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夏、なつ、ナツ。

   2日ぶりの更新です、こんにちは。またはこんばんは。嶺薬です。
   17歳の誕生日を迎えてから早2日。内側の人の方はいろいろとあったみたいです。今回はそっちについてちょっと掘り下げていこうかなと思います。

   7/4 17歳1日目
1年生のときからずっとお世話になっている、私がとても信頼している大切な方とお話をしました。
部活を途中で抜けることになり穴を開けることになってしまい本当に申し訳なかったけれど、彼女から顧問の先生に話を事前に通しておいてくださったみたいです。顧問の「後は任せて行きなさい」の一言に心置きなく行くことができました。

彼女を職員室まで呼びにいき、出てきた彼女と共に歩く廊下は夏のはずなのに暗くて涼しかったのを憶えてます。

  「待ってたよ嶺葉さん、部活お疲れさん。さて、何を話そうか」私たちの会話のスタートの合図はそれでした。
 「話したいことがある」と言った私の言葉を憶えていてくれてわざわざそのために時間をとってくれた彼女にはとても感謝してる、してもしきれないくらいです。

 「あのね、」
そう言いかけて怖くなった。本当に自分の「正体」を明かしていいのか。とても不安でした。
 「私…私ね、小説描いてるの」
言ってしまってすぐ後悔した。取り消すことのできない言の葉。
人と違うこと、それ即ち創作、をしてることに罪悪感を抱いている、そのときちゃんと殺したはずの、3年前の自分を今に見つけてしまった。
心で恐がる私とは裏腹に彼女の反応はとても意外なものでした。はっ、と口に手を当て何かに納得したようにそうだったのね、と繰り返していました。

 「それで、ね。」
原案のこと、「白月額葉』として生きる私のこと。ちゃんと話そうと思った。話したい、この人に。と思った。
私の考えた原案がすべての恋が終わるとしても、っていうシリーズの単行本に1話として収録されたんだ。
そう、伝えました。ペンネームはまだ明かさずに。途中の省いた説明を交えながらもう一度ちゃんと、詳しく説明しました。
「本に載ったの?貴女の作品が?それってものすごいことじゃん!」
この言葉が原案収録の件を話した時の第一声がそれでした。ほっとした、同時に泣きそうになった。
「その道のスペシャリストの方から連絡頂いたのでしょ?そしてプロの方に認めてもらえた、それってものすごい名誉なことだと思うよ」

   誰よりも私のことを喜んでくれた彼女、これから先、もっといい報告ができるように嶺葉は頑張り続けないといけない。とこの間思いました。
部屋の時計の針の位置、差し込む斜陽。窓によって四角に切り取られた、見上げたあおぞらの青が去年の今よりもずっとずっと碧く濃く見えたこと。その開いた窓から通りすがる風の匂い。すべてが鮮明に刻み込まれた間でした。
   明日、実際の現物を持っていくことを約束し、その話はおしまい。
その後は経つ時も忘れて話し込みました。

   最近は落ちることはなくなったよ。うまくいってるよ。
私ね、学園祭の代表になっちゃったんだよね。すごく難しい、どうしよう。けどとにかくわたしなりにやり切ってみるよ。
最近はメンバーとも後輩ともうまくやれてるよ。もちろん、拗れることはあるよ。けど、大丈夫になれてる。
7月末に東京で行われる世界大会があるんだ、見てくるねステージで、世界を。そのあとは冬にミュージカルをやるから見にきてほしいな。10年に1度、やる演目があるんだ。その年が来年25年の記念の年なんだ。わたしたち合唱団の誇りであり伝統なんだ。ぜひ聴きにきてほしいな。
  合唱のこと、学校、もとい教室で過ごす日々のこと、青すぎる匂いを纏うコートでのこと。
こんなようなことを話したような気がします。

   彼女は静かに、時折相槌を打ったり、目を輝かせたりしながらわたしの話を聴いていました。
高1の時。初めて彼女と会って話した、あの秋の日からずっと言われ続けてきたこと。今回もちゃんと言われました。まっすぐ私の瞳を見据えて、わたし眼だけをみつめて。

   わたしがわたし自身を生きるためにわたし自身のことをもっと知らなければならないということ。
言い換え、「貴女はあなたのことを知らなさすぎる。もっと自分を知って自分のことを大切にしなさい」と。

   先日17歳を迎えたことも、お話ししました。16歳じゃなくて17歳なんだよね、っていう私がわたしだけだと思う感覚を共有したら、心の深いとこでカチリと何かが嵌る音がした。
「そう、そうなのよね」そういって破顔した。嬉しそうに。よかった、わたしだけじゃなかった。
「そっか、貴女も17年も生きたのか。そうか」そう呟き言葉を噛み締めた、降りる沈黙が不思議と心地よかったです。
 「17歳ってすごくいいよね。16歳とも18歳とも全然違う、17歳は特別なんだよ。今しかできない青春を思いっきり愉しみなさい。それが今の貴女にできることだからね。
去年からずっと貴女をみてきてるけどほんとうに。嶺葉さん、貴女、本当に成長したね。
よく笑うようになった。眼の色が柔らかくなった、落ち着いてる。表情が軟らかくなった、いきいきしてる。今の貴方の顔は見ていて安心できる。
私、あなたがそんな顔して笑うなんて知らなかったわよ。いい顔になってきたね。
よく、ここまで17年、生きたね。ありがとう」

   そう言われてふと、思い出した。確かに去年は酷かった。
  周りに素直になれなくて、かけられた想いや言葉を素直に受けとることができなかった。受け取る資格がないと思っていたから。
   うまく眠れなくて泣くだけの夜。夏休み、不定期に過眠と不眠を繰り返した。起き上がることさえも難しいときも、なかったわけではない。どうしようもなく辛くなって学校を休んだ10月。絶対に行かなきゃいけない合唱団の行事を衝動のままに飛んで穴を開けたこともある。深夜に父と争って声を荒げて揉み合った12月。そのときに振り翳し、逆につけられた傷痕はもう跡形もなく治っているのに。ほんとうに、すべてに絶望して書籍の発売日を控えているのにその日よりも先に死んでしまいたい。冬の夜に溶けたいと願ってしまった1月。

   でも今、その逃げ癖と死にたくなるほど忌まわしい記憶たちは周りの人の言葉と長い時間を経て、だんだんと溶かされつつある。治りつつある。
まだその「傷」たちが完全に癒えたわけではないし、事実遺ってしまってる傷があるわけではあるけど、徐々に前を向いて生きることができてる。うまくないけど上を向きながら歩けている。そんな気がする。

長くなりましたね、ここに書き記した以上のことが、7/4に起こった、話したすべての。それを通して私が感じたことです。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
また更新しますね。それでは。

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