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50を過ぎたら、ため息なんてつかない

「はぁー」
真っ赤な車を運転しながら、ため息またひとつ。

オイル交換に出かけた。イエローハットに朝一番の予約を入れ、昼には帰宅する。帰ったら、明日のお客さんの準備と、生協。そいでお隣のイヌのご機嫌伺い。ちょっと風は冷たいけれど、青空が広がって完璧な一日になる予感。おじいちゃんはショートステイ利用中。そのタイミングでシュッと遠野に行こう。目安の走行距離をちょいとオーバーしていたのが、ここのところ気がかりだったのだ。

警告ランプは点灯していなかったので、トラブルはないだろうけど、ま、見とく?くらいな気分で、前日オイル点検の棒⁉︎をシュッと抜いて、ティッシュで拭いてみる。オイルは少々減ってるみたい。大丈夫かな?元来の知りたがり屋「こっちはどうだろう…」オイルの注入口のキャップをはずしてみた。よくわかんないけど、たっぷり入ってるみたいだから大丈夫なのかな?

交換の当日。開店15分前イエローハットに到着。本を読みながら待つ。次男からの課題図書、写真家奥山淳志さんの「庭とエスキース」。奥山さんが惚れた弁造さんとの時間をひも解く。奥山さんの目線が心地よい。開店と同時に静かな弁造さんの暮らした北海道の大地から、イエローハットの賑やかな店内へ。交換作業の30分は、続きの本を読んで待つ。店に溢れる音楽やアナウンスから、再び弁造さんの世界へ。

…と、「ヤマシロさま」担当の店員さんがやってきた。やけに早いね?
「ヤマシロさま、オイルのキャップが外れていて、中のオイルが漏れている、というか吹き出しているというか…。前回交換された時からだと…」おそらく店員さんとしては、本日最初の車、いってみよっか!ボンネット開けたらナンジャコリャ!だったはずである。そのわりには冷静に状況を説明してくれた。ということで、私もギョッ!と思いながら「(妙にキッパリ)違います!それは私です」
そう、オイルのタンクをのぞいた後、キュッとキャップを締めた記憶も自信もない。

車もだけど、私の脳内も危険なレベルである。しかし瞬発的に「(たぶん)何も壊れてないし、誰かをケガさせたわけじゃないんだから。あー良かった」「山道で車がエンストとか、土砂降りの中パンクしたわけでもないし。あー良かった」早くも必死の良かった探しが始まっている。更にはイエローハット…。これじゃおさるのヨーコと黄色いぼうしの店員さんか…。妄想の旅を始めていたら、店員さんの声で我に帰る。

「…で、どうしましょう。キャップを発注しても到着が明日になるので、作業はそれからになります」おさるのヨーコの頭の中は、キャップの代わりにボロ布でも突っ込んで、その上からラップでもかぶせて、輪ゴムで止めるという図が浮かんだが、オイル交換はどっちみちしなければならない。うーむ。すると、黄色いぼうしの店員さん、代車が3日ほど使えるという。

代車は真っ赤な日産マーチ。車に乗ってしまえば、赤でも白でも関係ないが、赤い車に落ち込んだおさるのヨーコも、ほんの少し気分が上がる。でもまたすぐに自分のアホさ加減にため息…。まぁそんなことを繰り返して、これまできたんだよなと、人生まで振り返ってしまうくらいにはショックだった。そろそろこのアホな私に、ため息なんてつかないで、実に良くやってるよ、と肩を叩いて励ましてもいいように思う。

帰り道、赤い車で立ち寄ったスーパーで、亀の子たわしを買った。夕餉の片づけに、早速古いたわしと交換。手のひらに優しいチクチクが心地よい。オイル交換はできなかったけど、たわしは交換できたし、お月さんも優しく明るい。今日も良い一日でありました。(y)

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