/重力と呼吸に出会うまで
さいたまスーパーアリーナ。僕にとって憧れでもあり、馴染み深くもある場所。
小6の冬に初めて買ったミスチルのCDがSENSEで、そのアルバムを冠したツアーのNOT FOUNDのライブ映像は何度見たかわからない。途中で抜かれる興奮した女性ファンの似顔絵を書けと言われれば、多分描ける。
中2。[(an imitation) blood orange]がリリースされ、ライブがあると思っていた日にチケットを持ってはいなかったが自転車でたまアリまで行こうと決めた。「今、桜井さんはたまアリでリハーサルをしているのかな。」授業は全く頭に入らず、上の空だった。放課後逸る気持ちを抑え向かった会場ひとけがなかった。ツアーは1日前に終わっていた。勘違いだった。
REFLECTION最終日は家で見た。カーテンを閉め切って、金魚の話を聞いていた。
重力と呼吸。夜釣りに行っていたのでyour songのMVは水辺で見た。使っているマイクが変わっているな、これはすごいアルバムになるなと思った。実際、すごかった。このバンドに勝つのは無理だなと思った。
ライブは4次抽選まであるので楽観視していた。全部落ちた。セトリを見てさらにやさぐれた。「いいさ、人生こんなもんさ。この曲をたまアリで聴けなかった悔しさをバネに生きていこう。」そう思ってやり過ごし、時間は過ぎた。ツイッターのTLで今週ミスチルだと浮かれていた人も完全に他人事だった。
2018年11月16日金曜日。アルバイトの休憩中、何かの当落メールが来ていた。椎名林檎もサカナクションもヨギーも当たっていたので心当たりのない当落メールだった。開いた。
佐藤 稜真 様
ticket boardをご利用いただき、ありがとうございます
抽選の結果、以下のチケットがご用意できました
手が震えた。行けるのか、明日、ミスチルのライブに。なんてこったい。
バイトも手につかず、スキップで家路についた。もはやこの世で無敵だった。
意外とぐっすり眠れた夜だった。
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