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「ソニー技術の秘密」にまつわる話

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ここでは、ソニー株式会社の研究技術開発の要を果たし、「ソニー創成期の基礎技術」を確立させた 木原信敏 (きはら のぶとし) の著書『ソニー技術の秘密』に記された研究開発の歴史を振…
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ソニー創成期の基礎技術を確立した、伝説の技術者が残した名著 〜 『ソニー技術の秘密』 にまつわる話を

■ ソニー創成期の基礎技術を確立した、伝説の技術者1946年 (昭和21)年に井深大、盛田昭夫により創設され、現在では世界的な大企業としてその名を世界に轟かせている ソニー株式会社(Sony Corporation) その創業期より数々の「世界初」「日本初」の製品を誕生させ、ソニー創成期の基礎技術を確立した、伝説の技術者がかつて存在していました。 1950 (昭和25) 年に発売された、国産初のテープレコーダー『G型テープコーダー』。 1955 (昭和30)年に、ト

世界初! NHKによる立体放送番組スタート 〜 全国一斉二元立体(ステレオ)ラジオ試験放送

『ソニー技術の秘密』にまつわる話 (23) NHKが1952(昭和27)年に放送した世界初全国一斉の『二元立体 (ステレオ) ラジオ試験放送』は、同年12月4日〜6日の深夜12時35分から、NHKの第1、第2放送の2つのチャンネルを使用した放送を、同時に聴くことで立体 (ステレオ) 録音を体験するというもので、「ステレオ音響」が一般に浸透するきっかけとなった放送でした。 この放送に使用されたのが、アメリカ視察旅行中だったソニー創業者の一人井深大から依頼され、東通工 (現ソ

社運を懸けた一大事業! ソニー創業者の一人、井深大のアメリカ土産 〜『トランジスタ』

『ソニー技術の秘密』にまつわる話 (28) ソニー創業者の一人・井深大 が1952 (昭和27) 年3月の初のアメリカ視察旅行から持ち帰った「ステレオ音響」の他に、もうひとつアメリカ土産がありました。それが、真空管に変わり様々な分野で今も使用されている電子部品『トランジスタ (Transistor)』でした。 『トランジスタ』は1948 (昭和23) 年にアメリカの通信研究所「ベル研究所 (Bell Laboratories)」の研究者、ウィリアム・ショックレー(Will

世界初のトランジスタから全て一貫生産を実現!井深大の願いを叶えた日本初のトランジスタラジオ「TR-55」

「ソニー技術の秘密」にまつわる話 (31) 1955 (昭和30)年1月、 東京通信工業 (現 ソニー、以下 東通工) 創業者・井深大がトランジスタラジオの開発を宣言した「1952年」にちなんだ型番を持ち、また「国連ビル」の愛称で呼ばれた、東通工初のトランジスタラジオ『TR-52』が完成します。 ジャンクション型のトランジスタ五石使用、スーパーヘテロダイン式受信機で、四角いプラスチックの筐体に四角の穴が多数開いているもので、それが国連ビルのように見えるため 「国連ビル」と