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釣りを始めて1年を経ていない初心者の私が、83cmのスズキを釣った話・接触篇

この投稿は別のSNSに投稿したものをnote用に再編集したものです。7月の連休の時に83cmのスズキが釣れたのですが、とても嬉しかったので、その時のことを備忘録的に書きました。

備忘録と言いつつ、ちょっと長い投稿ですので前・後編にしました。後編も日を空けずに投稿されます。

では、少々長いですがよろしくお願いします。


結論から申し上げると、これが釣れたってことです。

釣りを始めて1年を経ていない初心者の私が、83cmのスズキを釣った話・接触篇

1.任務完了、そして

7月の連休で子供たちと帰省した翌日の早朝のことでした。

前日まで奥さんは家でお留守番。父1人子2人、2泊3日の長距離帰省でしたが無事に成功し、帰宅後、奥さんに明日早朝にアジゴを釣りに行っても良いかと聞いてみると、疲れてるんだから寝たほうが良いんじゃないかと思うがそこまで行きたいと言うなら好きにすれば、という返事でした。

と、いう感じで帰省時は毎日お酒を飲んでおったのをその日は止め、翌日朝2:00に起床し、諸々準備をした後に出発したのでした(疲れてるんだから、寝たほうが良いんじゃないか)

釣りの場所は、長崎でも特にアジが釣れることで有名な長崎南部の堤防で、私が去年の秋口からアジを釣り始めた場所です。

寒い時期は長時間釣っていてもなかなかアジを釣ることが出来ませんでしたが、夏の暑い時期は延べ竿で海に竿を入れるだけで小さなアジ(アジゴ)を釣ることが出来る、と釣り場の常連おじさんに教えてもらっていました。から揚げや南蛮漬けでビールを飲むのを夢見ながら、まだ日が昇る前の朝3:30頃から釣りを開始しました(疲れてるんだから、寝たほうが良いんじゃないか)

しかし、アジは全然かからず、釣れるのはネンブツダイだけでした。

このネンブツダイは釣り人にはキンギョなどと呼ばれている魚で、アジなどを釣っていると良くかかります。オスとメスはつがいになって行動し、オスの方は産まれた卵を口の中に入れて守るという生き物としては面白い生態をしている魚なのですが、たくさん釣れてしまうのと骨が多くて食べづらいということも有り、釣り人にはフグなどと同様に嫌われている魚です。

釣れた後に海に帰さずに陸地で干上がらせる(海に帰すとまた釣れちゃうから)などする人もいるのですが、釣りを始めたころにたくさん釣って楽しませてくれましたし、二度揚げすれば唐揚げで結構おいしく食べられることなどから、私はネンブツダイさんには常に敬意を払って接しており、釣れた時はいつも堤防の反対側にお返しなどしております。

今日はキンギョしか釣れんたい、と九州の釣り人っぽく呟きながら1時間ほど釣っていると結構大き目サイズのネンブツダイが釣れましたので、一応持ってきた「泳がせ釣り」用の仕掛け(初心者でも簡単に釣れる!みたいなのが書いてあるやつです)を車に積んであった予備の竿に着けて、泳がせてみました。

この予備竿には前回、夜釣り(全く釣れませんでした)に行った際に着けっぱなしであった電気ウキが付いており、初心者でも簡単に釣れる!仕掛け一式の中からハリスと針だけを拝借し、大き目のネンブツダイさんの鼻先にハリを通して、危険な任務に就いて頂いたのでした。

この泳がせ釣りの仕掛けですが、一応買ってはいたものの泳がせ釣りはしたことは無く、この日が初めての実戦です。ネンブツダイさん、任務終了後はお帰り願いますのでどうか頑張ってくださいね、と夜の暗い海に電気ウキがピコピコと可愛く動いているのを見ながらお祈りし、ドラグを手で引っ張ると糸が出るくらい緩めて放置しておきました。

(私は釣りをするまで知らなかったのですが、あの釣り竿の糸を巻く部分は糸を巻き取るだけでなく、調整することで糸を引き出すことも出来るようになります)

さて、それからから揚げと南蛮漬けを夢見てアジゴ釣りを再開させましたのですが、30分ほど経っても全く釣れず…

釣れんのに1時間30分もお前は何をしておるんだ、と釣りをされない方はお思いになることかと思いますが、一部の釣り人は一般の人々と流れる時間が違うことが知られています(本当は、釣れないポイントと分かったら、さっさと別の場所に行くのが正解)。

流石にそろそろ場所を変えるかなぁと思い始めたころに、放置していた予備竿のリールがギュルギュルギュルと音を立て始めたのでした。

2.接触

ドラグ音。釣り人で嫌いな人は居ないでしょう。以前、キスを釣っていた時、放置していた予備竿にチヌがかかり、私は初めて自分の耳で聞きましたが、確かに「大物がかかっているよ!」と伝える音ですので、胸が高鳴ります。

そして、この音は戦いの合図。

ボクシングで言うところのゴング、戦国時代で言うところのほら貝、ボートで言うところのアテンションGOのGの部分、スタジオジブリ映画で言うところの青地に白で描かれたトトロと同様です。

その時全く釣れないながらも、から揚げと南蛮漬けが諦めきれず(どんだけ食べたいねん)、サビキ仕掛けを海に投入しておったところですが、急いでリールを巻いて予備竿とタモ(デカい虫取り網みたいなやつ)に取りつきました。

なんでアジゴを釣っておるのにタモを持って居るねん思われるかもしれませんが、当家のタモは主に風で飛んだ帽子やバケツの蓋などを回収するために重用されています。

釣りというものは、海の近くでしますが、意外と海面にアクセスする手段というのは無くて、タモはあると便利なんですよ…とだけ言うと嘘で、本当のところはいつか大物がかかった時に押っ取り刀で対応できるよう準備しております(勿論、主に拾うのはバケツの蓋です)

予備竿は紀州釣りの際に使いやすいかな、と思いヤフオクで購入した長さ270の中通し竿。パワーのあるフィッシュイーター(魚を食う魚)を釣るには力不足かもしれませんが、準備万全で戦争を開始できた国家など存在しないという歴史的事実を思い起こして、ヤフオク中通し竿とタモを信じて、太陽の未だ昇らないAM5:00前にFightを開始しました。

ドラグ音を聞きつつ、本当にかかっておるのかなと思い海面のウキを見ると、確かに水の中に沈んでいて、赤い光が仄かに海中に光っています。この光景も釣り人にとっては、心が熱くなるものです。

少しだけドラグを締めて様子を見ると、かかっている魚の動きが鈍くなり、同じ場所でぐーっと力をかけて留まっている様子。時々、釣り場のおじさんたちが、ブリやネリゴ(カンパチの小さいやつの長崎の呼び名)を釣っているのを観ていたので、青物でもかかったかと思ったのですが、あいつらは物凄い勢いで泳ぎまわるはずなので、ちょっと違うのかなぁという印象です。

試しに少しリールを巻いてみると、まだ結構抵抗するので、再びドラグを緩めて様子を見ることにしました。

実は以前、海に面したキャンプ場でキスを釣っていた時、大きな魚がかかったのに糸が切れてしまってすごく悔しかったので、釣り人のHPやYoutubeなどで、大物がかかった時の対処法を勉強しておりました。

たとえばですが、針にかかった魚と同じように、人間の自分がそれほど強度が強くない紐に繋がれているとします。

思い切り力をかけて紐が切れるので有れば、一瞬だけ力を加えれば良いですが、例えば力をかけてもゴムのように縄が伸びて、力をかけ続けても切れなければ、ずーーっと力をかけ続けないといけないので、いずれ疲れてしまうはずです。

そういう原理で、釣りの際も大物がかかった時は強い力がかかって糸が切れないように、ドラグを緩めて逃げる時に抵抗が生まれるような状態にして魚を疲れさせねばならない、というのを知識としては知っておりました。

そこで、ドラグを緩めた上で魚を泳がせておき、動きが止まった時点でリールを巻くということを何度か続けてみました。

ドラグ音、ドラグ音が止まる、ああもしかして針が外れてしまったかもと思いながらリールを巻くと確かな手ごたえがある、またドラグ音、またドラグ音が止まる、またああもしかして…みたいなことを何回も繰り返しているうちに、堤防の側面の漁船などがたくさん止まっているところに魚は向かっているようでした。

漁船の下にもぐられてしまうと、舫いなどに引っかかったりして逃がしてしまう可能性が高まりますので、側面に移る途中でドラグを少し強めに締めて、そちらに行かないように少々強引に糸を巻きます。

それでも魚の方は結構な力で側面の漁船の下に潜り込もうとしているので、こちらも強めに巻くのですが、その時、針にかかっている魚が海面に近づき、少しだけその姿を観ることが出来ました。

その姿は…

青くない!

3.青くない!

青くない、ってなんやねんと釣りをしない人は思われるかもしれませんが、釣りをしてる時にブリとかカンパチが海面近くで泳いでるのを見ると、なんというか、本当に「青い」んですよ。

青いというか「碧色」と言うのが正解かもしれません。何度か釣り場でネリゴがネンブツダイを捕食するのを観ましたが、その美しい青緑の姿は、確かにブリとかカンパチは「青物」やなと思ってしまう説得力が有ります。

実はその美しい青い姿を見るのを少し楽しみにしていたのですが…

いま私の針にかかっている魚は青くない!

だから、ブリとかネリゴとかの青物じゃない!

では、こいつは…

銀色の鱗!

ああ、そうか!

スズキだ!!

そうそう、この釣り場でもアジが釣れない時に、悠々と泳ぐカッコいいシーバスをよく見かけていました。

なんどか針にネンブツダイをかけて誘ってみたことが有るのですが、勿論、目をくれることも無く、アジを追い払うように堂々と泳ぐ姿はカッコいいと同時に、いつか釣ってやろうと思っていた魚でもあります。そして、このスズキこそが先に述べた海に面したキャンプ場で逃がした大きな魚なのでした。

もしかしたら、あの時のリベンジが出来るのかもしれないと思いながらドラグを緩めたり、締めたり、巻いたりを繰り返しましたが、スズキはほぼ漁船の下の方に入り込んでしまいました。

20mほどある堤防の突端から、ぐるりと側面に回り込んで漁船の下に着いたので、かなりの距離を振り回されたことになります。もしも、他の釣り人がいる日中だったら、こんなに移動できなかったはずなので、夜にかかってよかったと思います。

しかし、これ以上、漁船の下に入られてしまうと、おそらくどこかで糸が引っかかって切れてしまうので行かせるわけにはいきません。

少し糸が出る状態にしていたドラグを固く締めて、まずはこれ以上漁船の下に行かせないようにします。少し間をおいて様子見で巻いてみると、あまり抵抗しない様子。ドラグを使って泳がせたのが効いているのかもしれません。

後はリールを巻いてスズキを岸に寄せていくしかないのですが、この時、すごく心細くなったことを書いておきたいと思います。

4.心を燃やせ

こんないい加減なセッティングのタックルで、しかも、技術的にも未熟な私にスズキ釣ることが出来るのだろうか。そして何故か、今この状況は現実のことなんだろうか、という考えさえ浮かんできました。

とにかく釣り上げたい、という気持ちだけでは無かったことが、とても印象に残っています。

しかし、いつまでもどうしようか考えて、リールを巻かないことには、いつまでも状況は改善しません。つまり、決心しないといけません。

私は「ああ、ここからが本当の釣りなんだ」と思いました。

自分の心の動きを確かめます。

不安や迷いは宿りましたが、釣り上げてみたいという気持ちは変わってはいないのは確かでした。

だから釣るための行動を取らなければならないと思いました。心を燃やせ。

竿を握り締めて、少しだけ強めに巻きます。しばらく前から同じ場所でじっとしている感じのスズキは、ちょっと抵抗があったものの激しい反発は無く、思ったよりスムーズに岸側に寄せられているように感じました。

この時、合っているのか間違っているのか分からないのですが、糸を巻いて魚を強引に引き寄せていくというよりも、魚の向きを変えて、こちら側に泳ぐ向きを変えてもらい、糸を巻き取るスピードを、かかっている魚の泳ぐ速度に同調するよう慎重に巻くことを意識しました。

これはサバなどの小さくても泳ぐ力が強い魚や、大き目のアジ、あとは数か月前に釣っていたサヨリのような口が小さくてあまり針がかからないのに激しく泳ぎ跳ねる魚などで何となく意識していた釣り方です。強引に引き寄せるよりも、このように魚の向きを岸側に変えて、泳ぐ速度と巻き取る速度をシンクロさせるような釣り方をする方が上手く釣りあげることが出来るような気がします。

今回は大きなスズキを釣ろうとしている訳ですが、マインド的にはサヨリのような小魚を釣るように慎重に巻き取っていきました。そうすると、スズキがうまい具合に漁船の下から出てくれました。

ホッとしつつ岸に徐々に近づくにつれて気持ちが昂っていくのですが、スズキを釣る際には重大な事態に直面する可能性が高いことも私は知っていました。

後編に続く!!!

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