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円盤状の磁気シートをレコードのように回転 〜 静止画を可能にした 『シートレコーダー』

『ソニー技術の秘密』にまつわる話 (51)

VTRの使用用途の一つとして、高速動作の分析が挙げられますが、VTR以前の高速動作の分析にはフィルムが使用されていました。

VTRも誕生直ぐには対応は難しく、機能が改善され、倍速やスロー再生といった特殊な再生方法を可能にする半導体メモリの導入によって実現のものとなったのです。

1971 (昭和46)年、世界初のビデオ・シートレコーダー (白黒動画像磁気記録再生機) 及び、カラー・デモンストレーター (カラー・スチール画再生機) が、ソニービル及びニューヨークのソニー・ショールームに展示されました。
ソニー創業者の一人・盛田昭夫は

商品説明用または工業用、学術用に利用できる新しい記録媒体を提供できることになった

と発表。

VTRがまだノーマル再生しかできない時代に、円盤状の磁気シートをレコードのように回転させ、磁気ヘッドを放射線状に移動しながら記録。

再生時にヘッドを記録時と同じ速度で移動するとノーマル再生を、ヘッドを減速し移動するとスロー再生しヘッドを止めればストップ再生。

つまり静止画を観ることが可能となったのです。

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また、ヘッドを記録時と逆に移動すればリバース再生もたやすくできることから、ビデオ・シートレコーダー (白黒動画像磁気記録再生機)は、フィルムに代わり磁気シート記録の特徴を活かした「高速動作分析装置」として使用され、スポーツや工業マシンの動作分析に活躍され、スポーツクリニックなどでの新しい事業なども誕生しました。

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磁気シートを用いたシステムや応用商品はその後増え続け、パーソナル・コンピューターに使用されていた「フロッピーディスク」などは代表的な商品となり、1980 (昭和55)年にソニーが発表した3.5㌅フロッピーディスクは世界のスタンダードになりました。

文:黒川 (FieldArchive)


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