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完璧でいないでよ

なんだかんだもう28歳になって、本格的におっさんになった。
昨日まではぎりぎり若者を名乗れた気がしていたけどもう本格的に無理で、
10年前はこの歳になる時にはもっと自立して、立派な大人になってんだろうなあと思って疑わなかったけど。
年齢を重ねるだけでレベルアップすることはとうとうなくて、次の街にも次のボスにも挑まないまま、あのころとてんで変わらない精神性を抱えて生活をしている。
未熟な精神性を、無理やり年齢って型枠からはみ出ないよう慎重に、注意深く張り詰めている。

12月に転職をするんだ。転職するっつっても似たようなところの似たような病院だから、通勤に原付を使わなきゃいけない以外大きな違いはないんだけど。
特にネガティブなやり取りもないし、単に収入上がって休日が増えるから転職をするってだけなんだけど、
今の職場の人たちは本当にいい人ばかりだったから、少し寂しいなあ。

いろいろなことが重なったり、何かにエネルギーを使うと一気に気持ちは持っていかれる。
エネルギーの総量が少なくて、すこしのことですぐにガス欠になったり、死にたくなる。
ここ最近も、ずっと希死念慮がまとわりついて離れなかった。なんでこんなできそこないに生まれてしまったのかなあ、なんて。
苦しすぎて寝付けないし、目を閉じ続けることなんてドラゴンフラッグを3セットやるよりきつくて。
だからのそのそと布団から出たら、冷蔵庫を漁って酒を飲んで、次の日の自分に謝りながら、体調を悪くして、一瞬だけ露を払う。
コスパの悪い。なんてコスパが悪い生き方なんだろうなあ。

今日タトゥー入れに行ってさ。今日になったのはたまたまなんだけど。
クラゲが死ぬほど好きで、自分の体にお迎えしたそいつをみてたら、なんかわけわかんないくらい泣けてきて。
こんなことでしか生きる糧を、生きるぞって頑張る気持ちを得られないことへの悲しさとか、
まだ生きていける、大丈夫だよってきもちとか、
単純に綺麗だからとか。

クラゲが好きなのはさ、あの暗い館内でぼーっとクラゲ眺めてんのほんとよくて。何時間でもいれるくらいで。
結構、元気あるときは一人でも水族館行って2時間くらいずっとクラゲながめて、帰りに1軒目酒場寄って帰るみたいなこともしてるんだけど。
自由、って意味があるらしい。クラゲには。
いつか俺をがんじがらめにしてる色々なものが全部壊れて消えてくれたらいいのになぁ。

俺にいつだったか、「完璧じゃなくていいよ、じゃなくて。完璧でいないで、完璧にならないで。やめてよ。」そう、言ってくれた人がいた。
どんな状況でそう言われたのかさえもう忘れてしまったけど、その言葉だけはぐるぐると自分の中でさまよいつづけてる。

俺たちはいっつも完璧でいようとする。なれないのに、できないくせに。
スーパーマンみたいに堂々とした理想の自分を妄想しながら、ベッドで目を閉じ続けることもできずに浅い呼吸としびれる頭に耐えてる。
誰かに嫌われることも、怒られることも嫌で。誰かに厭われることも。何もかももう嫌で。
自分一人で全てなんとかしたくて。他者に何かを任せることの不安に向き合うくらいなら、何よりも不安定な自分にすべてを預ける方が楽で。
楽で、そう思いながら、ぐらぐらと毎日生きて、時々みんなだめになって崩れてしまう。

完璧でいないでよ。
ぐらぐらとしながら、その言葉を飲み込めたらどれだけいいかなって、ぐらぐらとしながら今日も目を閉じれずにいる。

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