下の琉球諸島の言語地図を作成しました。

琉球諸島には

奄美語
国頭語
おきなわ語
宮古語
八重山語
与那国語

の6言語があり、これらの言語の総称を「琉球諸語」と言います。

私は2009年以降、上の言語地図をもとに大学などで講義し、この地図は学術書などにも掲載されました。

けれどもユネスコは上記6言語のみではなく、さらに増やし11言語あると近年発表しました。

それは

1 北奄美語(Northern Amami-Oshima)
2 南奄美語(Southern Amami-Oshima)
3 喜界語(Kikai)
4 徳之島語(Toku-No-Shima)
5 沖永良部語(Oki-No-Erabu)
6 与論語(Yoron)
7 国頭語(Kunigami)
8 おきなわ語(Central Okinawan)
9 宮古語(Miyako)
10 八重山語(Yaeyama)
11 与那国語(Yonaguni)

となっており、奄美語が南北に分けられています。


琉球諸島の言語を11言語と定義するユネスコのサイトには2024年6月10日現在アクセスしました。

しかしながら、またいつ変更されるか分かりません。

琉球諸島にいくつの言語が存在するかという定義は今後も各研究者によって変わり、さらにユネスコも現在の11言語という定義を変更するかもしれません。

私はユネスコが2009年に発表した6言語を基本的に教えて行くつもりですが、それは今後変更するかもしれません。

いずれにせよ、私の専門である、うちなーぐち(おきなわ語)は言語として世界的な機関であるユネスコも認めていますので、方言ではないということをご理解頂きたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?