自費出版備忘録(その2)

6月8日(土)
昨日、小学館の担当編集者に、「僕の本で絶版になっていない本を教えてください、自分で出そうと思っているので」とメールしたら、すぐに教えてくれて、
「最近の流れを汲んでいらっしゃいますね。力及ばず申し訳ありません」と添えられてあった。
出版社も「流れ」が判っているのだ。いい悪いの話ではない。おかげでずいぶん気が楽になった。それまでは「いくら絶版になったとはいえ、お世話になった出版社に歯向かうような真似をしていいのだろうか」という、おさむらいさんのような忠義心があったのだ。おさむだけに。

しかし、なんにも判らない。自分の気持ちも固まったわけではない。
ただ自分で本を作るならデジタルな道具を使わなければならないということくらいは判る。原稿もデジタルでなければいけない。
ところが探してみると、自分のところに自作のデジタル原稿がない作品がずいぶんある。本になったんだから自分のところに残しておく必要はない、と思っていたこともあるようだ。
小学館に再度メールして、校了した原稿のデータを貰うわけにはいかないかと問い合わせたところ、法務部の回答が添えられていて、実費を貰う必要があるが、著者からお金を取るのは申し訳ない、と書いてあった。
「実費」がいくらかは書いてなかった。おそらく十万単位じゃないかと思う。大企業だから。根拠のない憶測だけど。

それだったら自分の本をすっかり書き起こしながら書き直して、「定本」を作るのもいいんじゃないか、しち面倒臭いけど、と思ってツイートすると、仲俣さんから「この世にはOCRというものがある」と返答が来た。
OCR判らない。検索すると、本をスキャンするとPDFにしてくれる装置のようだ。
PDFなら知っている。ふだん送られてきたゲラを直すのに使っている。そう思ってゲラ直しに使っているソフトを見たら、「Adobe Acrobat」と書いてある。開くと「スキャン」というスイッチ(というか知らないが、とにかくクリックができるところ)がある。
じゃスキャナーをこのPCにくっつければOCRができるのか。ちょっとワクワクしてヤマダ電機に行こうとすると、妻が「スキャナーならもうある」と、自分のスキャナーを貸してくれそうな気配。妻は「初期投資は安く!」とも言った。お説ごもっともだが自分専用の新品も欲しいなーと思って、結局ヤマダ電機に行った。だいたい3~4万円くらいで、別段おしゃれなデザインのものもない。
考えてみれば、数日かけてウワーッと自著を数冊スキャンしてしまえばスキャナーはもういらなくなる。買うのはもうちょっと後でもいいと考え直した。
買わなければいけないものはほかにある。「Adobe Inprint」というソフトだ。これはなぜかリースみたいになっていて、月額いくらで使えるらしい。月々八千円くらい。やや躊躇する。使う時だけ使って、あとやめちゃえばいい。ということは借り始めの時期が大切になるんじゃないか。
まずは妻からスキャナーを借りて使ってみるところから始めよう。しかしそれは、今日ではない。

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