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ポケモン詐欺師必見!嘘の構築を売りつけるメソッド大公開!!【壺構築品評会】

はじめに

 こちらの企画で準優勝しました。しかも1位と1点差。想定より気に入られてビビってます。
 主催が使って発狂していたように強くはないですし、シャリタツで破壊光線を撃ってヘイラッシャの中に隠れるというアイデアも私が初めてではないでしょう(ポケモンwikiには書いてある)。
 にもかかわらず、9回も品評を続けて目を肥やした職人たちを欺いたわけです。

 今回で私は2度目の2位入賞(どちらも1点差)。7回出品して1位1回、2位2回、3位1回、特別賞2回(重複込み)で、賞をもらえなかったのは2回だけになります。
 この中には私自身「なんで入賞できたの???」という回が複数あります。アイデアが圧倒的に強い職人というのはいますが、私はその類ではないと自認しており、これまで勝因の分析を続けてきました。

 今回の品評会では、「構築画像」「セールス文」の2点で私なりの結論を見出すことができました。この記事では特別に、そのノウハウを限定割引価格で皆さんに伝授したいと思います。


1.構築画像編


適当でいいです。
どうせ誰もちゃんと見てないので。

 真面目に解説すると、構築画像が与える印象は「アイデア」という加点要素と「取り巻き」という減点要素に分解できます。それぞれ詳しく見ていきましょう。


・アイデア

 端的に言えば「どれだけ面白いことができるか」です。どこかで見たことがある動きだと評価が下がりがちです。何事も初見が一番面白いですから。
 ただし、「奇抜」であることは必要条件ではないようです。

 例えば今回私が出品した壺の「壺らしい」要素は、破壊光線を撃ってラッシャの中で反動をやり過ごすという点だけです。実際同じことを考えていた職人を観測しました。
 今回だと「不眠+化学変化」や「なまけロック」の方が、よほど珍しいことをしているでしょう。それらに優っていたのは「それなりに強そうに見える」という一点のみです。

 すなわち、「奇抜さ」と「(見た目上の)強さ」のバランスを取りつつ、ある程度勝てそうな取り巻きとセールス文を考えれば、多少壺要素が弱くても問題ないのです。


 「それができれば苦労しねえよ!」という声が聞こえてきそうですね。ここで一つ、「バランスを取る」ためにおすすめのテクニックを紹介します。

 それはSラインを整えることです。今回の私の壺では、準速スカーフシャリタツのS実数値201と、最速サンダースのS実数値200を並べました。こうすると動きが綺麗に見えるのです。
 綺麗さと強さは別物だと思われるかもしれません。しかし私が述べたのは「見た目上の」強さです。交換技でシャリタツを収納するだけなら、ケモナーしか使い手がいないサンダースではなく、もう少し遅くても成立します。強さを追い求めるならマスカーニャが最適でしょう。
 それでも私はサンダースを選びました。Sが1違いで、シャリタツの直後に確実に行動できるというのは、それだけで説得力が生まれます。多少弱くてもサンダースを選んだ理由が分かりやすく、他の選択肢が無いように見せかけることができるのです。そして動きが綺麗で説得力があると、人間はなんとなく強そうな構築だと思ってしまうわけです。


・取り巻き

 構築の補完枠に当たる部分で、ここが加点要素になることはごくごく稀です。第6回優勝「笑う門には富豪きたる」のように、説得力のあるギミックをもう一つ用意できた場合くらいでしょう。
 これを無理に狙いに行くと、環境トップメタへの対策が薄くなってしまいます。すると先ほどの「奇抜さ」と「強さ」のバランスが取りづらくなり、減点につながるわけです。そのため、取り巻きで点を稼ごうとはせず、減点を避ける方向で考えるべきでしょう。

 しかしこれはそんな厳密にやらなくていいです。

 例えば素早さ。シャリタツやサンダースのように最速・準速が当たり前なポケモンならともかく、それ以外の素早さは画像からは読み取れません。
 今回私が出品した中で、ベラカスは鉄球持ちなのに最遅ではありません。非トリルで動かす想定だったのを直前に覆したからですが、「どうせバレへんしええか」と思ってそのまま持ち物だけ変えて提出しました。主催が配信で使って苦しんでました。

冷静ですらない

 あるいはテラスタイプも、アイデア部分で切ることが確定しているなら他はあまり問われないです。今回私が出品した壺では、ヘイラッシャにテラスを切ることなんてないだろと思ったので、過去に使ったテラスをそのままで提出しました。主催が配信で使って苦しんでました。ざまあ見ろ。

 こういう細かい要素は見逃されることが多い一方、取り巻き部分とアイデア部分との齟齬が生じている場合は大幅に減点を食らいます。
 例えば積み構築なのにヘイラッシャ対策が無かったり、味方殴りギミックなのに追加効果をケアしていなかったり、そういったところには気を配った方がいいです。


2.セールス文編

 前提として、上位を狙うなら文章はちゃんと書いた方がいいです。しっかり構築のアピールポイントを盛り込み、読みやすい文を書けということですね。
 ただ、「キモいポケモンとキモい文章を世に開示したい」という欲望が存在することも理解できます。私自身、入賞を逃した2回はいずれも怪文書でした。これはふざけると順位が下がることの裏付けともいえます。

 そのため以下で解説するのはあくまで「上位を目指したい」もしくは「インパクトの弱さを誤魔化したい」という人向けであることを念頭にお読みください。

 ではここから、セールス文を書く際の鉄則を3つご紹介します。


鉄則1 ですます調で書け!

 とかいいつつタイトル自体がですます調じゃないですね。

 現実の壺売り、というかマルチ商法の世界は、商品を売りつけるのが上手い人と下手な人で二分されるそうです。そして下手な人に共通しているのは「商品の良さだけを押し付けるように語る」ことだといいます。

 品評会のセールス文、すなわち文字媒体において、マルチ商法の「押し付け」に該当するのは常体と「!」の多用です。品評会でウケたいなら、落ち着いた丁寧な文体を用いるべきです。理由を以下に3つ挙げましょう。


 第一に、メガネキャラがバカやってた方が面白いからです。
 ひょうきん者がおどけても「またやってるなあ」としかなりませんが、真面目そうなやつが変なことをすると、それだけで面白さにボーナスがかかるのです。壺構築品評会では提出者を隠して展示されるため、真面目を装うのは容易です。これを使わない手はないでしょう。


 第二に、筆者と読者のテンション感が合わないからです。
 イメージが先行しがちなマルチ商法ですが、実際の取引を見たことがある人はどれほどいるでしょう。多くの人が抱く「ハイテンションで怪しい商品を売る」というイメージの源泉は、マルチというよりテレビショッピングではないでしょうか。あれは映像を通して商品力を実演することで、受け手に「すごい!」というリアクションをさせるからこそ成り立つ手法です。これに近いものとして、料理教室を開いてフライパンを売りつけるねずみ講に出くわしたことがあります。
 しかし壺構築品評会で実演はできません。どちらかというと、昔の友達に喫茶店で開運のネックレスを売りつけるスタイルです。「デート商法」と聞いて外郎売を思い浮かべる人はいないでしょう。
 一方的にテンションをぶち上げてしまうと、相手はついていけず白けてしまいます。これが文字媒体だと、目が滑って印象に残りづらくなるのです。


 第三に、初対面でタメ口をきく奴は信用できないからです。
 例えばこの記事の冒頭。「勝因の分析」だとか「私なりの結論」だとか、「なんか堅苦しいな」と思われたことでしょう。ではこれが

 「準優勝やったー!!!どうやったか知りたい?教えてやるぜ!!」

から始まった場合。読み進めるかは別として、最初から「流し見でいいか」となりませんか。
 これが匿名展示の品評会ならなおさらです。人間はどうしても、いきなり馴れ馴れしく肩を組んでくる奴を警戒してしまいます。対人関係ならそれを解く時間があるかもしれませんが、280字の制限下では損でしかありません。



鉄則2 語りつくすな!

 せっかく作った構築、できるなら詰め込んだ要素を全部説明したいものです。しかし280字という制限がかけられている以上、要素の取捨選択が必要になります。
 このとき最も重要な観点は、「ほのめかす方が面白い」ということです。全部文章に書いてあるなら、読者は画像を見て確認するだけです。しかし軽いネタバレから画像を見返し自力で要素を見つけ出した時、読者は初見の反応ができます。何事も初見が一番面白いものです。

 しかし当然ながら気づいてもらえない場合もあります。どの情報を明言し、どの情報をほのめかすかの塩梅が文章の評価につながるのです。

 最優先はもちろん、先述したアイデア部分の説明です。なぜそのポケモンを選んだのかを、立ち回りの説明と共に提示します。しかし「なぜそのポケモンを?」の部分はある程度省略できます。例えば「○○と××を両立するのはこのポケモンだけ」というのは、調べれば分かるので読者に調べさせましょう。「一番強い地震使いは霊獣ランドロス」といった情報も、共通認識なため言及の必要はありません。
 一方、アイデア部分で必須なのが素早さ調整です。前章で述べた通り、構築画像からは読み取れない情報である上に、構築の綺麗さ、ひいては見た目上の強さに直結する要素だからです。
 同様に読み取れない要素として、相手の選出・行動の誘導などの理由もしっかり記載した方がいいでしょう。

 これに対し取り巻き部分はできるだけ情報を削った方がいいです。なぜなら情報の濃淡をつけられるからです。壺構築で一番見てほしいのは当然アイデア部分であり、極端な話その他の要素はどうでもいいわけです。どうでもいい部分の説明にメインと同程度の字数を割いてしまうと、最も伝えたい内容がぼやけてしまいます。字数が余ったとしても「○○対策の××」「詰め筋の△△」などは一言で済ませてしまうのがいいです。



鉄則3 フックを使え!

 「フック」とは作文用語で読み手を惹きつける書き出しを意味します。すでに使っている職人も多いですね。この記事でもフックを意識しています。
 作文でよくあるのが「セリフから入る」こと。一行読んだだけでは内容を掴めないため、答え合わせをするような感覚で先へ先へ読ませることができます。

 私は作文の専門家ではないため正確な類型は省きますが、品評会においては避けるべきフックがあります。それは「○○したいですよね?」のように感情に問いかける表現です。共感を得られるとは限らず、「そんなことないけど…」という否定的な印象を与えてしまうおそれがあるからです。
 よって問いかけをするなら、マイナスイメージを与えないよう感情ではなく事実をベースにするべきです。

かの有名な鉄砲三段撃ち、たった一発の銃弾では敵兵の息の根を止められないと思いませんか?織田軍はあらかじめ長篠を火の海にしておくべきだったのです。

第7回壺構築品評会

 これは第7回優勝「長篠に火を放て」のフックです。「一発では殺せないでしょ?」という否定しづらい事実で「まあ、そうかもね」という印象を与え、その直後にバカな解決策を提示しています。そして同時に「鉄砲三段撃ち」というワードから、和澤ざわさんの有名な構築をほのめかしています。

 このほかにも「本来は○○できないけど実は~」「こういう仕様があるけど知ってた?」といった表現も事実ベースのフックとして有効でしょう。

 もう一つおすすめのフックは「言い切り」です。

テラス破壊光線を撃ちます。

第9回壺構築品評会

 これは今回の私の壺のフックです。「誰で」「どうやって」を省き、やりたいことをできるだけ短く、「やりたい」という感情すら省いて提示しました。初見で「バカなことやってんな」と思わせられたら勝ちです。
 +10を求めるのではなく-1にならないように、できれば+0.5になるような書き出しを目指しましょう。



おわりに

 いかがでしたか?この記事を読んで「なるほど」と思ったそこのあなた、旧友からの連絡には注意した方がいいですよ。

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