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ブルーブック殺人事件の真相とビーストⅦの正体
なんでもありの魔術世界において、ハウダニット(どんな方法でやったか)やフーダニット(誰がやったか)には意味がない。
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まともな捜査や推理では真相にたどり着けない
ゆえに推理を行う者は、必然的にホワイダニット(なぜやったか)を探っていくことになる。
これはブルーブックの殺害においても例外ではない。そこで今回は、このホワイダニットから"誰がブルーブックを殺害したのか?"についてを考察していきたいと思う。
ミステリー用語におけるホワイダニット、なぜブルーブックを殺害したのか?これは事件の犯行動機を意味する言葉である。
報復、怨恨、愛憎、防衛、保身、利害、金銭など、他者を殺めるのには様々な理由が存在するが、それらを大まかに分類するとこの二つになる。
それは"衝動的"または"計画的"かの二つだ。
ここでまずはブルーブックが殺害された経緯をおさらいしよう。
彼は白紙化した地球の経緯を求めて旅をしていた。そして、その末にエリア51と呼ばれる場所にたどり着いた。
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そこにあった地下施設の一室で体力の底が尽き、死を間近に控えた彼は"そこで待ち構えていた何者か"の手によって殺害されてしまう。
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最後の力を振り絞ってたどり着いた
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以上の事から、この犯行はブルーブックという一個人を狙っていたことが推察できる。
つまりブルーブックを殺害した犯人には、彼を殺すための明確な動機が存在した。同時にそれは衝動的なモノではなく、計画的に行われたモノだったということだ。
しかしブルーブックの物語に登場する人物は"被害者と加害者"の二つしか存在しない。にも関わらず被害者であるブルーブックからは怨恨などを示唆する要素は見当たらない。
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つまり交友関係などからブルーブックを殺害した犯人を推測することは困難なのである。
このことからも人物の特定、フーダニットから推理を行うことが不可能であると分かる。
ついでに言うと、犯行現場の異常性からもハウダニットで推理を行うことが難しいのが分かる。
常識と異なる空間に、常識をともなった推理は意味をなさないからだ。
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異常式
話を戻すが、ブルーブックを殺害する上で重要なことは動機の存在である。
動機を持つものがブルーブックを殺害した犯人である、というのが今回のミステリーにおける真相なのだ。
まず初めに考えられるのは秘密の隠匿である。ブルーブックの世界には侵略者が現れることを知った上で、それを看過した者の存在が示唆されている。
要するにブルーブックが秘密にたどり着くことを恐れた人物が、この事件の犯人であったという可能性だ。
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これが隠匿しなければならないほど重要な秘密?
この人物とは"人類を滅ぼした存在"か、
その協力者のどちらかだ。
それ以外の人間は、そもそもこの秘密の内容を知らない上に隠匿する理由もない。なら犯人は、このどちらかの存在であるということになる。
しかし、それが分かったところで、はたしてこの事件の真相を暴いたと言えるのだろうか?
動機と呼ぶにはあまりに弱く、そして説得力に欠ける。自分が一読者であれば、このような結末は到底納得できるモノではない。
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しかし、これ以外には要素が存在しない。
なら、これが真実だったのだろうか?
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それがどれだけありそうにないことでも、真実である
答えはノーである。
あのエリア51には、あとから追加された人物が存在する。
それは人理継続保障機関フィニス・カルデアの存在である。
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2017年、アメリカ合衆国ネバダ州エリア51
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そしてカルデアにはブルーブックを殺害する明確な動機が存在した。
あの場に存在したのは特異点の原因となる存在だ。そしてカルデアは特異点の原因を排除する存在だ。
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怪物そのものの姿をしている
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悪趣味な映画に登場する怪物のような存在
若モリアーティは特異点の原因を『生命体』と表現している。そこで実験を繰り返された存在だと。
ではエリア51にたどり着いたカルデアは、
特異点の原因をこの『樹の根』と下にある『怪物のような存在』、いったいどちらを生命体と認識するだろうか?
当然、それは後者だろう。
そしてカルデアには「世界を救うため、異聞帯に生きる無辜の生命を滅ぼした」という確かな実証がある。
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いつものように世界を滅ぼすがいい
動機があり、実証が存在する。
そうである以上、カルデアは自らにかけられた嫌疑を払拭することはできない。そして、それ以外の可能性は存在しない。
であれば、ブルーブックを殺害した人物。この物語における犯人とはカルデアに他ならないということになるのである。
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重要なのは、これが物語であるということだ。
物語において、何が真実かは重要ではない。
その物語を知った人間が、
どう辻褄を合わせ、どう解釈をするのかである。
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時を遡って創造される
人間には時間という概念が存在する。
だから過去にあったモノ、特に失われた歴史を正しく理解することはできない。
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前半の結論、
ブルーブックを殺害した犯人はカルデア。
しかし、そんな真相に何の意味があるのか?
カルデアがこの物語の犯人だとして、いったい何の不都合が存在するのか?異星の神の目的は?
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重要なのはトラオムのマスターは一人ではないこと。E pluribus unum(多数から成る一つ)であるということだ。
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そしてトラオムには途方も無い数のサーヴァントがいた
そしてエリア51にたどり着いたカルデアには、検体:Eとブルーブックのどちらが『宇宙人』なのかを判断できない。というより、どちらも宇宙人なのである。
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カルデアは検体:E(単体)とブルーブック(総体)。
この二つの存在を習合させてしまった。
被検体:Eというのは、
ブルーブック=検体:Eが習合した存在なのだ。
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習合した存在がスカサハ=スカディ
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この習合こそが異星の神の狙いであったと考えられる。
青本(人類)=検体:E(宇宙人)が被検体:Eだという前提で、これまでの物語を解釈してみよう。
被検体:Eには正しい動機が存在する。
被検体:Eはエリア51で殺された。
被検体:Eは助けを求めている。
そして、必ず次の検体がやってくる。
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青本は人類である。
人類の集合的無意識が呼びだす存在。
……それはアラヤの抑止力に他ならない。
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アラヤの抑止力は、人類に敵対するモノを滅ぼす存在である。
その原因を排除するため、抑止の守護者を送り込む存在だ。では、ここで前半の考察を思い出してほしい。はたしてブルーブック(人類)を殺害した犯人は誰だっただろうか?
それはカルデアである。
ならばアラヤの抑止力は、カルデアという存在を排除するための行動をとるということだ。
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人理の防人
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襲撃を受けた
英霊召喚が可能なのは、厳密にはマシュの盾だけではない。その他にも聖杯や土地、そして抑止力などが存在する。
しかしカルデアに直接、英霊を送り込めるような存在はアラヤの抑止力である可能性が高い。
そうであるなら、異星の神がこのトランクを狙ったのにも納得がいく。抑止力とカルデアが敵対していることになるのなら、このトランクを回収した時点で異星の神の勝利が確定していたからだ。
さすがダ・ヴィンチちゃんが命を懸けて守ったトランクだけはある。ナイスファインプレー。
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縁が記録されたトランク
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当然カルデア=人類の敵という前提が成立したあと
ビーストが『抑止の獣』、あるいは『英霊召喚の元になった、人類の自滅機構と安全装置』と呼ばれるのはこの為だろう。
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ビーストも元は抑止力の存在なのだ。
しかし今回の様に『人理を護る存在』を『人類の敵』と誤判定した場合、抑止の獣が顕現するのだろう。
今回の場合だと、
アラヤの抑止力は"原因"を排除する。
カルデアは人理を保証するための機関である。
アラヤはカルデアという機関の存在理由(原因)を排除するため、抑止の守護者を送り込む。
そしてこの場合、抑止の守護者の目的は人理の破壊となる。こうやって抑止の獣、ビーストが顕現するという寸法だ。
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