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2024年1月9日

元日の午後、ほろ酔い気分を醒ますようにタイマグラの早池峰神社に初詣。
雲ひとつない青空に、真っ白な早池峰を仰ぎ見て平穏を祈った。その後に…。

何でもない日常が、どんなにか特別で、有り難く、大切な時間であるかを知らされる。
どうか少しでも安心できる場所の確保、心と体が温められる事、必要とする人の所にモノやお金が迅速に届く事を祈るばかり。
そして大切な人と突然引き裂かれた方々のことを思うと、どんな言葉も見つからない。

タイマグラは一見すると冬の体裁を整えてはいるのだけど、今のところ積雪は記録的に少ない。
南極昭和基地の室温よりも寒いはずのわが家も、この冬は室温で卵や野菜が凍ることもない。少々本気で薪ストーブを焚けば、冬眠していたカメムシも、うっかり飛び回るほどの暖かさ。助かるような落ち着かないような冬。

新年は山形県からお百姓さん一家をお迎えして、フィールドノートが始まった。米づくり、さくらんぼ栽培、餅つき、食堂、ゲストハウス…。
昨年6月に山形県村山市の「こめやかた」を訪ねた際、垣間見たご家族の姿に惚れた。たわわに実るさくらんぼの下で聞いた『Le Temps des cerises(さくらんぼの実る頃)』は、忘れがたい思い出。

家族でワイワイガヤガヤ言いながらも、まとまりの良さはあっぱれで、かつての正月映画「男はつらいよ」を見るような、そのメンバーに加わったような。
チーム「こめやかた」とチーム「フィールドノート」が相見えながら、今年も沢山の出会いが用意されている事を予感する。

私がタイマグラで暮らし始めたのは、1993年から1994年へと移り変わる年末。
「極寒の地で暮らし始めるなら真冬から…」そんな気合が当時はあったような、なかったような。
気合い十分の冬から30年、今年も早池峰の麓でゆるっとお会いできるのを楽しみにしています。

(文章:山代陽子 写真:山代生)


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