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避妊法で勘違いしていること~女性だけでなく男性にも関わること!~

皆さんこんにちは

産婦人科医の内田美穂です。

皆さんの疑問に思っていることにお答えしていきながら、産婦人科を身近に感じていただくことでかかりつけの婦人科を探す際のご参考にお役に立てればと思っています。

今回は、「避妊法で勘違いしていること」についてお話したいと思います。

医師として20年以上勤務し、1万人を超える中絶の患者さんを診察してきました。
 
その中でよく耳にします。

「避妊をしてたのに…」
「アフターピルを飲んでいたのに…」

「どのような避妊をしたのですか?」と聞くと

「腟のなかには出していません」

「コンドームを使ってたんですけど、、、相手に任せてたので、、、どうだったかはわかりません」など

男性主導型の避妊法であった場合に妊娠するケースが多いように感じます。


 



アフターピルの避妊効果


 アフターピルは、避妊効果は低用量ピルほど高くありません。

ネットに間違った情報が出ていることもあります。

日本で販売されているアフターピルの避妊効果は8〜9割程度です。

アフターピルはあくまで避妊に失敗したときに、他に方法がないから仕方なく内服するもので、日常的に使用する避妊法ではありません。

アフターピルを何度も利用していると、いつか妊娠する可能性が高くなります。

▼アフターピルについてはこちらの記事で詳しくお話ししています!


予想外の妊娠がわかったとき


 
予想外の妊娠がわかったときにどんなことが起こるか考えたことはありますか?
 
どんな選択肢であれ、双方の納得・合意があればトラブルになるケースは少ないのですが、意見が食い違ったときにトラブルに発展することがあります。
 
例えば、女性は出産を考えていたのに相手にはそのつもりがなかった。

その反対の場合もあり、出産を男性から強要されたというケースもあります。
 
まず、間違いなく言えることは、身体的にも精神的にも一番負担が大きいのは女性です。
 
経済的な話をすると、もし中絶を選択した場合、男性が支払ってくれる場合もありますが、妊娠したことを告げたら連絡が取れなくなってしまうケースもあります。
 
男性においては、中絶費用以外に慰謝料を請求されたりするケースもあります。
 
誰しもがこのようなトラブルには巻き込まれたくないというのが本音だと思います。
 
ぜひこの機会に女性だけでなく、男性にも避妊について考えていただき、子供が欲しいときに計画的に妊娠できるよう普段の避妊法について知っていただけたらと思います。
 
 

日本で使用されている3つの避妊法


 
ここからは、日本で使用されている3つの避妊法について具体的に説明します。


①コンドーム


日本で一番多く用いられている避妊法ですが、

コンドームを使用していても破れてしまう、はずれてしまう、コンドームの外に精液が漏れ出てしまうなどが生じることもあり、

コンドームを使用していても妊娠する人は2~18%といわれています。
 
また日本では腟外射精による避妊を行っている人が16%と報告されており、コンドームも腟外射精も男性主導型の避妊法で妊娠することが多いため、他の避妊法の併用をお勧めします。
(※腟外射精は誤った避妊方法です。避妊法とは考えないでください)
 
コンドームは性病の予防としてはとても効果的であるため、他の避妊法とあわせて上手に利用することが大切です。

② IUS(子宮内避妊システム:ミレーナ)


子宮内に留置する避妊具です。

この避妊具からは持続的に避妊効果のある黄体ホルモンが放出されます。

WHOが「世界で最も安全で確実な避妊法」と称しています。

99.8%の避妊効果があります。

子宮内への挿入や抜去に際しては医療機関で行う必要があります。
 

③ 低用量ピル


米国では1960年に発売された経口避妊薬ですが、日本では40年遅れて1999年に承認・発売されました。

これが日本で、一般的に自費で販売されているピルになります。

その後、2008年に生理痛の治療目的で保険適応のピルが承認・発売されました。

保険のピルは、生理痛だけに効果があるわけではなく、実は海外では避妊薬として販売されているものもあり、避妊効果は自費のピルと何ら変わりありません。
 
ピルの効果は卵巣を休止状態にして排卵を抑制したり、子宮にも作用し、高い避妊効果を発揮します。

日本で実施された臨床試験成績では妊娠率0.29%、

つまり、避妊効果99.7~8%という良好な結果が得られました。
 
 

 避妊方法を選択するときに知っておいて欲しいこと


 
最後に、世の中に100%の避妊法は存在しませんが、100%に近い避妊効果を期待するのであれば、腟外射精、コンドーム、アフターピルより低用量ピル、ミレーナになります。
 
そして、今すぐ性交渉をするパートナーがいなかったとしても、いつその様なタイミングが訪れるかわかりません。

また、ミレーナや低用量ピルには避妊以外にもさまざまな効能が期待できます。

それぞれの特徴を理解して、今の日常生活や将来のために役立てて頂けたらと思います。


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