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「Let's Change The World's End」Part 2. SOS主催のコンピレーション、東方ラウドの最前線が集結

いつもお世話になっております。Ryotaです。


 前回の記事は、今日までに東方ラウド界隈はどのように移り変わっていったのか、そしてその立役者たちを自分の過去のツイートも交えながら振り返りました。今回はSquall of Screamが主催した東方ラウドコンピレーション「Let's Change The World End」について語っていくとともに、現在の東方ラウドで活躍しているサークルも併せて紹介していきます。(以下敬称略)
(まだ前回の記事を読んでない人は下にリンク貼っておきます。ただこの記事だけでもお楽しみいただけます。)

「Let's Change The World's End」をやることになった背景とは

東方×ラウドミュージックという衝撃を初めて僕に教えてくれたのは
Draw the EmotionalとForeground Eclipseでした。

様々なサークルが浮かんでは消えていく中で
『東方ラウドはもう終わった』という声を聞きました。

けれど彼等が僕達の心に灯してくれた火は
今も確かに燃えている。
彼等が描いた景色にはきっと
まだまだ続きがあるように思えてならなかったんです。

だから今もこんなにたくさんのサークルが活動している中で
東方ラウドは終わったなんて言葉、到底納得できないし。
今までこのジャンルを作り上げてきた彼等の代わりにはなれないけれど
僕達なりの景色は描いていけると思いました。
僕達が一人ひとりで叫んだだけじゃ届かないかもしれない。
ならいっそコンピという形で全員で叫んでみようと思い至りました
-Squall of Scream-

 主催者Squall of ScreamのTakuto(Scream Vo) とNoof(Compose/Mix&Mastering/Clean Vo)は同じ高校で知り合い、同じ軽音楽部で同じバンドを組んでいた友人同士。メロコアキッズだった二人はTakutoがNoofに「Pay money To my Pain」「Bullet For My Valentine」「ゆよゆっぺ」などといったスクリーモやメタルコアを薦めたことで激しい音楽にのめりこむことになります。高校卒業後、別々の大学に進学するも交流は続けていたようで、Takutoは高校生の時のようにNoofに「Foreground Eclipse」「Draw the Emotional」を薦めて「東方ラウドをやろう」という意志を固めます。その後上記2サークルは解散・活動を実質休止するも、「自分たちが好きなアレンジは自給自足していくない」「彼らがまた東方アレンジという遊び場に帰ってきたときに『面白いやつがいるのか』と言ってもらえるように」東方ラウドサークルSquall of Screamを立ち上げ、ついに昨年12月に悲願であったバンド活動をスタートさせます。
(エピソードを簡潔に説明しましたが、下記リンクに全文記載されておりますので是非読んでみてください。)

 このコンピレーションアルバムを主催した目的は引用でも触れていた通り、Foreground EclipseやDraw the Emotional、その他今まで生まれては消えていった東方ラウドサークルを見て「東方ラウドは終わった」という声に否を突きつけるために行われました。実際のところ僕も当時上記2サークルが解散しても、前回の記事で触れた通りライブイベントが減っても多くのサークルが活動している中で「東方ラウドは終わった」という声に納得できませんでした。(そのために過去ツイッターで東方アレンジやVOCALOIDやim@s Remixなどを取り上げる「日刊同人ラウド」を投稿して少しでも同人界隈を知らないハードコア・メタルファンに認知してもらう活動をしていました。)

 また、前回の記事で触れましたが、紅楼夢後の飲み会を経てミチザネをスクリーマーに加えようとしていたかちかち山も同じ時期に「東方ラウド第三世代」を標榜して東方ラウド界を盛り上げようと躍起になっていたのを覚えています。

Let's Change The World's End 各楽曲・サークル紹介

 では彼らが東方ラウドの最前線としてどんなサークルを集め、どのような楽曲を出したのか、各サークルの紹介と併せて見てみましょう。

Track.1 Our Prologue/RADICALive.

 トップバッターは「とがりつづける」を信念にhimoto.の個人プロジェクトをとして活動しているRADICALive.です。ここで「同人音楽サークル」と呼んでいない理由は以下ツイートをご確認ください。

 2018年の冬コミでNARCOLEPSY ONION&Discovering the Placeと3Wayスプリットミニアルバム「Aim For The Hazy Moon」で鮮烈なデビューを飾りました。今回のコンピレーションではクリーンボーカルにプログレッシブメタルコアDist.Araise(活動休止中)の彩、スクリームに叙情派の若手筆頭Fall of TearsのMochinagaをフィーチャーしております。(各バンドリンク貼っときますので要チェック)

 楽曲はアニソン調シンセとサビを交えたポストハードコアをベースにメタルコアの高速単音リフ+ハードコア調のビートダウンのハイブリッドとなっていることから、アレンジャーの多彩なバックグラウンドがうかがえます。個人的にメタルコアパートのリフはもちろん、楽曲の展開やドラムが精巧で質が高いので、僕が一番好きな東方メタルコアサークルを彷彿とさせました。(多分気のせい)

Track 2. UNKNOWN/mors mos

 2番手は東方メタルコアサークルとして活動するmors mos、このコンピがリリースされる前に「Dreamer seal」という3曲入りのEPをBOOTHにてリリースしておりました。私も聞きましたが、リフが精巧なモダンメタルコアという印象でした。たぶん一時ウィンドブレーカーを着ながらギターとベースを振り回す日本のメタルコアバンドを彷彿させたのではと思います。

 今回のコンピではUNオーエンアレンジ x スウィング要素とシャッフルビートを用いたダンサブルでジャジーなメタルコア、そして中盤に来る極悪なテンポチェンジを交えたブレイクダウン、この曲の元ネタが分かる人は今頃ニヤニヤした顔で聞いているはずです。

Track 3. the door/Our Last Day

 三番手は東方トランスコアOur Last Day。Medensy(Vo→Gt/Vo)とJirous(Ba→Vo)とAshay(Prog→Ba)の3人を中心に2014年に大阪で活動を開始、3枚のEPと1枚のミニアルバムを頒布後、2枚のコンピにも参加。3人ともアレンジャーなので各々の個性が出ていますが、基本的にトランス・シンセを用いたポストハードコアという点だけは変わりません。ライブ活動も今回参加するサークルの中では比較的精力的に行なっており、自主企画も2度大阪で行っております。2016年末からメンバーの環境の変化もあり活動ペースが落ちていましたが、昨年の例大祭で待望の1stアルバム「past, now, future」をリリースするとともに、コンピの参加にも表明しました。今後は活動拠点が関東中心になるとのこと。

 今回のコンピ参加曲はMedensyが担当しており、数回の転調を伴った目まぐるしい展開とともに、OLDお得意のトランス調のシンセと繰り返されるサビのシンガロングパート「Knock knock knock, it's nine o' clock...」がひたすらキャッチ―。2サビ後にヘビーなビートダウンパートもモッシーでライブでも体が動くことは間違いありません。アレンジャーのこだわりは「最後のクリーンパートで違う原曲のメロが同時に流れて最終的にハモって(しかも同じ語感の言葉で)終わる」パートとのこと。嫌みを感じさせない緻密にアレンジされたパートなのでぜひこだわって聞いてみてください。

Track 4. Rebellious traitor/AMONG THE GLOOM

 今回登場する東方ラウドサークルの中では一番凶悪なメタルコア/ポストハードコアアレンジを放つAMONG THE GLOOMです。BOOTHで東方関連の商品が購入できなくなった現在、流通している音源は少ないですが、音源はどれも前述のハイクオリティかつ凶悪。特に「Dimensional Effect」はクリーンボーカルなしのデスコアアレンジで度肝を抜かれたのを覚えております。

 今回のコンピにはリバースイデオロギーアレンジで参加。AMONG THE GLOOMの基本要素である「ローチューニングを伴った凶悪なメタルコア/ポストハードコア+K≒の凶悪なグロウル+女性クリーンボーカル」の公式をストレートにぶつけた楽曲。歌詞は原作の世界観を表した内容となっております。そういえばアルバムリリースする話、どうなったんだろうか... 

Track 5. What color is the sky/Our Oath Of Office

 東方ラウド第三世代でコンスタントに活動し続けるサークルの一つ、Our Oath Our Office (OIV)。しょー、じゃくそん、らいあんの3人で活動しており、ポストハードコア/メタルコアを中心とした東方ラウドアレンジが特徴ですが、リリースするEPではトランスやR&Bの要素も入れており、多彩なアプローチも近年見せてきております。また、ボーカルを担当するしょーは、No Gimmick No Lifeのゲストスクリーマーとしても多くの作品で活躍しており、当時同サークルに在籍していた葛城ユイとツインボーカル体制の曲も多いです。僕は何度かしょーと会ってアキバHUBで飲んでますが、背が低めで大人しそうな外見からは想像もつかないほど厳ついスクリームを放ちます。

 コンピの楽曲は幼心地の緋想天のポストハードコアアレンジで、クリーンもスクリームもしょーが担当しております。この楽曲のお気に入りパートは原曲+原作の雰囲気に違わない壮大な世界観を醸し出すシンセと中盤のテクニカルなタッピングパートです。

Track 6.やさいあぶらからめ/ねこりす

 6番手は現状精力的に活動している東方ラウドサークル陣の中でも一番ぶっ飛んだキャラクター性をもつ、「東方ゆるふわはーどこああれんじさあくる」のねこりす。お酒とモンスターエナジードリンクをこよなく愛し、SNSじょうでは常にひらがなで会話、同人即売会では「子供にも読み聞かせ出来るようにと」CD付きの絵本を頒布し、音源は食べ物や山手線の駅名を羅列する歌詞をEDMやメタルコアに合わせて歌う(叫ぶ)という斬新すぎる音楽性とキャラクターで徐々に話題が集まりつつあります。しかし、代表のねこさんは、「死際サテライトが解散したことで、作り手側に回ろうと思った。また、その時の売り子にサークルをやろうと誘われたのもきっかけだった」と話しており、東方サークルにかける愛と情熱は本物。実際に2019年に入ってから100万どんぐり(=日本円)以上楽器やDTM用の機材に費やしているとのこと。これは「機材が貧弱で悔しい思いをしたから」だそう。

 肝心の楽曲についてはタイトル通りのドカモリラーメン系でよく使われる用語と野菜の名前を連呼しながらメタルコア調の曲に合わせて歌って叫ぶねこりす節。途中の極悪なブレイクダウンからのファンファーレと猫の鳴き声は急展開過ぎてIQが20くらい上がります。2019年に入ってゲストボーカルにmurder groundの霖やガクブチックのnatsuを加えており、徐々にカルト的に注目が集まっているねこりす、2020年の目標は「ともだち100人つくる」とのことなので楽しみです。

Track 7. Inner Space/Pearls Before Swine

 Pearls Before SwineはGASEN(Arr, Vo)とJyo3(Arr)の二人で2013年に始動したサークルで、兵庫を拠点に活動しているサークルです。しかし、サブアレンジャーのJyo3が上京したことや、GASENがなかなか音源に参加できない事情もあり、近年はJyo3が中心となって活動しております。GASENが中心として活動していた時はトランス調のシンセを加えたポストハードコア/メタルコアを中心のアレンジですが、Jyo3が中心になってからはオルタナティブ/エモ/ロック中心にシフトしています。これはJyo3が「音楽制作において一番重要なのは良質なメロディーを作ることで、僕自身も歌ものが好き」だからという理由です。そのため、今回のコンピに参加する際、どうしようか迷った末GASENとの共作になっております。

 個人的にコンピの楽曲の中では一番異色の作品となっております。というのも、それはこの楽曲がクリーンボーカルのみだからという理由ではなく、今回の楽曲の要素がIssuesALAZKASiamese等近年ソウルコアと呼ばれるメロウでグルーヴィーなポストハードコアという点です(バンド名のところに楽曲のリンク貼っておきます)。GASENのグルーヴィーなアレンジと、Jyo3の日本人好みのキャッチ―な歌メロがうまく合わさっているアレンジになっているとアレンジャーは語っておりますので、その点にも注意して聞いていただけると幸いです。

 ちなみにこの曲は僕のソウルメイトであるセイガ君が、和訳と考察を記事にしております。何度か言っておりますが、僕はここまで深堀して書けないので尊敬してます。ぜひご一読を。

Track 8. 秋霖は静かな血潮に/waorlarts

 8番手は広島発東方ラウドサークル、waorlarts。おそらく今回参加するサークルの中では最も歴史が古いサークルになります。2013年ごろにEPをリリース後、そこから何も音沙汰がなく解散かと騒がれていたのかは定かではありませんが、2018年の秋例大祭で約5年ぶりに活動を再開。「東方漸悟 touhou-djent」EPをリリースし、次の春例大祭でコンピに参加しております。音楽性としてはトランス調のシンセをフィーチャーし、クリーンな女性Vo.と激しいスクリームの対比を強調させたサークルとのこと。また、プログレッシブで複雑な展開やEPの名前通りDjentの要素も加えていることも特徴で、本人たち曰く「宇宙」を想起させているとのこと。

 今回のフォールオブフォールアレンジも上記の通り、スペーシーで壮大な「宇宙」を想起させたシンセにどこか無機質な女性クリーンVo.(いい意味で)と激しいスクリームを加えたポストハードコア、個人的にお気に入りなポイントは不穏なトラップ調のイントロです。最初「ジャンル転換したんかな...」てなりましたが、いつもの彼らで安心しました。今年はフルアルバムを冬コミでリリースすることらしいので再始動してからの動きに目が離せません。

Track 9. 春の氷精/凪の匣庭

 お次は長崎発東方エモ/ラウドサークル凪の匣庭、maco(vo, syn)、510(Gt, Rec, Mix, Mast)、ギャッピー(Ba, Arr, Sc)、祐(Dr, Gt, Arr, Sc)の4人で活動しており、ライブ活動もこの体制で行っております。昨年は福岡で自主企画も行っており、堅実に注目度を集めてきております。このサークルは基本的にポストハードコア/エモ要素が中心ですが、アプローチも実に多様。岸田教団を彷彿とさせるギターロックの要素をフィーチャーしたかと思えば、吹奏楽でジャジーな雰囲気に寄せたり、さらには演歌の要素も取り入れており、常に挑戦的な姿勢を見せていたりします。(本人たちはジャンルガバガバと言っていましたが...)本人たち曰く、「ツインペダルとドロップCチューニングで曲をアレンジしているうちは東方ラウドサークル」だそう、ちなみに「一番コアで激しいアレンジをするのは祐」だそうです。

 楽曲は凪の匣庭では一番スタンダードになるギターロックの要素を取り入れたエモ/ポストハードコアアレンジ。大サビへ向かうパート、激しいドラムとワウペダルを用いたギターのリードに乗せてmacoのソウルフルに歌い上げるところが個人的に聴きどころです。曲の情景として、冬が終わる3月ごろの快晴の朝が思い浮かびます。まだ寒いけど日差しが温かいことが春の訪れを感じさせる、そんなイメージです。maco曰く、「原曲の知名度はコンピ収録曲の中ではものすごい好きなアレンジ」とのこと。

 また、Twitterでも取り上げましたが、macoが「麻生すたーりん」としてvo.で参加している「ソマレ」のEPが昨年の冬コミでリリースされました。僕はあまりギターロックを聴かないですが、DHSのCDジャケやフライヤーをデザインしたことのあるナオイ先生デザインのジャケと、等身大な歌詞の載せてソウルフルに歌うvo.に惹かれました。「色」をコンセプトにしたEP「Dyeing Message」、是非チェックしてみてください。

Track 10. ゆめのうた/かちかち山

 2018年の鮮烈なデビュー以降、着実に人気を集めつつある東方ぽしゅと・ハード・こヤかちかち山。このコンピが出る前の冬コミからシングルが完売していることからも、2017年末に解散した「あの」サークルのリスナーも引きこみ、「入山者」を増やしていることも話題になっております。ゆるいサークル名ですが、アレンジはガチガチのポストハードコアで、サークル主が何度か触れた通り、今回のコンピにかける情熱はかなりのものです。2018年の例大祭でミチザネと合流して以降、スクリームも取り入れ始めております。

 今回の夢消失アレンジも、かちかち山の3本柱である「叙情的でメロディアスなリード+硬質なチャグを取り入れたポストハードコアアレンジ+女性クリーンボーカルと咆哮」を最大限に発揮した楽曲ですが、個人的には今までリリースされたかちかち山の楽曲の中では最もボーカル面へのアプローチが挑戦的だと思っております。一点目はミチザネのメロディーをなぞったシャウト(いわゆるセミ・クリーン、ArchitectsのVo.のSamのアプローチが分かりやすいと思います。)、もう一点はnatsu(ガクブチック)のクリーンで3連譜入れ込んだボーカルライン「夢か現か~」の部分です。後者は意図的に取り入れたものらしく、「実験的に入れてみたけど違和感がなかった」と満足気です。

Track 11. 朽ちた葉と願いの雨/Squall of Scream

 今回の主催Squall of Scream、今回のコンピにかける情熱は冒頭にも述べたので割愛。サークルの音楽性を軽く紹介すると国内海外の多種多様なメタルコア、ポストハードコア、メロディックハードコアの要素を消化し、うまく東方の原曲に当てはめることで独自の世界観を構築しております。また、個人的には歌詞も注目するべきポイントだと思っており、彼らの場合は原曲の世界観+自分たちの描いているコンセプトや心象や実体験を絶妙なバランスで昇華し、違和感なく成立させているところが、東方アレンジファンだけでなくメタル・ハードコアリスナーも引き込んでいる要因ではと考えています。

 今回の楽曲はジャケットの橙を想起させる内容で、Vo.のTakuto曰く、「式である橙が夕立の中で主人と別れなければいけない運命を叫んでいる」というだけあって歌詞も上記の内容の通りです。Takutoのボーカルアプローチも挑戦的で、序盤のヴァースのポエトリーアプローチ(個人的にはeteを彷彿とさせます)と彼がボーカルとして参加する曲では初の日本詞スクリームがポイントです。僕に話してくれたことがありますが、Takuto曰く「歌やオケにはコトダマが絶対にあると思ってるからありったけの気持ちを込めて歌ってる」とのことなので、この曲に限らず、彼らの曲で何かしら感じ取ってくれれば幸いです。

Track 12. Last Blast/Adust Rain

 東方ラウドのなかでも一番多種多様なアプローチで個人的には「闇鍋」と呼んでいるAdust Rainは2014年にokogeeeechanとKissssyの二人により結成。2014年のDHS主催「Search For The New Stream Fes」(前回記事参照)に行ったことがきっかけで東方アレンジに着手しました。どのジャンルっていうのか断定できないほど取り入れている要素・アプローチが多いことが特徴でメタルアレンジを中心にしつつも、EDMアレンジを収録した作品もリリースするなど、東方ラウドを知らないファンからの支持も得ており、今回参加サークルでは一番人気のあるサークルと言っても過言ではありません。

 しかし、昨年の例大祭をきっかけに活動休止を宣言。これはKissssy曰く、「おこげちゃんの出産・育児もあって活動のペースが下がったりするし、現状以上に人気を獲得するのは難しいから、だらだら活動するよりもいったんお休みしてメリハリをつけるためにそう判断した」とのこと。現在KissssyはPandemic from the roomという新プロジェクトで活動しており、すでにシングルが一枚リリースされております。

 肝心の楽曲は、Adust Rain流の激しいブラストビートとバスドラ連打を用いたメタルアレンジ+東方ラウドの中では断トツに上手いokogeeeechanのクリーンボーカル+この作品がAdust Rainのゲストボーカルとして最後になるミチザネのエモーショナルな咆哮+Kissssyの実弟であるK.ShawZも参加しているまさにタイトル名通りの活動休止前最後の爆発そのもの。本人たち曰く「原曲の世界観を悲壮感を混ぜて歌詞を書いたんだけど、図らずもミチザネ君の引退やAdust Rainの活動休止も重なってしまった」とのこと。個人的にお気に入りパートはミチザネの叙情感マシマシの日本詞スクリームです。「それなら僕はもういなくなるから」の部分は涙腺に来ます。また、もう一節はNew Age Shines.というサビの頭のフレーズ、あれは「東方ラウドの新時代は輝く」というコンピのコンセプトにあてはめて作ったと伺っているのでお気に入りです。

Track 13. 舞い散る花は幻想のようで/Squall of Scream

 最後は主催Squall of Screamが、クロスフェードにて解禁した「ボーナストラック」でこのアルバムを締めくくります。スクリーマーにこの曲でSOSへの参加が最後になるミチザネ、クリーンはSOSに正式加入して初めてマイクを取る葛城ユイが担当します。(彼女の個人サークル、Armelyricsも要チェック)この曲実はクロスフェード公開まで存在が隠されていたんですよね...

 楽曲は静かで幽玄なイントロから、クリーンボーカルを交えたステージダイブ必至の疾走パート、その後浮遊感と儚さあふれる壮大なサビで楽曲を彩ります。一度ミチザネのスクリームを交えたブレイクダウンを挟み、最後は再び疾走パートでミチザネの咆哮とともにこのコンピは締めくくります。

 個人的には今回のコンピの中でも一番お気に入りです。歌詞の内容は実際どのような内容なのか伺ってないですが、おそらく一番彼らの東方ラウドや偉大な先人であるDtEやふぉあぐらへの気持ちをぶつけていると考えております。当時彼らの活動が止まった時に感じた悲しみ(ミチザネのスクリームパート)、時代が移りすぎていくことの儚さを花に例え(サビの頭の部分)、そして彼らが帰ってきた時に東方ラウドが「面白い遊び場」として盛り上がっているようにという決意が一番如実に表れてるのではないでしょうか?

まとめ 

 何度も作品を聞き返した時の印象や、即売会で対面であった時やSNS上での交流、そして各サークル主の発言をもとに「Let's Change The World」と活躍しているサークルの方々について語ってきましたが、いかがでしたでしょうか。すでに購入された方は、この記事を読んで少しでもこのコンピの意図や気持ちを感じ取っていただけると嬉しいです。まだ購入されてない方も、興味があれば是非手に取っていただけると幸いです。

長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました。


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