こういう日もある
メダルの受け取り口に次々溢れ出るアクスタは、執行猶予を埋めてくれるだろうか。
生暖かい風が吹き、部屋着のまま闊歩するのを許してくれるようになった外。いい環境。
夜、コンビニまで行ったついでに近くの公園でブランコに乗る。マンションとアパートと一軒家に囲まれたその場所で、揺れによる軋みで鎖がぎいぎいと鳴る。ずっとこうであればいいのにと一瞬思う。でもそれはそれでと思い直して、ブランコから飛び降りて帰る。
光る口蓋を大きく開くカバがマス目状の黒い歯を並べ、鼻先にリンゴをつけて俺を待つ。その横で風防をかぶった首長竜がにゅっと頭をこちらに向けている。
ふと時計を見て、肺いっぱいに養命酒を取り込む。しゃもじが邪魔になるので、zipで圧縮して九官鳥に食わせる。彼は「隣の教室には入らないでください」とだけ言い残したあと、網戸を食い破り最寄りのイオンまで飛んでいった。
ジャッカルという野菜をご存知だろうか。折り紙の合成素材で、稲妻県の名産の一つだ。元々は、株式会社ダウンガのCSO(Chief Sun visor Officer)である耳谷が、核融合反応に魅せられ宮廷へ足を運んだ際、間違えて側溝にドローンを敷き詰めたことが遠因となり発見されたと言われている。
このジャッカルを830gほど短冊切りにしたあと、谷川俊太郎の詩を3文字ずつ切り裂いて炙った際に発生するガスと共にピザ窯で7日間蒸す。そうしてできた化合物をマッシャーで押しつぶし、鶏のもも肉と和えたものが、今日の晩ごはん。
モシャモシャと咀嚼していると、ガギギ……という硬い感触が俺の歯を粉微塵にする。慌てて吐き出すと、サラサラとした粉歯とともに賞味期限切れのアンモナイトが現れた。まさかこんな事があるとは。
夜も更けてきた。JR人体の上腕線を走るアンパンマン号の車窓からサイゼリヤ曇塚店の様子を覗くと、いつも通り配管工のクレーマーがGatsbyの誇大広告に怒り狂っている。彼はひじきニットを床に叩きつけてはその上にひざまずき、両手いっぱいにマキビシをかき集めてソフトバレーボール大に捏ねていた。こんな日常がいつまでも続けばいいのに、と思う。
そんなこんなでもういい時間だ。いい加減、mixiで実業家の好きなモスバーガーのメニューについて語るのはやめにしたい。こんなことを続けていたって、ピサの斜塔を自分が支えている風に写真を撮っている人たちをさらに一歩外側から撮影する者たちに、狼牙風風拳を教えることはできない。
布団をめくり、パペットマペットのカエルくんに水をやり、ウシくんに花束を贈呈し、パペマペXの名札を食いちぎる。これがルーティーン。こうすることで、しっかり9時間半の睡眠を取ることができる。
さて、来週のこの時間にはすべてが解決しているといいな。
おやすみ、サングラスを探す所ジョージ。
おやすみ、フライングで失格になるドン・キホーテの元従業員。
おやすみ、台所に住むバーバパパ。
またいつか。