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人が追いつかない④

 休日になると高速道路は渋滞する。交通量が多いから渋滞しているかと思えば、輸送関係のトラックなどを考えれば平日とさして変わるようではないはず。もちろん平日の朝の通勤時間帯は向かう方向が一緒なので、交通量が一時的に増加して、渋滞を起こすことは日常に近いのだが、例えば上り坂の区間であるとかで自然に速度が落ち、100Km/h巡航していたはずが、いつの間にか80Km/hまで速度が落ちて、それが引き金で渋滞が発生しているということも少なくない。いや、というよりそういう区間は必ずや渋滞が発生してしまう。

 仮にこの20Km/hの差が渋滞を発生しているとすれば、一体何が原因か。仮に片側2車線の高速道路で、A-B館は平坦路、B-C間は上り勾配、C-D間は下り勾配としよう。

 たった1台の車で、周りに誰もいなければA-B間を100Km/hで走り、B-C間で徐々に速度が落ちて勾配最後あたりで80Km/hに落ちて、C-D間で下りながら100Km/hに戻ったとすれば、これはなんの影響もない。アクセルをほぼ一定で踏み続ければそうなるのが自然だからだ。ところが複数の車両だと状況は違う。
 A-B間で前車が100Km/hで走り、後続車が適正な車間距離を保ちながら、100Km/hで走っていれば流れは順調だ。しかし前車がB-C間に入って速度が落ちていくと、後続車の方がまだA-B間のBの終わりあたりだとしたら、前車に徐々に追いつき、車間距離が詰まってくるのを感じるはず。そのまま両者がB-C間に入ると後続車は車間が詰まっているので、元に戻そうとするわけだが、その時に前車よりもスピードを落とさなければ適正車間まで戻すことができなくなる。

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