池田一慶率いる POSSEは左翼セクトか?



京大構内に残る京大政経研のビラ
POSSEは左翼セクト「京大政経研グループ」とその関東の組織「都立大グループ」の流れをくむ左翼セクトである。京大政経研グループとは、1980年代から「京都大学政治経済研究会」としてスタートし関西の他大学にも勢力を伸ばした左翼セクト。表向き正式なセクト名がなく、他の活動家やウォッチャーからは、京大以外での活動も含めて「京大政経研グループ」という通称で呼ばれていた。90年代までは京大の中核派との間に暴力事件もあったとされ、過激な側面も持つ団体と捉えられていた。

やがて京大政経研グループは関東にも進出し、当時の都立大学を拠点に活動しながら、共産党の青年組織である左翼セクト「民青」(民主青年同盟)などと対立した。こちらは同様に通称として「都立大グループ」と呼ばれた。POSSEは、このセクトの別働隊ではないかと言われている。現在、京大には後継サークルがあるものの、「京都大学政治経済研究会」の名称は用いていない。

Wikipediaやまとめサイトにあった、こうした情報の多くが、現在、削除されています。

■POSSEによる刑事告訴

昨年、ある事件が新聞で報道されました。
【産経ニュース 2015年07月16】「オルグされる前に逃げろ」 中傷メール大量に送った男を書類送検

ブラック企業など若者の労働問題に取り組むNPO法人「POSSE」が特定の政治団体と関係しているなどと事実と異なるメールを大学関係者に送ったとして、警視庁尾久署が名誉毀損(きそん)の疑いで、横浜市の30代の自称フリーデザイナーの男を書類送検していたことが16日、分かった。POSSEの今野晴貴代表理事が同日会見し、明らかにした。
(略)
同日、POSSEは自身のWebサイト上に声明文を発表しました。
特定非営利活動法人POSSE、今野晴貴及び本田由紀に対する名誉毀損事件に関する声明

(略)
その他に確認されているPOSSE、今野及び本田を誹謗中傷する書き込みについても、今後、適切な措置を講じていく予定です。
書類送検された男性だけではなく、ネット上で左翼セクトとPOSSEの関係に言及する全ての人々に対して、法的措置をほのめかして牽制する内容です。

本紙・藤倉は取材を進める中で、かつてPOSSEで活動していた元活動家たちに出会うことができました。何度も直接会って長時間話を聞かせてもらい、資料も提供してもらいました。

書類送検された男性にも会うことができました。本紙既報の通り、昨年のうちに不起訴(嫌疑不十分)が決定しています。男性が書類送検された際の容疑となった、東大関係者に送付したメールの文面も確認しましたが、元活動家の証言や内部資料と比較して大きな矛盾はありませんでした。むしろ、メールの内容を「事実と異なる」としていたPOSSEの主張のほうが事実と異なっているように見えました。

■名前がないセクト

本人を特定されることを防ぐため、ここでは複数の元活動家の証言を組み合わせ「Aさん」という1人の証言として紹介します。

数年前までPOSSEに関わっていたAさんは、「脱退してから時間も経っているので、現在も全く同じとは限らない」と前置きした上で、POSSEの背後関係をこう説明します。

「私はPOSSEにも所属していましたが、正確に言うと、POSSEの上部組織にあたる左翼セクトのメンバーでした。“資本主義批判”“天皇制廃止”“福祉国家戦略”といった方針を掲げる組織です。そのメンバーがPOSSEを含む複数のNPO法人を運営するほか、都内4大学に学生サークルを作って学生を勧誘していました。私自身、大学入学時に学生サークルに勧誘され、そこでセクトにオルグ(勧誘)されました」

この組織の方針からして、「左翼」であることは間違いないでしょう。Aさん自身、自分が関わっていたのは左翼活動であると認識しています。


Aさんが所属していたセクトの勧誘。チラシを見せるだけで手渡さない(2016年4月=一橋大学で)
Aさんが勧誘された際の手口は、こうです。

当時新入生だったAさんに、「社会問題を勉強するサークル」という謳い文句で近づいてきた学生がいました。手には、バインダーに挟んだチラシを持っていましたが、それを手渡してはきません。それでいてAさんの連絡先を記入させ、別の日に開催された「社会問題についての勉強会」なるものにAさんを誘ってきました。政治団体や左翼セクトだということがわかる説明はなく、社会問題に興味があったAさんは、そのサークルに入ることにしたといいます。

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