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時代を先取りし試作研究が続けられた、磁気シートを活用した『MAVICA(旧マビカ)』ビデオ・カードシステム

『ソニー技術の秘密』にまつわる話 (52)

1970年初頭頃より、後に『MAVICA』として大きな反響を生む電子スチルカメラの誕生に繋がる、磁気シートを記録媒体とした、カード型のビデオシステムの研究がソニーの技術者・木原信敏によって進められていました。

まずは、

1972 (昭和47)年、
カード型磁気記録媒体の実用的な製品提案として開発された『電子新聞』。

外径200mm x 200mmの薄いジャケットに入った磁気シートが自動的に機器にセットされ、直径50㍉程度の回転ドラムにシートが巻きつき、磁気ドラムが回転しながら挿入された磁気シートに記録再生を行う機械で、1日分の新聞情報を記録させた磁気シートを販売し、テレビでその情報を読むことを想定して開発されました。

後の電子ペーパ等で語られる、自然資源の紙の消費を抑えるという環境保護の発想を持った「次世代新聞」として考案されたものでした。

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1974 (昭和49)年、には、カラー画像での記録再生が可能なビデオプレーヤが開発されていました。

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磁気シートが筒型のドラムに巻きついて記録再生する、独自のフォーマットを採用した「ビデオカードレコーダー」で、記録媒体が薄いシート状で簡単に持ち運べるなど、多目的さを目標に開発されましたが、こちらも商品化にはいたりませんでした。

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磁気シートをカード化し開発されたゲームマシンもありました。

1977 (昭和52) 年、各種ゲームが記録された磁気カードを挿入し、カードに保存されたゲームの内容が回転磁気ドラムで読み取られ、簡易演算用回路を通しゲームを進めるテレビゲーム装置でした。

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後のテレビゲーム市場を想定して開発されたものですが、現在のような半導体デバイスがなく、本格的なテレビゲーム時代の到来には30年近くを必要としました。

磁気シートを活用するビデオ・カード・システムは来るべき未来を想定して様々なアイデアから、多くの試作品が作られましたが、『MAVICA』という名称が世に出るのは1980年代に入ってからのことでした。

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文:黒川 (FieldArchive)


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