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「私たちしかいない」への抵抗と応答〜「あるミャンマー人の訴え 7月」より〜


1. 「あるミャンマー人の訴え」から  

2021年8月2日、「メコン・ウォッチ、国際環境NGO FoE Japan、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)、アーユス仏教国際協力ネットワーク、日本国際ボランティアセンター(JVC)」が呼びかけた集会に参加しました。そこでいただいた資料に「あるミャンマー人の訴え 7月」が掲載されていました。その言葉は「心からの深い悲しみを込めて」から始まります。2月以降、ミャンマー市民が断固として国軍による支配に抵抗の声をあげ続けてきた末に、コロナ感染爆発のいま、民間人の酸素へのアクセスが制限され、ドラッグストアも閉鎖、家族や知人を看護するボランティアすら国軍によって逮捕されていることがレポートされていました。そこには、このように記されています。「この状況下で、人々は『私たちには私たちがいる、あきらめないで』と言って互いに励まし合っています。」

2. 「大きな機関」

ところが、「励まし」であったはずの言葉には、もう一つの意味があると説明されていました。それは、ミャンマーは、国連の安全保障理事会からもASEANからも見放されたことです。本来は人権といのちの保全のために協力するはずの「大きな機関」は、ミャンマー市民が殺されていることを傍観し続けています。「大きな機関」への信頼を喪失した末に、「私たちには私たちがいる」〜私たち以外にはいない〜という言葉が交わされるようになったのです。

3. 失望をもたらせた「対話」

日本政府はミャンマー情勢についてのコメントには相変わらず「対話」を持ち出します。2021年7月30日に行われた外務省会見において茂木外務大臣は、「ミャンマー情勢については日本としては2月当初から、暴力の即時停止、拘束された政治リーダーの解放、民主的政治体制の回復を求めてきた。ミャンマー国内での対話の開始を行なっていきたい」と述べ、その後、意見の異なる者の「対話」をすすめると述べました。このような日本の「対話」外交は、ミャンマー市民を失望させました。特別なパイプを持っていると言いながら、そのパイプは、ミャンマー利権を保持するための国軍との結びつきで、なんとかクーデター後も、経済需要としてのミャンマーをキープし、国際社会に向けては、人権と平和のスタンスを取りたいがための仲介役というポーズでした。https://www.youtube.com/watch?v=jkcmkRJIAnc

4. 失われる信頼 

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