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#1宮崎恭行選手インタビュー

ファイティングイーグルス名古屋はひとつ苦しい時期を乗り越えた。11月14日の試合で松山駿選手が右足を負傷して戦線離脱。横江豊選手も足を痛め、しばらく万全な状態でプレーできなかった。ポイントガードの相次ぐ故障。そんなピンチで奮闘したはこの人、頼れるキャプテンの宮崎恭行選手だ。

コート外から試合を見るのもいい勉強になる

 「チームメイトのけがとは関係なしに、どういう状況であっても僕は準備している。やることは変わらない。選手をやっている以上、たくさんの時間をプレーしたいと思っているんですけど、やはりチームの勝利というものを最優先に考えている。他の選手が30分プレーして、僕が5分でつなぐのが勝利につながるのであれば、それでいい。出た時間、自分の仕事をやれるように心掛けています」
 「けがをしないことが一番いいんですけど、けがをしたことで、普段プレーしている時に見えていなかった部分が外からだと見えてくることもある。自分がけがで試合に出られない時に、自分のポジションだとか、マッチアップするだろうという相手選手のところを、客観的に全体を通して見られる。コートに入っているとどうしても視野が狭まってくる。例えば、松山と横江は自分と同じPGですけど、2人はタイプが違う。しっかりコントロールする横江とガンガンとアタックして攻める松山。自分と違うタイプの選手を外から見られるのもいい勉強になる。こういう時、いまヨコ(横江)はこうしたけど、オレだったらこういう選択肢もあったかなとか、おれはこういう選択肢をしていたけど横がしていた選択肢があるんだ、とか。その辺はプラスに考えて、できることは必ずあるので。早く治すのが優先ですけど、試合ではそういうことをして、自分が復帰したときにいち早くチームに入れるようにする事が大事」

けがもプレーの幅を広げるチャンスに

 ここまで言い切れるのは、自身が大きなけがを克服したからだ。2015年11月、試合で左ひざに大けがを負った。医者から「国内でスポーツ選手がこのけがから復帰した例はない」と言われた膝蓋腱断裂。手術をして、リハビリ中の2016年9月にBリーグが始まった。ショックを復帰へのモチベーションに変え、2017―18シーズンの後半にコートへ戻った。翌シーズンにB2の3点シュート成功率1位のタイトルをつかんだ。
 「自分が復帰した時に、けがをする前と同じプレーはできないと分かっていたので、じゃあ自分がコートに入ったらなにをするのか、とイメージしながらリハビリしていた。僕はどっちかというと松山みたいなタイプだった。ガンガン突っ込んでって、ファウルもらってみたいな感じだった。それがドライブでアタックができなくなるだろうと思って、外のシュートを確率よく決められるようになろうと。そうすれば、こっちにマークが来るので、周りも攻めやすくなる。そういうのをイメージしていたんで、とりあえず外を決めようと思っていた」
 「プレーの幅を広げるチャンスでもある。それはけがをしていなくても。そういう話は若手にします。今やっていること、チームから求められていることをやりつつ、もっとプレーの幅を広げてという会話はしていて、それが若手選手自身の成長につながるし、成長してくればチーム全体としてもレベルアップしていける」

声ひとつで雰囲気は変わる

キャプテンを昨季に続いて2シーズン連続で務める。
 「特に昨シーズンから大きくやり方を変えたというのはないです。ただ若い選手が多くなった。話しかけにくいかなと思い、フランクに話しかけたりして、コミュニケーションをとるようにしています。なんかおとなしいのかな、今の若い子は。自分から盛り上げて声を出そうという感じではない。僕とか副キャプテンの鹿野とかが声出して盛り上がると、若い選手も声を出したりするんで。若い選手は僕らに比べると勢いっていうのがあると思うので、盛り上がるタイミングでもどんどん声を出していってほしいなあと思っている」
 「僕は若い時から声を出すタイプだった。今、キャプテンとしてチームをまとめるというのとは違って、ウォーミングアップするときとかも、めちゃ一番でかい声を出して、試合中でもシュートが入ったらベンチで一番喜んでるとか、そういうことやっていたんで。意識していたわけではなく。ただ、声ひとつで雰囲気は変わる。そういうところってけっこう伝染すると思うので。やっぱり1人2人が盛り上がってくると周りも乗ってくる。そういうふうになってくると練習の質も上がってくる。すごい大事なところだと思う。限られた中でどれだけ質のいい練習ができるか、一日一日無駄にできないので、ベテラン、若手は関係なく盛り上げてやれれば、質が上がってチームとしてもよくなるのでは。若手にはもっともっと遠慮せずに率先して声をあげて、チームをいい方向に持っていってほしいと期待しています」

やるべきことを試合でやるだけ

 レギュラーシーズンは約3分の1を消化した。22試合を終えて13勝9敗。
 「けが人もいましたし、外国人選手も入れ替わってちょっとかみ合わないところもあって、その中で接戦を落としたりとかはありましたね。でも、しっかりやれている時には勝てていますし、負けた試合でもやれている時間というのはうちの時間帯だった。松山もコートに帰ってきましたし、自分たちが週末の試合に向けて準備していることをどれだけ試合で徹底してやれるかというところだと思う。序盤の勝った試合と負けた試合を比べると、やっぱり勝った試合の方が準備してきたことをやれている時間帯が長い。負けた試合というのは準備してきたことが徹底できていなかった。今後、どれだけチームとしてやるべきことを試合でやれるかどうかというところを練習から声をかけてやっていきます」

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